西日本皮膚科
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56 巻 , 5 号
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図説
綜説
  • 今山 修平
    1994 年 56 巻 5 号 p. 919-926
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    汗に含まれる分泌型免疫グロブリンA(sIgA)の比較的簡単な測定法を開発して検討したところ, 1)アトピー性皮膚炎患者では皮表へのsIgA分泌が低下していることが判明した。また健康な個体においては, 2)sIgA分泌量は体表面の部位に応じて異なり, その量はおよそ汗腺の皮膚分布密度に比例すること, 3)熱や運動負荷により発汗が増加してもsIgA分泌量はほとんど変化しない, すなわち発汗とsIgA分泌とは独立して制御されていること, 4)個体間ではsIgA分泌量にかなり差があること, 5)sIgA分泌量の多寡はエクリン汗腺細胞が発現するsecretory componentの量に比例すること, が判明した。以上の事実はアトピー性皮膚炎患者皮膚の易感染性の理由として理解しやすい。いいかえれば皮表のsIgAにも(消化管や気道におけると同様の)免疫学的機能があることを示唆しており, 汗腺の機能として皮膚の感染防御という項目を追加しても良いかと思われる。
症例
  • 川上 民裕, 斉藤 隆三, 村尾 太郎
    1994 年 56 巻 5 号 p. 927-930
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    19歳の男性。初診の約1年前に両上肢のそう痒ある鱗屑を付す萎縮性浮腫性紅斑に気づいた。8ヵ月前, 頭部の脱毛斑, 6ヵ月前, 顔面に頬部紅斑, 2ヵ月前, 背部に紅斑出現。日光過敏症あり。組織学的には, 表皮基底層の液状変性, 真皮全層にわたり血管および付属器周囲のリンパ球浸潤, 解離した膠原線維間にムチンの沈着を認める。螢光抗体法にて表皮基底膜部にIgG, C3の沈着をみ, 白血球減少, 抗核抗体陽性, 抗Sm抗体陽性, 耳下腺造影で排泄低下, 口唇生検で小唾液腺の小葉内導管周囲の細胞浸潤を呈した。自験例をsubclinical Sjögren’s syndromeを伴った男性systemic lupus erythematosusと診断し, ムチン沈着との関連について若干の考察を加え報告した。
  • 松本 茂, 池田 政身, 小玉 肇, 渡邊 誠司, 原 弘
    1994 年 56 巻 5 号 p. 931-934
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    59歳の女性。13年来の汎発性強皮症(SSc)にて加療中著明な高血圧を呈し, 検査所見では血漿レニン活性高値を示し, 強皮症腎クリーゼ(SRC)と診断した。カプトプリル, フロセミド, ニフェジピンの併用投与を行ったが, 奏効せず, 急速に腎機能が低下し, 死の転帰をとった。腎の剖検所見では小葉間動脈の内膜の浮腫状肥厚を認め, アルシアン青染色で陽性を示し強皮症腎に特徴的な所見を呈したが, SRCにしばしば認められる血管壁のフィブリノイド壊死は認めなかった。SScにおける最も重篤な合併症としてのSRCを念頭に置き, 早期に発見して対応することの重要性を強調した。
  • 佐々木 哲雄, 筧 正兄
    1994 年 56 巻 5 号 p. 935-938
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    乳癌術後放射線療法後に診断された全身性強皮症(PSS)の女性例を報告した。63歳時左乳房切断術(組織; 硬癌)を受けたが, 65歳時左上胸部に皮膚転移を生じ放射線照射。その頃から皮膚硬化とRaynaud現象を自覚していた。66歳時に右腋窩, 67歳時に左頸部も照射。68歳で当科を初診した時には, 放射線照射部位の色素沈着と皮膚硬化のみならず四肢の浮腫, 皮膚硬化, 色素沈着と舌小帯の変化, 指関節背面の小潰瘍瘢痕を認めた。抗核抗体640倍陽性, 抗トポイソメラーゼI抗体4倍陽性で, 食道機能低下, 肺線維症を伴った。前腕伸側皮膚生検組織では真皮上層の浮腫と中·下層の膠原線維の増生を認めた。本例では放射線照射後に皮膚硬化とRaynaud現象を自覚しており, 放射線がPSSの症状を顕性化ないし悪化させた可能性が考えられる。同様な報告も散見され, PSSにおける線維化の機序を考える際に示唆に富む症例と思われる。
