安全工学
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56 巻, 1 号
安全工学_2017_1
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 座間 信作
    2017 年 56 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    2011 年東北地方太平洋沖地震での「想定外」への反省を受けて検討された南海トラフ巨大地震の震源モデルを東北地方太平洋沖地震のそれと比較すると,強震動,長周期地震動,津波が石油コンビナート等に与える影響ははるかに大きくなるものと考えられる. そこで本稿では,過去の地震による石油コンビナート施設等の被害状況を振り返り,近い将来にその発生が危惧されている南海トラフ巨大地震による被害の様相を推察し,石油コンビナート施設の被害軽減に向けた対策のありようについて考える.

  • ―現場力の低下にどう対応するか
    中村 昌允
    2017 年 56 巻 1 号 p. 8-17
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    最近の化学プラント重大事故の直接原因並びに背景要因を分析した.事故の背景には設備設計,リスクアセスメント,変更管理の不備という共通する安全管理上の課題がある. 化学プラントの安全には,“Process Safety”と“Personal Safety”の二つの側面がある.重大事故の防止には,“Process Safety”の観点から設計段階から重大事故のシナリオを予測し,リスク低減対策を講じる必要がある.今,製造現場では,「人」,「設備」,「管理範囲の拡大」の三つの大きな変化がある.熟練技能者が退職し,これからプラントを運転する世代は自動化されたプラントを動かした経験しかない.設備年齢は40 年~50 年になってきており,老朽化に伴う漏洩事故が増えている.管理面では,一人一人の業務量,特に管理職業務量がオーバーフローしている. これからの安全管理は,この変化を受け止めて,人的能力の低下は設備・システムで補うと共に,重大事故防止に重点を置いたリスクベースの安全管理に移行していく必要がある.

  • ―現場での苦い経験から
    渡辺 要
    2017 年 56 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    製油所で運転管理及び保安管理部門に勤務していた際,従業員教育を疎かにしてトラブルを連続して発生させ,また事故報告書を11 冊も作成するという苦い経験をした.ここで学び工夫した事例を,同じ轍を踏まないように紹介する. 行きついた結論は,「真剣に考えれば,知恵が出る.中途半端だと,愚痴が出る.言い訳になる」

  • 片山 昌作
    2017 年 56 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    農作業における事故件数は減少せず,他産業が減少し目立つ様になった.農業分野のTPP やICT による農業ビジネスの拡大によって注目が集まり,農業規模の拡大と共に法人化や農業分野へ参入した企業も増え,組織的な労働安全衛生の考え方がこの農業に求められる様になった.どの産業も,安全衛生の問題は人の問題でもあり安全への姿勢や努力は表立つことは無い.事故が起きなくて当たり前,起きても最小限にとどめる事が重要になる.著者が片山安心コンサルタント合同会社として危険疑似体験できる教習所を開所し,安全衛生への取り組みへの動機を作業者の方に持っていただく為の活動を紹介する.

  • 山隈 瑞樹
    2017 年 56 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    フレキシブルコンテナは,粉体の貯蔵,輸送,仕込みなど,幅広い用途で使用されているが,静電気による爆発・火災災害が多数報告されているように,その取扱いに当たっては注意が必要である.通常,静電気は粉体とフレキシブルコンテナの内壁との摩擦によって発生し,これによる静電気放電が周辺のガス・蒸気または浮遊粉じんの着火源となる.本稿では,まず,過去の災害事例の分析および実験的知見を通して,フレキシブルコンテナ関連作業に潜む危険性を解説する.次に,静電気対策の要点を,国際規格(IEC 規格)を基に解説する.特に,フレキシブルコンテナだけでなく,それと併用する内袋の選択が防災上重要であることを強調している.最後に,リスク評価に当たっての注意点を述べている.

  • 國方 貴光
    2017 年 56 巻 1 号 p. 44-48
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー
論文
  • ―換気位置と換気量が水素濃度に与える影響
    朝原 誠
    2017 年 56 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2017/02/15
    公開日: 2017/02/15
    ジャーナル フリー

    閉空間における第2 等級の水素漏洩による爆発事故防止を目的とし,第3 種換気システムにおいて,排気量,換気口設置場所,水素センサー設置場所を検討した.その結果,排気中水素濃度が水素の可燃濃度下限界4%以下であっても,閉空間内局所水素濃度は4%を上回る場合があることが示された.また,排気口位置が異なる,同側面換気,対面換気,天井換気の3 条件を比較した結果,天井換気,対面換気,同側面換気の順に閉空間内平均水素濃度が低くなった.さらに,それぞれの水素拡散挙動から,漏洩口から排気口に向かう気流のパスが短く,ショートサーキュレーションが生じる場合に閉空間内水素濃度の上昇を効率よく抑制できることがわかった.吸気口の対面壁には,吸気口からの気流が到達するため,吸気口の対面壁上方に水素センサーを設置すると早期に水素漏洩を感知できることができると考えられる.

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