EUがニュー・アプローチを法律に定め,「①一国一機関の適合性認定機関を民間の第三者機関として設置し,②その間で相互承認する」という方法で国家主権と国際自由貿易の矛盾を解決し,多国間one-stopcerti伽ationの道を拓いたことは,認証新時代の到来を意味する。その原則はリスク発生者第一責任主義で,ISO/IEC方式のマネジメント・システム規格体系を骨格とする市場参入権の第三者認証,ならびにCEマーキング,の法定が特徴である。わが国もJAB創立で遅ればせながら新時代に対 応し始めた.
環境問題に対する社会的意識が高まっている中で,各企業においては環境管理システムの国際標準規格であるISOl4001の認証取得を行うなど,環境保全のための体制整備を進めている.しかし,現代の環境問題はきわめて複雑化し広範囲にわたっていることから,企業単独で対応できるものではなく,企業と社会が一体となって取り組む必要がある.このためには,環境アカウンタビリティという考え方に基づき,企業は環境保全活動に責任をもって取り組むとともに,その活動の成果を社会に報告していくことが重要である.このような環境アカウンタビリティを推進するためには,環境報告書などのアカウンタビリティツールを整備していく必要がある.
日化協では,平成7~10年の間,通産省の委託を受けてリスクアセスメント・システムの構築とそのソフトウェア6h齪P盟Sン421の開発を行ってきた.このソフトは企業が化学物質の自主管理を行うた めのツールとして位置づけられ,ヒト健康・環境に対するリスクを評価するだけでなく,事故による火災爆発のリスク(フィジカルリスク)についても評価できる.その構成・概要を紹介し,フィジカルリスクの評価手法につき簡単に説明する.リスクマネジメントについても概説する.
1992年に,EUにおける化学プラントの重大事故防止の基本指令であるセベソ指令が大幅改定され,セベソII指令となった.リスク管理の中心であるリスクマネージメントはハザード同定,頻度の推定,結果の重大性の評価からなる.その概要とセベソ指令での位置付けを示した.つぎに,セベソ指令の基本原則と,今回の改正の焦点となった管理・組織の強化の経緯と概要をレ/ビューした.その上で,欧州委員会での各国間の調整のための活動を紹介した.また,土地利用計画策定時の手順,リスク解析と判断基準について,代表的な数か国(オランダ,英国,フランス,ドイツ,イタリア)の例を示した.
1997年12月に京都市で開催された第3回気候変動枠組み条約締結国会議(COP3)において,二酸化炭素など6ガスについて具体的な削減目標値が決められた.このため,対象となる6ガスの排出・吸収に関して,各分野での定量的な評価・解析を行う必要がある.しかし,評価等に使用することが決議された「1996年IPCC改訂ガイドライン」は温室効果ガスの透明性,完全性および不確実性といった 観点から,改善の余地を多く残している. ここでは,日本を例とした各発生源における改善策の検討状況および関連する国際的な動向について 報告する.
企業がひとたび自動車事故を引き起こすと,被害者への対人賠償・対物賠償などの支出のほか,自社従業員の死傷に伴う労働力の欠損・低下や事故対応に伴う種々の支出,さらには信用の失墜など有形無形が発生する.そこで,日本損害保険協会では「自動車事故で発生する損失を把握することでコスト意識を啓発し,ひいては企業ならびに広く社会に対する自動車事故の防止活動活性化の一助とする」ため自動車事故によって発生する損失を定量的に把握する研究を行い,成果をまとめた.
プロセスプラントの事故は単一の原因によって発生することはまれで設計,施工,操作,設備管理などの複数の不備が複雑に絡み合って発生することが多い.このため,一つの側面のみからの対策では片手落ちになり総合的な対策,管理が必要となる. 先回は,プラントの安全確保にあたって,異常の発生防止,事故の発生防止,事故が発生した際の被害の局限化という三つの側面から概説した.今回は安全化にあたっての防護レベルの考え方と,フェイルセーフ設計につき概説する.