安全工学
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48 巻, 5 号
安全工学_2009_5
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 西村 秀和
    2009 年 48 巻 5 号 p. 288-292
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    自動車の衝突安全がカバーする対象領域は,いまや衝突した際の車体の変形や乗員保護だけにとどまら ない.衝突以前に自動車が通常走行している状態から,衝突の危険性のある状態も含めた,衝突に至るまでのシナリオ全体を安全の対象と考えている.このことは危険予知の重要性を表しているものと解釈できる.また,自動車衝突時における安全性の保持には,自車の乗員保護のみならず,質量の異なる相手側車両との衝突時の適合性(以下,コンパティビリティ)が必要であり,歩行者との衝突に際しては歩行者保護が重要となる.ここでは,衝突安全性能の評価方法を概観し,衝突安全設計例を示すとともに,最新の周辺技術について概要を紹介する.

  • 安田 憲二
    2009 年 48 巻 5 号 p. 293-297
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    日本においては,高齢化を背景に要医療者が大幅に増加するとともに,病床の不足等も懸念されている.この対策として,家庭等の医療機関以外の場所で医療処置を行う在宅医療の推進に向けたさまざまな取組みが講じられている.このため,今後は在宅医療廃棄物の排出量が急激に増えることが予測され,これら廃棄物を安全に処理するための対策が必要となっている. 在宅医療廃棄物は一般廃棄物に分類されているため,市町村は区域内における当該廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集・運搬し,処分しなければならないこととされている.しかし,在宅医療廃棄物には注射針等が混入されていることもあり,市町村が収集を拒否することも少なくない. 在宅医療廃棄物を安全に処理するためには,医療機関,薬剤師,自治体等,関係機関が協働して対応することが必要である.そこで,これら機関のこれまでの取組み状況とともに,協働の必要性と協議方法の確立について記述した.

  •  ─機械を安全に設計しても企業の価値は向上しない
    川池 襄
    2009 年 48 巻 5 号 p. 298-305
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    温風機の事故などから「製品安全」が注目され関連法の整備がすすめられている.労働災害による死傷者は13 万人弱(2008 年)である.製造業の労働災害のうちでも機械による事故にかかわる死傷者は約20% あり,「機械安全」は重要な課題である.しかしながら「機械安全」に対する取組みが必要悪の域を出ていず,「企業の価値」につながっていない. 本稿では,企業の価値について考察するとともに,製品安全と機械安全の比較を試みる.さらに,機械安全が生み出す価値を機械メーカーの視点とユーザーの視点から検討する.最後に,機械安全に対する取組みが,企業の評価につながる基準と手段を企業イメージ・製品安全を参考に考察する.

論文
  •  ─実大規模実験による検証
    岡本 英樹, 五味 保城
    2009 年 48 巻 5 号 p. 306-312
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    化学プラントやガス業界などでは,可燃性ガスなどを輸送するための大規模な埋設配管を保有している.これらの安全管理は,配管材料の長期信頼性の評価だけでなく,万一のガス漏出時の地中での拡散範囲など,拡散挙動に関する知見がきわめて重要で,安全な設備の設計や維持管理を行ううえで基盤となる.これまで室内や屋外など大気中でのガス拡散状況は数多く紹介されているが,地中での漏出ガスの拡散について実際に評価した例は少なかった.今回初めて,これまで行ってきた実大規模実験による地中での漏出ガス拡散挙動の調査・研究などによって明らかになった拡散範囲やそれに要する時間,比重の影響などの成果を取りまとめ報告する.

資料
  • 池田 正人
    2009 年 48 巻 5 号 p. 313-319
    発行日: 2009/10/15
    公開日: 2016/09/30
    ジャーナル オープンアクセス

    航空機事故においては,数年事故がない状態が続き,一度事故が発生するとしばらくの間,事故が頻発傾向になり,この傾向に周期性があることが知られている1).化学工業の工場の労働災害においても同様の傾向が見られる.長期間無災害が続いた後に,一度労働災害が発生するとしばらくの間,労働災害が頻発傾向となり,この傾向を繰り返す. 長期間の無災害継続日数を記録した後に労働災害が頻発する傾向があるのは,長期の無災害継続期における「安全意識の緩み」などがおもな原因と思われる.また,われわれ日本人の一般的な気質として,「危険に対する感性が低い」,「当事者意識が希薄」なども作用していると思われる. 日本曹達(株)高岡工場の労働災害の周期性について分析した.労働災害が発生,頻発している間は安全意識の活性化策としての安全活動などが緊張感を持って行われるが,やがて無災害継続日数が1 年以上になるとあたかも安全な工場になってしまったかのような錯覚に陥り,緊張感が途切れ,安全活動は行ってはいるが全員の意識に届いていない.つまり,本来,無災害継続日数が多くなるにつれて安全意識の活性化活動を強化しなければならないが,現実には無災害継続日数が多くなると安全意識の活性化活動は低調になっていく傾向にあることがわかった. 本稿では労働災害の周期性とその原因,そして,無災害継続日数をより延ばすにはどうすべきかについて報告する.

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