日本のような小資源国では,プルトニウムの有効利用による準国産エネルギーの活用が重要である.プルトニウムには,核燃料物質として臨界となる危険性,放射性物質として人体へ直接与える影響があり,安全上の対策が不可欠である.安全上の対策は,プルトニウム利用が,原子炉で行われるのか,あるいは核燃料サイクル施設で行われるのかによって各種の異なったものとなる。また,プルトニウムを取り扱う上での内部被ばく,外部被ばくなどの評価方法および人体への影響にっいて解説する.
情報システムの広域化と通信システムのインテリジェント化により,情報と通信の融合が始まっている.次世代の,情報と通信が融合した情報通信ネットワークの安全性と信頼性を確保するための技術として,情報システム側からはセキュリティ技術とリスク評価技術,通信システム側からはネットワーク管理技術を取り上げ,その技術の概要や現在の動向にっいて述べる.っぎに,高度情報化社会で要求される情報通信ネットワークの機能のイメージと,新しい通信品質の概念であるサバイバビリティについ て解説する.
かつて積雪寒冷地において大きな社会現象となっていたスパイクタイヤ問題も,スパイクタイヤ使用規制法の施行により大幅な改善がみられた.盛岡市においても,スパイクタイヤの使用は年々減少し,1993年度にはスパイクタイヤの使用はまったくみられず,冬用タイヤとしてスタッドレスタイヤが完全に定着したことが確認された、スパイクタイヤ装着率の推移に対応して,降下ばいじん量,浮遊粉じん濃度,浮遊粒子状物質濃度とも年々減少の傾向を示し,特に,スパイクタイヤ使用規制法が施行された!991年度以降の減少傾向が顕著であることが明らかとなった.盛岡市においては,1993年度には全域的にみて冬期に道路粉じんが増加する傾向はぽとんどみられなくなった.
梅雨期(1994年6月9日から7月12日まで)の降水の化学的特徴を調査した.試料採取は1994年4 月1日から梅雨明けまで,千葉市,横浜市,葉山町の3か所において,1降水ごとの一括採取法で行っ た.その結果,梅雨期の降水中のCl- /Na+濃度比が海塩比よりかなり大きく,塩素含有廃棄物の燃焼な どによる非海塩起源(nss-)の塩化物の割合が大きいことを示した.梅雨前の降水ではnss-Cl-とH+との相関は見られなかったが,梅雨期の降水のnss-SO42-,NO3-,nss-Cl- とH+との相関係数は,それぞれ0.63,0.31,0.87であった.すなわち,梅雨期の降水の酸性化物質として硫酸イオンと硝酸イオン以外に塩素物イオンが重要な降水の酸性化に寄与をしていることが判明した.
引火性液体に水またはハロゲン化合物を混合した難引火性液体について,引火点の測定を行った.開放式と密閉式の引火点試験器を用いて得られた引火点の差異について検討し,ハロゲン化合物の濃度が高い場合,開放式試験器によって測定された引火点の値が密閉式試験器によって得られた引火温度範囲から大きく外れることを見いだした.
半導体産業では,多種類の化学物質が,密閉性の高いクリーンルーム内で取り扱われる.クリーンルームで化学物質の漏えいがあると,急速に拡散し新鮮空気の取込みが不足すると環境中での蓄積が予想される.化学物質のなかには,いままで産業規模で取り扱われたことのなかった有害物質や,既存の化学物質ではあっても,まったく新規の使われ方をする物質があり,それぞれ新たな安全対策が必要となる.さらに,窒素のような,既知の不活性ガスにっいても,酸素欠乏危険に対する研究労働者を含めた安全体制の確保が重要である.
本年5月開通したドーバー海峡トンネルプロジェクトではイギリス側で6台,フランス側で5台,計11台のトンネル掘削機が使用された。そのうち,フランス側からイギリス側に向かって掘削した列車ト ンネル2本に2台の嶽社製トンネル掘削機(以下TBMという)が使用され,それぞれ海面下100m,海底下40mの深さのところを20km,19km掘削した.本稿では,ここに使用されたTBMの構造と 掘削方法を説明し,本プロジェクトでとられたTBMの安全対策とそれを支援する諸設備の安全対策を 紹介する.
企業が海外に進出し,現地で操業を開始するためには,設備や施設の安全性についてその設計段階から注意を払っておく必要がある.その際検討すべき基本となるリスクに『火災・爆発・労働災害』の三 つが挙げられる. シリーズ第5回目は,「シンガポール」を取り上げ,上記三つのリスクに関する安全防災法令規則の種類と概要,その運用実態について紹介する.