安全工学
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51 巻, 5 号
安全工学_2012_5
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • ―下水処理場における高度処理の重要性
    東 剛志, 田中 宏明
    2012 年 51 巻 5 号 p. 282-289
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    近年,タミフル等に代表される抗インフルエンザ薬成分の河川環境中への流出が新たな社会的問題を提起している.タミフルは,新型インフルエンザパンデミックの被害軽減の切り札として位置付けられており,日本の依存度は季節性インフルエンザにおいても使用されており世界の中でも特に高い.そのため,水環境中に流出する抗インフルエンザ薬成分の問題は,生態系への毒性影響に加え,水環境中からの薬剤耐性ウイルス発生の危惧を生み,日本ばかりではなく世界的に新型インフルエンザ対策を検討するきっかけとなっている.そこで,本稿では近年明らかになりつつある最新の知見を踏まえ,河川環境中における抗インフルエンザ薬成分の汚染実態・環境動態や,下水処理場での除去効率,そして環境毒性及び薬剤耐性ウイルスの発生危険性について概説し,今後の環境リスク評価・リスク管理の展望についてまとめる.

  • 田瀬 則雄
    2012 年 51 巻 5 号 p. 290-296
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    地下水汚染問題は必ずしも新しい問題ではないが,時代とともにその様相を変えてきている.地下水汚染については,これまでも多くの調査研究があるが,本論では地下水汚染のこれまでの経緯,現状,課題などを土壌汚染との関わりも含めとりまとめた.汚染物質としては,病原性微生物,重金属類,揮発性有機化合物,残留性有機汚染物質,油類,硝酸性窒素,医療品・生活関連物質,放射性物質など多種多様で,汚染の経緯,状況は様々である.この30 年はトリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物による地下水汚染が中心課題であったが,現在は硝酸性窒素問題に,そして医療品・生活関連物質,さらに放射性物質なども問題となってきている.

  • 伏脇 裕一
    2012 年 51 巻 5 号 p. 297-304
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    有害化学物質を含むたばこ煙による室内環境汚染実態より,完全分煙施設においても人の出入り等によるたばこ煙由来の有害化学物質の漏洩が確認された.従って,人への健康影響を考慮するためには,公共的施設等においては,すべて禁煙にすることが望ましい.本報においては,喫煙によって発生したたばこ煙中の有害化学物質の成分とその発生量,有害化学物質による室内環境汚染実態,たばこ煙による人への健康影響について既存の報告例をまとめて概説した.さらに喫煙に関する法規制について,国内外の現状を言及した.

  • 牧野 良次
    2012 年 51 巻 5 号 p. 305-311
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    労働安全衛生の推進や産業事故の防止を目的として企業経営者に安全対策の実施を促すことを目的(のひとつ)とした政策がある.企業経営者にとって労働災害や産業事故から発生する費用の一部は経済学でいう「外部費用」にあたることから,何の政策的介入もない場合には企業の安全レベルは低くなる傾向にあることが経済学的には予測されている.査察,課税,労働災害保険料率の減免といった政策は経営者に低い安全レベルを是正するインセンティブを与える効果があると期待されている.本稿の目的は次の通りである.査察,課税,保険料率等の政策導入の背景にある経済学的な考え方を解説すること,および政策の効果を統計的に検証した論文をレビューすることである.レビューの結果,(1 )罰則をともなう査察および税制の効果については確定的な結論を出すことはできなかった.(2 )労働災害保険については経験料率を導入することが事故削減に有効だと評価された.

  • 三舩 康道
    2012 年 51 巻 5 号 p. 312-318
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    東日本大震災における被災自治体の復興計画は,概ね2011 年末までに策定された.地方分権により復興計画は各自治体の責任で策定された.しかし,津波の場合,被災範囲が各自治体の境界を超えるため,安全な地域の復興のためには,自治体の枠を超え隣接自治体と一体的な計画が求められ,自治体間の調整が不可欠である.本論では,仙台平野にいくつかの自治体が連なる宮城県南部地域の自治体の復興計画を取り上げ,特に津波防御という観点から各自治体の復興計画を検証した.その結果,各自治体における復興計画策定時期には早い遅いがあり,隣接自治体間での調整は難しく,その結果,復興計画は一体的には調整されてはいないことを明らかにした.そして,津波のような自治体を超える広域的な災害において,安全な地域の復興のために,復興計画策定における地方分権の課題を上げた.

論文
  • 箕輪 弘嗣・宗澤 良臣・鈴木 和彦
    2012 年 51 巻 5 号 p. 319-326
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2016/08/31
    ジャーナル オープンアクセス

    事故事例の統計解析により,事故の共通要因を抽出する試みがなされている.しかし,その手法は膨大な言葉で記された事故の詳細を,「操作ミス」,「能力不足」といった人為的に定められた分類要因へ分類する統計解析であるため,解析結果から直接事故の要因を知ることは難しい. そこで本手法は,自然言語処理の機械テキストマイニング技術を用い,形態素解析で事故報告書等の文章中の出現頻度の多い単語を注意要因として抽出し,注意要因を用いて原因表現をグループ化するという方法で類似事例を抽出する.グループ化された類似事例は,事例の数から事故の頻度を定量的に評価でき,頻発する事故の内容を知ることができる特徴がある.本手法をPEC-SAFER 事故事例集に適用し注意要因や類似事例を抽出する事ができたので報告する.

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