サイバー空間の事件や事故に関わる動向を調査したので報告する.最初に,標的型メールを用いた個人情報窃取事件など,昨今頻発しているサイバー攻撃の発生状況や傾向を示す.また,産業制御システムへの攻撃動向について報告する.次に,サイバー攻撃の要因となっているマルウェアや脆弱性の動向を述べる.特に,遠隔操作マルウェアが猛威をふるっていることを示す.脆弱性については,オープンソースソフトウェアに欠陥が見つかり,大きな衝撃を与えたことを述べる.さらに,暗号プロトコルやコンピュータOS といった基盤技術にも深刻な脆弱性が続けて発覚したことを示す.最後に,匿名通信を用いたHidden Service の動向を述べる.Hidden Service ではその秘匿性の高さから違法コンテンツの売買や違法作業請負が堂々とおこなわれていることを示す.
組込み機器の中で最も厳しい要求があると言われる医療機器のセキュリティに焦点をあてる.小型医療機器・センサからなる組込み機器群とそのデータ集積を行う携帯端末からなるポータブルな集団健診サービスの経験をもとに,医療機器セキュリティの現状を説明する.そして,医療機器を中心とした組込み機器のIoT(Internet of Things)化が進むと言われているが,このIoT 化を前提としたサイバーセキュリティの要求仕様を検討する.
Web ブラウザが提供可能な情報は広まりを見せ,いまや他の専用ソフトウェアを用意しなくともWeb ブラウザで専用ソフトウェアと同等のサービスを利用可能になるケースが増えている.それと同時にWeb ブラウザを通じて利用者が晒されるリスクも増大してきた.そういったリスクの軽減のためにブラウザが利用者保護のための表示機能をいくつか提供している.本稿ではそれらの表示機能の解説と,現在に至るまでのアプローチを紹介する.