患者 1:57 歳,男性
主訴:右第 1 趾爪甲の黒色変化
現病歴:半年ほど前から右第 1 趾爪甲が黒くなってきたため,悪性を心配して受診した。
初診時現症:右第 1 趾爪甲は濃い緑黒色で,爪甲剝離を伴っていた(図 1 a)。
検査:ダーモスコピーにて緑色変化は辺縁で薄くなり,長軸方向に黄白色線条を認めた(図 1 b)。爪甲下角質は KOH 法で白癬菌と思われる真菌要素陽性,細菌培養にて Pseudomonas aeruginosa(以下緑膿菌)2+であった。
診断,治療および経過:爪白癬と爪甲剝離に合併した緑色爪と診断した。剝離爪甲を可及的に除去し,ルリコナゾール(ルリコン®)液とオゼノキサシン(ゼビアックス®)ローションを外用したところ,約 1 カ月後には正常爪甲の伸長がみられ,約 11 カ月後の再診時には,爪甲剝離は残っていたが緑染は消失していた(図 1 c)。 KOH 法にて真菌要素は認めなかった。
患者 2:72 歳,男性
主訴:左第 1 指爪甲の緑色変化
現病歴:数カ月前より左第 1 指爪甲が緑色となり,人目に付くようになったため受診した。
初診時現症:左第 1 指爪甲遠位半の緑黒色変化と爪甲剝離を認めた(図 2 a)。
検査:爪甲下角質は KOH 法で陰性,細菌培養にて緑膿菌 2+。
診断,治療および経過:爪甲剝離に合併した緑色爪と診断し,オゼノキサシンローションを外用した。約 2 カ月後には正常色調爪甲の伸長がみられ(図 2 b),約 3 カ月後には緑染は目立たなくなった。
患者:4 カ月,男児
主訴:顔面,躯幹,四肢に散在する黄橙色~紅色丘疹
既往歴:特になし
現病歴:初診 30 日前に前医でジフテリア,破傷風,百日咳,ポリオ,ヒブ,肺炎球菌,ロタウイルスのワクチンを受けた。同 23 日前に頚部,股部に紅色丘疹が出現し近医でベタメタゾン吉草酸エステル軟膏を処方されたが体幹,四肢に増数してきたため当院を受診した。ステロイド外用で遷延した水痘を疑いフェノール・亜鉛華リニメントを 2 週間外用したが難治であった。
現症:顔面,躯幹,四肢に散在性に多発し(図 1 a),一部臍窩や痂皮を伴う黄橙色~紅色丘疹(図 1 b,c)がみられた。脂漏性皮膚炎様症状や眼球突出はなかった。
病理組織学的所見:腹部の痂皮を伴う紅色丘疹より生検した。表皮・痂皮下の真皮にくびれた核と淡い好酸性胞体の異型細胞が密に増殖し,少数の核分裂像(1~2/HPF)がみられた(図 2 a,b)。表皮内には一部に微小膿瘍の形成もみられた(図示なし)。免疫組織化学染色では腫瘍細胞は S100 蛋白陽性,CD1a 陽性,Langerin 陽性,CAM5. 2 陰性であった(図 2 c~f)。
画像検査所見:単純 X 線では頭蓋骨,上肢長管骨に異常はなく,造影 CT でも脳内病変,リンパ節腫大や肝脾腫はみられなかった。
血液検査所見(下線は異常値を示す):白血球 10,700/μl(好中球 21%,好酸球 2.0%,好塩基球 1.0%,単球 1.0%,リンパ球 74%,異型リンパ球 1.0%),赤血球 507 万/μl,血色素 13.5 g/dl,血小板 36.1 万/μl,CRP 0.00 mg/dl,AST 43 U/l,ALT 31 U/l,γ-GTP 9 U/l,水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)-IgM 0.15(-),VZV-IgG 5.4(+)
診断:ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)
治療および経過:確定診断後,画像検査,採血検査にて異常所見なく,無治療で経過観察をしていたが,生後 9 カ月頃に皮疹が増悪した。4 週間のプレドニゾロン 1 mg/kg 内服により皮疹は速やかに消退したため約 2 カ月かけて漸減中止し,以後は若干の出没を繰り返しつつもステロイド外用薬のみで制御可能であった。初診後 3 年 3 カ月現在,半年毎の採血と 1 年毎の MRI 検査で多臓器病変の出現はみられていない。