  • 武田 孝爾, 愛甲 隆昭, 籏持 淳, 植木 宏明
    1994 年 56 巻 5 号 p. 939-944
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    血清中に抗II型コラーゲン抗体を証明した再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis=RP)の2例を報告した。症例1は54歳の女性で両側耳介軟骨炎, 鞍鼻, 気道軟骨炎を認め, 経過中に眼症状(上強膜炎)が併発した。症例2は68歳の女性で右耳介軟骨炎で初発し, 経過中に左耳介の腫脹, 上強膜炎が生じた。2例とも病初期の血清中に抗II型コラーゲン抗体を認めた。さらにII型コラーゲンのCBペプチドによるエピトープを解析したところ症例1はCB10のみを認識していることが判明した。また抗体価は症例1において臨床症状が軽快するとともに低下していることから, 抗II型コラーゲン抗体の測定はRPの病勢を判断するために有用な検査であると考えられた。
  • —マレイン酸リスリドおよび塩酸チクロピジンの2剤により誘発された1例—
    下村 洋, 林原 利朗, 影下 登志郎, 小野 友道
    1994 年 56 巻 5 号 p. 945-949
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    59歳の男性。臨床·病理組織および免疫組織化学的に落葉状天疱瘡と診断し, 加療をおこなっていたが再燃を繰り返すため精査を行った。内服テストの結果およびS残基の変化から推察しマレイン酸リスリド(lisuridemaleate)と塩酸チクロピジン(ticlopidine-HCl)の併用によって誘発された落葉状天疱瘡と考えられた。われわれが調べた限りではこれら薬剤によって誘発された天疱瘡報告例は見い出し得なかった。
  • 田中 敬子, 太田原 顕
    1994 年 56 巻 5 号 p. 950-953
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    症例は59歳の女性。全身に多発する紅斑を主訴に来院。アレルギー歴に特記することはない。18歳時よりWPW(Wolff-Parkinson-White)症候群があり, 55歳時より内服治療を受けていた。平成5年12月1日iohexolを用いた心臓カテーテル検査, 12月10日iohexolを用いた心臓カテーテルと高周波カテーテルアブレーションをうけた。12月15日体幹, 四肢にそう痒を伴う紅斑が出現し, 軽快しないため12月16日当科紹介となった。掌蹠を除く全身に粟粒大から母指頭大の紅斑が多発していた。背部では融合し瀰慢性紅斑となっていた。白血球数4,900/mm3, 好酸球2%, LDH 325IU/L%, IgE(RIST)2IU/ml, DLSTは陰性であった。皮内反応ではiohexol, iopamidolにて15分後で疑陽性, 48時間, 72時間後で陽性であった。貼布試験ではiohexol, iopamidolにてICDRG分類では48時間後, 72時間後ですべて陽性(+)であった。以上からiohexolによる遅発性薬疹と診断した。
  • 松本 茂, 小玉 肇
    1994 年 56 巻 5 号 p. 954-958
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    尋常性乾癬の急性増悪時に限局性膿疱性乾癬, 胸肋鎖関節炎を呈した1例を報告した。症例は41歳の男性。10年来, 尋常性乾癬の典型疹を有していたが無治療。全身の乾癬病変が増悪し, ついで発熱と共に両手背の皮疹部に粟粒大膿疱が多発, 胸肋鎖関節が腫脹。エトレチナート, PUVA療法, 短期間の抗生剤投与により皮疹および関節症状は軽快した。胸肋鎖関節炎を呈しうる尋常性乾癬, 膿疱性乾癬および掌蹠膿疱症, acute generalized pustular bacteridには共通の病因が存在することが示唆された。
  • 豊福 一朋, 竹内 実, 今山 修平, 堀 嘉昭, 三村 和郎, 小林 邦久, 谷口 晋
