ライフラインとは,電力,水道,交通,通信など都市の生活関連施設の総称であるが,ごれが地震により機能停止を起こしやすい.そしてそれは,一般市民に対して,単に不便さのみではなく,時には生命にかかわる問題ともなってくる.本文では,ライフラインの機能停止の起こり易さが,システムの直列性に起因するものであることを指摘し,したがって,ライフライン機能の耐震性を向上するためには,システム全体としての信頼性解析を行わなければならないことを強調した.また,これらライフラインの機能中枢となってきた電算機について,その耐震性の現況がいかなるものかについてアンケート調査を行ったので,その結果についても簡単にふれている.
坑道通気網中におけるガスの流動拡散を推定するとき支配的な困子となると思われる,ガスの初期長さの影響,坑道の抵抗係数の変化,屈曲,障害物の影響ならびに分岐,合流について主として水流模型を用いて実験し,それぞれの条件について導入した計算式と比較検討した.その結果,実験値と計算値は良く一致し,導入した計算式によって,坑道通気網中におけるガスの流動拡散を推定することができることを明らかにした.なお,この結果は一般のパイプラインに対しても適用できる.
高圧下の研究を安全に行うため,高圧実験室を設計・建築した.この実験室は準備室,実験室およびセル室よりなり,セル室の屋根および三面は厚さ40cmの鉄筋コンクリートに厚さ15mmの鋼板を内張りした障壁で囲まれている. また,爆発限界測定装置を試作し,これを用いて温度275℃以下,馬力7および9.5kg/cm2Absの条件下で,着火源を変えてエチレン-空気-窒素の爆発上限界を測定し,文献のデータと比較した. 着火源として白金加熱を使用した場合は,ニクロム線の溶断法を使用した場合および文献のデータより上限界は広い.これは着火エネルギーの差に基づくものと考えられる.
悪臭成分中の硫化物 (CH3SH,CH3SCH3,CH3SSCH3)を次亜塩素酸塩で酸化し,悪臭を防除するため,完填塔(充填高さ60cm)を用いて,メタンチオール,硫化メチル,二硫化メチルをそれぞれ次亜塩素酸ナトリウム溶液に吸収・酸化させ,総括容量係数(KGa)を検討して次の結果を得た. 常温で,ガス流量40kg/h(ガス空塔速度は1.7m/s),液流量80kg/h(液ガス比は2)において,メタンチオール,硫化メチル,二硫化メチル各5ppmの混合ガスを処理するにはpH7の次亜塩素酸ナトリウム溶液(12×10-3mol/l,次亜塩素酸塩と硫化物のモル比140)で,硫化メチルと二硫化メチルを酸化したのち,未反応のメタンチオールをpH11に調節した同濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液で酸化すれば,それぞれをほぼ,100%除去できることがわかった. この酸化条件で,し尿処理場の硫化物(CH3SH,CH3SCH3,CH3SSCH3)はほぼ完全に処理できた.
昭和52年7月の通産省省議決定事項「発電所立地に関する事前環境審査」にもとづき,通産省は富山県新湊市所在の火力発電所増設計画につき環境影響を審査した.ここに,通産省の審査には地方自治体や地元住民の意見が反映される建前となっている. 本文は通産省の意図に対する地方自治体の対応例であり,その内容は立法化の迫った環境影響評価制度への対応手段の発見に役立つであろう.
最近数年間に,比較的大きな貯蔵タンクにおいて,サンプリング作業中の事故が2件発生している.いずれも,その原因名の一つに,静電気放電があげられている.今後,この種災害の発生を防止する上で,これらの経験を見なおすことも必要であろう. この機会に上述の事故の概要と可燃性液体のサンプリング作業に関係のある静電気現象を整理し,金属製採取器を用いたサンプリング作業の問題点を考えてみたい.