患者:76 歳,男性
主訴:右拇指の紅色小結節
現病歴:初診 1.5 カ月前より右拇指に誘因なく紅色丘疹を生じた。徐々に増大したため当科を受診した。
初診時現症:右拇指先端に 4×4×5 mm の有茎性,弾性硬の紅色小結節を認めた(図 1 a)。軽度の圧痛を伴っていた。
ダーモスコピー:dotted vessels,linear irregular vessels,圧迫にて white structureless areas を認めた(図 1 b)。
病理組織学的所見:右拇指小結節を全切除生検した。表面にびらんを伴う有茎性の腫瘤で,骨との連続性はなかった(図 2 a)。また,Masson trichrome 染色では病変内に不規則な膠原線維の増生を認めた(図 2 b)。真皮内に破骨細胞と骨芽細胞を辺縁に伴う woven bone(線維性骨)の不規則な増生がみられた(図 2 c,d)。
治療および経過:術後 2 年 6 カ月時点で明らかな再発を認めない。
患者:36 歳,女性
主訴:左側腰部の多発軟性常色調皮膚結節
現病歴:10 歳頃から左側腰部に常色調の軟性皮膚結節を自覚した。結節は緩徐に増加し,近医で数回部分切除を施行された。今回全切除目的で当科を紹介され受診した。
初診時現症:左側腰部に軟性の常色調結節性病変が列序性に集簇し,淡い褐色斑を伴っていた(図 1 )。
造影 MRI:左側腰部に皮膚隆起性病変を認め,同部は T1WI で高信号,脂肪抑制 T2WI で低信号を呈し脂肪成分と考えた。皮下脂肪組織への浸潤は認めなかった(図 2 )。
病理組織学的所見:表皮細胞に異型はなく,隆起部の真皮浅層以下に成熟脂肪細胞の増殖を認め,脂肪組織内には血管構造が含まれていた(図 3 )。
診断:Nevus lipomatosus cutaneous superficialis;NLCS
治療および経過:narrow margin で皮下脂肪織層にて一括切除し,単純縫縮した。術後 6 カ月現在,再発せず経過している。
69 歳,女性。X-2 カ月より硬口蓋・左頰・咽喉頭と鼻粘膜にびらんを認め,X-1 カ月に陰部と肛門部にもびらんが拡大し当院へ紹介となった。入院 8 日後,胸部,腹部と大腿に小豆大までの緊満性水疱が生じた。肛門部びらん病変部からの皮膚生検では,病理組織学的に表皮真皮接合部に裂隙形成と真皮の浅層にリンパ球浸潤を認めた。無疹頰粘膜の蛍光抗体直接法で基底膜に IgG と C3 の沈着を認めたが,蛍光抗体間接法は陰性であった。血液検査にて抗 Dsg1・3 抗体および抗 BP180 抗体は陰性,抗核抗体(320 倍)および抗 Sm 抗体陽性,白血球数減少(3180/μl)を認めた。血液検査結果と口腔・鼻粘膜びらんと併せて水疱性エリテマトーデス(BSLE)と診断した。プレドニゾロン 30 mg/ 日全身投与開始後,体幹・四肢の水疱は消退したため,プレドニゾロンを漸減した。体幹と四肢の緊満性小水疱と口腔粘膜と陰部のびらん以外の皮疹,臓器病変に乏しい稀な BSLE であり診断に時間を要したが,診断に難渋する水疱と粘膜病変を認めた際には BSLE も鑑別として念頭に置くべき疾患と考えた。
29 歳,女性。顔面,躯幹上部に再発性の紅斑,小水疱があり当科を受診した。生検で好中球浸潤を伴う表皮下水疱,蛍光抗体直接法で真皮乳頭層に IgA 陽性物質の顆粒状沈着があったことから Duhring 疱疹状皮膚炎と診断した。ジアフェニルスルホン 25 mg/day で治療を開始したところ著効した。月経 5 日前から月経終了時にかけて皮疹の増悪があり,増悪時はジアフェニルスルホン 50 mg/day を増量することで皮疹は軽快した。月経前に乾癬などの炎症性皮膚疾患が増悪することがあると報告されている。乾癬では,エストラジオールが好中球やマクロファージの機能を抑制し,乾癬を改善させる可能性が報告されている。自験例では詳細な機序は不明だが,排卵後にエストラジオール濃度が下がったことで,好中球が活性化され皮疹が増悪した可能性を考えた。 Duhring 疱疹状皮膚炎も月経時に増悪する可能性を考慮する必要がある疾患と考えた。