    1994 年 56 巻 5 号 p. 959-963
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    25歳の男性のほぼ全身に生じた発疹性黄色腫の1例を報告した。24歳頃にほぼ全身に一見膿疱にみえる多数の黄色または紅色丘疹が散在性, 一部集簇して短期間のうちに出現し, その後下肢にも出現した。生検により得られた皮膚組織の特殊染色を含めた病理組織学的所見から本症と診断し, 臨床検査にて高脂血症および糖尿病が見出された。薬物療法, 食餌療法によって, 原疾患の改善とともに皮膚病変も改善した。
  • —4例の報告と本邦報告例の検討—
    義澤 雄介, 伊崎 誠一, 北村 啓次郎, 平井 昭男
    1994 年 56 巻 5 号 p. 964-970
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    Pseudoxanthoma elasticum(PXE)4例を報告するとともに本邦報告例を集計し重篤な合併症を有するPXEの臨床的特徴を明らかにしようと試みた。症例1(56歳の男性)には脳梗塞, 網膜色素線条, 高血圧, 糖尿病, 左橈骨動脈の脈拍の減弱が認められ約3年後に脳梗塞が再発した。症例2(45歳の女性)には網膜色素線条と高血圧がみられた。症例3(32歳の女性)には網膜色素線条を認め, 症例4(34歳の女性)には網膜色素線条と左橈骨動脈の脈拍の減弱がみられた。自験例を含む233例(男性84例, 女性149例)を中枢神経障害を合併する群(CNS: 男性17例, 女性16例。重複合併例を含む, 以下同様), 心疾患合併群(HD: 男性4例, 女性19例), 消化管出血合併群(GI: 男性9例, 女性6例), 合併症の無い群(男性61例, 女性114例)に分類し検討した。中枢神経症状は多彩で30∼40歳代に好発し病状は進行性だった。CNSでは無合併症群と比べ高血圧(合併症群vs無合併症群; 42%vs7%, 以下同様)と糖尿病(26%vs2%)が高率にみられ, 家系にPXEが発見される率はむしろ低かった(19%vs38%)。心疾患としては虚血性心疾患が多く(23例中21例), 若年者に発症し病状は進行性だった。HDでは無合併症群に比べ高血圧(57%vs7%)と糖尿病(9%vs2%)が高率にみられ, PXEの家系内発現率は低率(13%vs38%)だった。消化管出血は若年男性の胃体部に好発し粘膜の血管障害に起因し, GIでは無合併症群に比べ血族結婚が高率(43%vs15%)だった。
  • 桐原 義信, 安田 浩, 末永 義則, 旭 正一, 平野 哲哉
    1994 年 56 巻 5 号 p. 971-974
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    左上眼瞼に生じたマイボーム腺癌の85歳の男性例を報告した。1991年12月頃に, 左上眼瞼に腫瘤が出現し, その後徐々に増大し, 1992年9月1日の初診時には, 大きさが38×23×17mmの, 糜爛および出血を伴う腫瘤を形成していた。病理組織所見では, 真皮内に好塩基性の腫瘍細胞が索状に増生し, 胞体にはoil red O染色にて赤染される脂肪滴を認めた。電顕像では, 細胞質内に大小の脂肪滴がみられた。ミトコンドリアや粗面小胞体の発達は良いが, デスモゾームは少なかった。
  • 定本 靖司, 四宮 禎雄
    1994 年 56 巻 5 号 p. 975-979
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    16歳の男性の右側頸部, 胸鎖乳突筋の筋層間に発生した類上皮平滑筋腫の1例を報告した。上皮様組織像を示す平滑筋腫瘍は特徴的な類上皮細胞と紡錘形細胞よりなり, 良性, 悪性によりそれぞれ類上皮平滑筋腫, 類上皮平滑筋肉腫と分類される。両者の好発部位はほとんどのものが胃腸管, 腹膜, 子宮であり, 本症例のように軟部組織より発生したものはきわめて少ない。自験例の場合, 腫瘍細胞の多形性, 一定数の核分裂像の存在から良性, 悪性の鑑別には苦慮したが, 幼児期より存在すること, 腫瘤径が小さいこと, 核分裂像が少ないことより類上皮平滑筋腫と診断した。
  • —皮膚エコー検査を施行した2例—
    浦 博伸, 古屋 勉, 下妻 道郎
    1994 年 56 巻 5 号 p. 980-983
