盛岡市における環境大気中のアスベストについて調べた.スパイクタイヤの装着率が高かった1980年代後半の冬期の道路近傍で,アスベストを含む繊維状物質の発生増加がみとめられた,これは,道路舗装材用骨材の磨耗に起因するものであり,盛岡市固有の現象であることがわかった. 特に発生増加が著しかった繊維状物質について同定した結果,アスベストの一種であるアクチノライトであることが判明した.繊維状物質のすべてがアクチノライトと仮定すると,スパイクタイヤ使用規制以前の冬期の道路端では,かなりの地点で環境基準値の目安である10f/1を大幅に上回っていたことになる.しかし,スパイクタイヤが使用禁止となった1992年度以降には,この値を上回る値はまったく測定されておらず,アスベストを含む繊維状物質が発生増加する傾向はみられなくなった.
水成系難燃性作動油を含む排水の凝集処理特性,生物処理特性,オゾン酸化およびフェントン酸化特性を評価し,その排水の最適な処理システムを提案した、 難燃性作動油含有排水は凝集性が低く,生物処理では難分解な高分子物質が残留すること,フェントン酸化では難分解性高分子の生物分解性が大きく改善されるものの,易生物分解性物質の酸化分解が優先的に進行し,このための試薬消費量が大きいことから,まず生物処理によって易生物分解性物質を除去してから,フェントン酸化を行い,高分子物質の生物分解性を向上させた上で再び生物処理を行えば よいことが示された. さらに,排水の生物処理特性の評価には,小型好気性浸漬濾床を用いた実験が便利であり,処理困難物質の追跡には画分の有機炭素濃度測定を加えたゲルクロマトグラムの利用が有効であることが明らか になった.
オゾン層破壊の原因物質の一つとされ,製造中止が決定されている1,1,1一トリクロロエタンの代替洗浄剤である60vol%エチルアルコール水溶液の蒸気の爆発限界および爆発圧力の測定を室温および50℃において行った。爆発下限界はいずれの温度においても気相のエチルアルコールが3.5vol%の濃度であった.100%エチルアルコールの蒸気の爆発下限界は同じ温度で3.4%であり,下限界値に対す る水の影響は小さい。 また水溶液の蒸気の爆発圧力は室温では最高初圧の5.7倍,50℃では最高同じく7.0倍で,100%エチルアルコールに比較するとやや低く爆発は弱くなった.気液平衡組成を計算することにより爆発下限界の測定温度が蒸気と平衡にある水溶液の引火点によく一致することも明らかにした.
「みなとみらい21」は,横浜市ゐ自立性を強化するとともに,国の核都市構想の先導的実現を図ろうとする大プロジェクトであり,21世紀に向けての新しい都心を目指している.このような近代的な都市にふさわしいごみの収集方式として,みなとみらい21地区にごみの管路収集システムを導入した.これは,地区内から排出されたごみは共同溝内に収容された輸送管を経てクリーンセンターへと送られ,コンテナに積み込み,焼却工場に車両輸送するシステムである.本稿はこのシステムの概要と安全対策につい ての資料である.
化学物質の管理には,化学物質に関する情報の収集が重要であり,法規制の対象物質かどうかも重要な情報の一っである.しかし,法律は化学物質を名称で規定しており,物質を特定するための情報としては,不十分なところがある. 事業所の自主管理の支援を目的としたデータベースの構築に当り,法規制対象物質の選定を行った経験から,法律の化学物質名の読み方について解説し,法律のどこを読めば対象となる化学物質にたどりつくか,フローチャートを作成した.
企業が海外に進出し現地で操業を開始するためには,設備や施設の安全性について,初期の設計段階から注意を払っておく必要がある.その際検討すべき基本となるリスクに『火災・爆発・労働災害』の 三つが挙げられる, シリーズ第4回目は,「イギリス」を取り上げ,上記三つのリスクに関する安全防災法令規則の種類と概要,その運用実態について紹介する.