サルコイドーシスは,両側肺門リンパ節腫脹,心サルコイド,ぶどう膜炎,皮膚サルコイドなど多彩な臨床症状をとる組織学的に非乾酪性肉芽腫を特徴とした疾患である。その病因は不明とされているが,近年,肉芽種からインターロイキン(IL)-12,IL-23,腫瘍壊死因子(TNF)-α などの炎症性サイトカインの分泌が確認され,IL-12/IL-23 の阻害は,慢性サルコイドーシスの治療に有効である可能性が指摘されている。本症例は関節症性乾癬に対して抗 IL-17 抗体製剤使用中に発症したサルコイドーシスに対し,抗 IL-23 抗体製剤に変更することでその治療効果をみた。乾癬とサルコイドーシスの合併例についてと,両疾患の共通の炎症性サイトカインについて考察する。
56 歳,男性。20 代で尋常性乾癬を発症し,約 30 年間外用を主とした治療を受けており,6 年前からはマキサカルシトール / ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏(マーデュオックス®)を毎日,適正使用上限量(10 g/ 日)使用していた。X 年 11 月,嘔気や倦怠感が持続するため近医内科より当院内科へ紹介となり,高カルシウム(Ca)血症,急性腎不全,尿管結石の診断で緊急入院となった。精査の結果,乾癬に対して外用していたマキサカルシトールが原因と考えられ,内科的治療に加え,外用薬の種類を変更し使用頻度と量を減らすことにより高 Ca 血症と腎機能障害は改善した。活性型ビタミン D3 (VD3)は表皮細胞の分化と増殖を制御する作用を持ち皮膚科では主に角化異常症の治療に用いられるが,Ca 代謝や免疫の調節にも重要な役割を担っている。国内の VD3 外用薬による高 Ca 血症は自験例を含め 27 例の報告があり,小児や高齢者の使用,腎不全の既往,ステロイド外用,エトレチナートやシクロスポリンの内服が高 Ca 血症のリスク因子となることが示唆されている。近年,重症の乾癬患者に対する治療法は生物学的製剤が主流となりつつあるが,軽症例,年齢や併存疾患,経済的問題などから依然外用薬も多く使用されている。リスクを有する患者に VD3 外用薬を使用する際は定期的に Ca 値や腎機能を確認し,脱水を避けるなどの予防策の指導を行う必要がある。
黄色爪症候群(yellow nail syndrome,以下 YNS)の 2 例を経験した。症例 1 は黄色爪,慢性副鼻腔炎を合併しており,症例 2 は黄色爪,びまん性汎細気管支炎,慢性副鼻腔炎を合併していた。2 例ともクラリスロマイシン 400 mg/日,トコフェロールニコチン酸エステル 600 mg/日の内服に変更後,黄色爪はわずかずつ改善傾向だった。その後,症例 1 の患者に突然,下腿浮腫と労作時呼吸困難が生じ,胸部 CT で両側胸水,心囊液の貯留がみられたため,胸水ドレナージを行い,利尿薬で治療中である。2000 年から 2022 年までに本邦で報告された YNS と自験例 2 例を含めた 49 例を検討したが,YNS の病因は未だ不明であり,治療法は確立されていない。胸水やリンパ浮腫コントロール不良による死亡例もあり,われわれ皮膚科医も気を付けておくべき疾患ではないかと思われる。