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    Eccrine hidrocystomaの2例を報告した。症例1は69歳の女性。4, 5年前に発症。眼囲, 前額, 頬部, 鼻下部に, 常色から褐色調の半米粒大までの丘疹が多発。夏期, 多汗時に増大し, 冬はほとんど消退。自覚症状なし。症例2は48歳の女性。5, 6年前に発症。眼囲, 前額に症例1と同様の皮疹が多発。発汗時に軽度痒みあり。皮膚エコー検査では, 2例とも, 皮内に比較的境界明瞭で, 内部エコーに乏しい嚢腫構造を認めた。症例2では後部エコーの増強を認めた。病理組織では, いずれも真皮内に1, 2層の扁平な上皮細胞からなる嚢腫構造を認め, 周辺には軽度拡張したエクリン汗器官を認めた。Eccrine hidrocystomaに関する文献を考察した。
  • 坪内 由里, 立石 毅, 梅林 芳弘, 大塚 藤男, 村木 良一, 長澤 俊郎, 阿部 帥
    1994 年 56 巻 5 号 p. 984-991
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    57歳の女性。初診時全身に胡桃大までの皮下結節が多発し, その組織像は脂肪小葉内へリンパ球, 組織球, 好中球が浸潤し(lobular panniculitis), 巨細胞, 泡沫細胞などを混ずる脂肪肉芽腫の像を呈した。他に全身症状を認めず皮下脂肪肉芽腫症(Rothmann-Makai症候群)と診断し, 安静保持を行ったところ約2ヵ月にて皮疹は消褪した。半年後皮下結節が多数再発, 潰瘍を形成した。組織学的に真皮から皮下の血管周囲に稠密な中型の異型リンパ球(MT1, UCHL1陽性, L26陰性)の浸潤を認め, T cell lymphomaと診断した。また鼻粘膜, 鼠徑リンパ節への腫瘍の浸潤を認め, 画像所見上膵, 腎への浸潤も疑われた。各種化学療法を行うも初診から約1年半後に死亡した。自験例は皮下の脂肪肉芽腫様病変で初発後多臓器に浸潤したT cell lymphomaであり, 現在ではperipheral T cell lymphomaの1型と考えられているlymphomatoid granulomatosis類似の臨床経過をとった例と考えた。
  • 藤田 弘, 黒川 滋子, 今泉 俊資, 河崎 洋志, 原田 清
    1994 年 56 巻 5 号 p. 992-995
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹の治療中に発症した髄膜炎の2例を経験した。症例1は61歳の女性, 初診3日前より右下肢に帯状疱疹が出現してきた。アシクロビルの点滴治療3日目に高熱, 頭痛, 嘔吐が出現した。症例2は62歳の男性, 初診3日前より右後頭部, 右頸部に帯状疱疹が出現し, アシクロビル点滴治療5日目に激しい頭痛と項部硬直が出現した。2例とも髄液所見はウイルス性髄膜炎を示唆し, 血中·髄液中の水痘·帯状疱疹ウイルス抗体価の上昇が認められ, アシクロビルを1500mg/日に増量したところ症状·検査所見ともに改善を認めた。帯状疱疹の患者が頭痛や嘔気を訴えた場合, 水痘·帯状疱疹ウイルスによる髄膜炎も考え対処すべきであると考えられた。
  • 大坪 東彦, 後藤 由美子, 成澤 寛, 幸田 弘
    1994 年 56 巻 5 号 p. 996-999
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    佐賀県で発症した手掌黒癬の2例を報告した。患者は3歳および12歳の女児で, いずれも自覚症状のない褐色斑が手掌に生じ, 病変部の角層擦過KOH標本で, 特徴的な淡褐色調の多隔壁性菌糸を認め, 分離培養, スライドカルチャーの所見より, いずれもHortaea werneckiiによるtinea nigra palmarisと診断した。なお抗真菌薬外用にて約1ヵ月で治癒した。佐賀県におけるはじめての症例である。
研究
  • 中山 樹一郎, 太田 浩平, 占部 篤道, 黒木 りえ, 国場 尚志, 井上 光世, 堀 嘉昭
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1000-1006
