製造物責任とは製品の欠陥により消費者が損害を被った場合に,製造業者等が負う法律上の賠償責任である。企業は過失がある場合にのみ責任を負っていたが,生産技術の高度化により企業の過失を消費者が立証することは困難となっているため,新しい考え方がアメリカで登場した。製品に欠陥がある場合に企業は責任を負うという厳格責任の考え方であり,その欠陥の有無は消費者期待基準で判断される,被害者の救済と被害発生の抑制という2つの意義を持つといわれているが,アメリカでは被害者救済に 傾斜し過ぎたため社会的混乱を招いた.ヨーロッパでは1985年にEC指令が成立し,すでにEC加盟 12か国のうち9か国が厳格責任を採用した製造物責任法を制定した.日本においても厳格責任の考え方に基づく製造物責任法の立法につき各界で議論が高まっている.
企業にとってPLリスクの危険度は,近年大きくなってきており,リスクマネジメントの観点から,PL(Pmduct Liability:製造物責任)を取り上げることが重要である.このため,PL事故防止対策を実施することが必要であり,この対策には,PSとPLDの2つがある.現在,事故を未然に防止するた め,事前対策であるPSにウエイトが置かれる傾向にある.したがって,製品の企画・開発から,設計・製造・販売,ひいては廃棄に至る製品のライフサイクルに対して,欠陥のない安全な製品作りが重要に なってきている.
比較的暖い地方にある鉄筋コンクリート製アパートの地下室の壁からコンクリート試験片を採取し,一軸圧縮を行い中性化コンクリート中に発生するAEの一般性と特殊性について検討した。 その結果,材齢37年のコンクリートで空気に接している部分は最大30mm,最小2mmの中性化が 進んでいた.また,伝播するAEの卓越周波数は距離と共に変化しなだらかな波形になること,さらに中性化部では、載荷初期でAEが発生するとともに,中性化部と健全部との境界で比較的大きな振幅のAEが発生した.
製品安全は,製造物責任問題のクローズァップに伴って必要性が重要視され始めたように思われる。 しかし,設備の安全や科学技術の安全については,これまでにも多大な努力の下に客観的評価が行われ てきている. ここでは,製品,設備,技術に伴って潜在するリスクに関して,公衆によるリスクの受容,リスクの評価手法,リスクとコストとの関係などについて記述した.理想的には,同じ思想の下で社会全体の総合的リスクの低減が図れることが望まれる.
製品の安全性は,設計,製造,流通,使用などすべての段階を通じて確保されなければならないが,特に開発設計段階での取組みが重要な役割りをもっている,そのために,設計者が構想段階からツールとして用い,さらにデザインレビューのときにも使いやすい製品安全評価技法を開発し活用してきた.これらは信頼性の技法を安全性のために応用展開したものであり,目的に応じて使い分けができ翫本文では,家電製品の立場から,4つの技法について特長,手順の概要およびその実施事例などを報告する.
製品の安全性を確保するためには,製品自体の安全確保を最優先にする必要がある・すなわち,製品から危険そのものを取り除く「本質安全化」を考慮していくことから始まる. しかし,現実には製品自体の安全確保が困難であることがあり,どうしても取扱説明書や警告ラベルによる「警告表示」に頼らざるを得ない.そこで,アメリカにおける製品安全対策から学ぶ取扱説明書と警告ラベルの作成ポイントについて述べてみた.
ECではセベソ指令に続いて環境責任法が制定され,各国における大気,水,土壌,食品汚染への規制と責任規定がますます強化されつつある.強化の核心は環境責任法が厳格責任をべ一スとしているごとであり,わが国安全法制とのかい離が心配される.保険会社から見たこのへんの事情を抄訳で紹介する.
企業にとって欠陥製晶や施設の火災・爆発によって第三者に損害を与えた場合,時として致命的とも思われる経済的負担を強いられることがある.これを回避する手段として賠償責任保険が存在する. 近年米国では欠陥製品による事故をめぐる企業責任(製造物責任)が極めて厳しくなっており,そのため保険会社の経営が圧迫され,賠償責任保険を謝絶した結果,社会的混乱を起こすこととなった.またEC諸国においては,1985年に発令されたEC指令により米国流の製造物責任の立法がされつつあ り,今後賠償責任保険の引受条件がどうなるかが注目されている状況にある.