34 歳,女性。数年前から鼻根部左側に 4 mm のドーム状に隆起する黒色結節を自覚し,精査目的に当科を受診した。外科的切除を行い,病理組織学的には表皮と連続性に異型を伴う基底細胞様細胞が胞巣状に増殖しており,基底細胞癌と診断した。既往歴では 11 歳の頃から多発顎骨囊胞の摘出を計 5 回行っており,病理組織学的には角化囊胞性歯原性腫瘍であった。また,初診の 2 年前,右卵巣腫瘍摘出術を行っており,病理組織学的には線維腫であった。以上より Gorlin 症候群を強く疑い,後頭部右側と左下眼瞼の結節も切除し,いずれも基底細胞癌であった。自験例では複数の基底細胞癌(鼻根部左側,後頭部右側,左下眼瞼)と角化囊胞性歯原性腫瘍,卵巣線維腫を認め,診断基準の大項目の 2 項目を満たし,Gorlin 症候群と診断した。MRI では大脳鎌石灰化や髄芽腫,トルコ鞍の骨性架橋は認めず,掌蹠の小陥凹,大頭症もみられなかった。肋骨奇形,先天奇形,骨奇形,椎骨変形,手足のモデリング変形,手足の火焔様透過像などの放射線学的異常については X 線による精査は行っていない。また,明らかな家族歴はなかった。後日遺伝子検査を行い,PTCH1 遺伝子のバリアントが確認された。今回われわれが発見したバリアントは PTCH1 遺伝子の 1 塩基置換によるミスセンスバリアントであり,過去のデータベースに記載のないバリアントである。in silico 解析でも病的意義ありとされており,新しい遺伝子変異であると考える。
75 歳,男性。肺癌の既往があった。初診 5 カ月前に転倒し,その後左眉毛部に血腫を形成し,改善がないため前医を受診した。左眉毛部から前額部にかけ,暗紫紅色斑を伴う硬結がみられ,その間内服と外用療法後も改善はなく,精査加療目的に当院を紹介され受診した。初診時は左眉毛部に 43×33 mm のドーム状に隆起した表面暗紫紅色の結節があり,弾性硬で波動は触れなかった。皮下血腫や血管肉腫などを疑い同部位より皮膚生検を施行した。病理組織学的所見(HE 染色)は真皮浅層から皮下組織にかけて稠密な好塩基性の異型細胞の浸潤がみられた。表皮直下の真皮浅層における膠原線維間と腫瘍胞巣内に多数の赤血球が漏出していた。免疫組織化学染色にて CD4,CD56,CD123,TCL1 が陽性で芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍と診断した。Hyper CVDA plus IT 療法開始後,硬結,色調は改善傾向であり,7 クール施行し,硬結は消退した。化学療法は心房細動の副作用のため 7 クールで中止したがその後現在まで寛解を維持している。芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍は非常に稀な悪性リンパ腫であり,症例の中には転倒の有無に関係なく打撲後紫斑様の皮膚症状を呈し赤血球の漏出を伴う症例も存在する。また予後不良例が多く,多彩な臨床所見を呈することが多いためわれわれ皮膚科医も認知する必要があると考える。
62 歳,男性。糖尿病,高血圧,痛風,胃潰瘍,腎盂腎炎,および初診の 4 年前に尿管癌の膀胱浸潤に対し,外科的切除の既往があった。初診の約 1 年前,亀頭部に紅斑を自覚したが,外用薬により一時軽快した。初診の約 2 カ月前に再び亀頭部に紅斑がみられ,軽快しないため,当科を受診した。初診時,亀頭部の尿道口周囲にびらんを伴う境界明瞭な紅班を認めた。生検時の病理組織像では表皮内に淡明な胞体を有する異型細胞が胞巣状に増殖していた。続発性乳房外 Paget 病と診断し,陰茎切断術およびセンチネルリンパ節生検を行った。陰茎全摘時の病理組織像は,陰茎基部から亀頭に至るまで陰茎内で連続性に同様の腫瘍細胞が表皮の一部から海綿体に至るまで増殖,浸潤していた。表皮内には Paget 様細胞がみられ,腫瘍細胞は 4 年前の尿路上皮癌全摘時の腫瘍細胞と組織学的に類似していた。免疫組織化学的検査も,CK7(+),CK20(+),gross cystic disease fluid protein-15(GCDFP-15)(-)で 4 年前と一致した。原発巣と Paget 病変に連続性はなく,術後に両側鼠径部リンパ節転移および腸骨動静脈周囲リンパ節腫大がみつかったことから,続発性乳房外 Paget 病ではなく尿管癌の亀頭部皮膚転移であり,Paget 様概観を呈したものと考えた。既往に尿路上皮癌がある場合は亀頭への転移を常に念頭におき,皮疹を認めたら速やかな皮膚生検とその後の治療を行うべきである。また,逆に既往がない場合は尿路上皮癌の精査が必要だと考える。
66 歳,男性。初診の 1 年 9 カ月前に大腿部の毛細血管拡張を自覚し,毛細血管拡張は次第に前胸部に拡大した。同時期より労作時呼吸困難感が出現したため近医を受診し,喘息として治療されるも改善をみとめなかった。毛細血管拡張について,近医皮膚科にてクモ状血管腫が疑われ当院を紹介され受診した。血液検査で LDH の著明な上昇があり,単純 CT で胸膜肥厚や両肺野のすりガラス影と小葉間隔壁の肥厚を認めた。毛細血管拡張部を生検したところ,真皮上層の拡張した血管と真皮中層の血管は大型のリンパ球様異型細胞が充満して内腔が閉塞していた。腫瘍細胞は B 細胞のマーカーである CD20 が陽性で,T 細胞のマーカーである CD4 や CD8 は陰性であったことから,自験例を血管内大細胞型 B 細胞リンパ腫と診断した。本疾患を疑った場合は脂肪織を含むレベルまでのランダム皮膚生検が推奨されるが,自験例のように広範囲の毛細血管拡張を呈する症例では皮疹部の真皮レベルまでの組織学的検討でも十分に診断に至る可能性がある。自験例のように原因不明で広範囲におよぶ毛細血管拡張を認めた場合は,本疾患の可能性もあるため積極的に皮膚生検を考慮すべきである。
80 歳,男性。ACTH 分泌不全症と LH・FSH 分泌不全症にてヒドロコルチゾンを 20 mg/日内服中であった。3 カ月前に右手背に出現した約 10×10 mm の無痛性の紅色皮下結節を主訴として当科を受診した。初診時に病変穿刺後,外科的に全摘出した。後日,血液寒天培地にて白色の綿毛状コロニー形成を認め,質量分析法,さらに遺伝子解析にて Scedosporium(S.)apiospermum と同定された。同定後,ボリコナゾール(VRCZ)の投与を開始し,速やかに紅斑の消退傾向がみられた。その後,霧視と倦怠感が出現したため,VRCZ 内服を患者が自己判断で中止したところ,再度約 10×10 mm の紅色隆起局面が出現した。減量した VRCZ の再導入を行い,その後は問題なく 6 カ月間継続して病変部は治癒した。今回われわれは質量分析法を用い,免疫不全者に発症した原発性皮膚スケドスポリウム症において,迅速な原因菌の菌種同定と早期治療介入に成功したため,既報の文献 20 例の検討と合わせ,S. apiospermum による皮膚軟部組織感染症の診断・治療についても記述する。
アトピー性皮膚炎患者の一番の悩みは瘙痒に関することであり,瘙痒に伴う精神的苦痛や睡眠障害,加えて搔破行動やこれによる皮膚炎の更なる悪化や細菌性二次感染などがアトピー性皮膚炎患者の QOL を障害する主要因となっている。近年生物学的製剤の登場により,アトピー性皮膚炎の治療はめざましい進歩を遂げたといえ,特に瘙痒を訴える患者にとっては福音となっている。本研究では,先に報告したアトピー性皮膚炎の新しい瘙痒評価法を用いて,瘙痒に対する JAK 阻害薬の効果について評価すると共に,投与方法や新しい瘙痒評価法の有用性について検討した。
His research, often in collaboration with Japanese colleagues, has been published in the most prestigious scientific journals(Cell, Science, Nature, Nat. Cell Biol, J. Cell Biol, PNAS, Nat. Commun, EMBO Reports)and has over 21.000 citations in Google Scholar. Yann Barrandon is also a cofounder of SEED Biosciences, a Swiss award-winning biotechnology company providing innovative solution to single-cell dispensing.