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    von Recklinghausen病(neurofibromatosis, type 1)の神経線維腫(NF)より塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を抽出, 精製する目的でNFの粗抽出液を作製し, ヘパリンセファロースクロマトグラフィーを行った。1.0Mおよび1.4M NaClで溶出される2つのピーク分画にNIH3T3線維芽細胞を増殖させる活性がBrdU標識法で検出された。この溶出パターンはRatnerらの報告するパターンに極めて類似し, 後半のピークがbFGFと推定された。このピーク分画をNIH3T3線維芽細胞およびNF培養細胞へ添加すると癌遺伝子c-fos発現が誘導された。またウシbFGFをNIH3T3およびNF細胞へ添加して, c-fosタンパクの発現時間を免疫螢光染色法により比較すると, NF細胞の方がより長時間(添加後3時間まで)その局在が観察された。また正常人2名より得られた培養線維芽細胞とNF細胞についてのウエスタンブロット法による比較では, リコンビナントヒトbFGF 100ng/ml添加3時間後でも正常人の線維芽細胞ではc-fosのバンドが観察されたが, NF細胞ではヒトbFGF添加前でもc-fosのバンドが観察され, 明らかに正常とは異なるc-fos発現のパターンが得られた。以上の結果よりNFにはbFGFが生化学的にも検出されうる量で存在し, その抽出されたbFGFはウシbFGFと同じくNIH3T3およびNF細胞にin vitroでc-fosを発現させうること, またNF細胞ではbFGFに対するc-fos発現の反応がNIH3T3細胞および正常線維芽細胞とは異なることが明らかとなり, protooncogenesの活性化の調節異常が引き起こされている可能性が示唆された。
  • —皮膚病変における表皮内ランゲルハンス細胞の動態—
    行徳 隆裕, 今山 修平, 古賀 哲也, 利谷 昭人, 久保田 由美子, 宮原 裕子, 棚橋 朋子, 橋爪 民子, 堀 嘉昭
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1007-1010
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    ダニ抗原に対するパッチテスト(PT)陽性アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮疹部およびPT陽性反応部の皮膚組織を用いて, 抗S-100蛋白抗体を用いた免疫組織化学染色を行い, ランゲルハンス細胞(LC)の動態を調べ, アレルギー性接触皮膚炎(CD)患者と比較した。CD患者では表皮内LC数の増加がみられ, AD患者においてもPT部ではLC数が増加していた。しかし, AD患者の痒疹型病変の皮疹部ではLC数の増加がみられたものの, 他の4例の紅斑苔癬部ではLC数は増加していなかった。これらの結果は, ダニ抗原陽性のAD患者にあっても, 皮膚病変形成にはダニ抗原に対するIV型反応のみではなくADの多様性を示すものと考えられた。
  • —ファンデーション剤による検討—
    川田 暁, 森本 浩吉, 野田 俊明, 比留間 政太郎, 石橋 明
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1011-1014
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル 認証あり
    新しいファンデーション剤である2 WAY ファンデーションTD(以下2 WAY Fと略す)(Parfums Christian Dior, Japon)について, CIE(The Commission Internationale de L’eclairage)基準(試案)と化粧品工業連合会の自主基準にほぼ準じて, その紫外線防御効果を検討し, SPFを算定した。さらにsandwich法により波長別透過率を測定した。対象は健康人女子14名で, 被験試料の塗布量は2mg/cm2とした。SPF値の幾何平均値は14.7であった。また化粧品工業連合会の自主基準では15.5であった。以上より2 WAY Fはサンスクリーン剤としてSPF値が高値であり, 正常人および光線過敏症患者への応用が可能であることが示唆された。
講座
統計
  • —帯状疱疹と水痘との疫学的関係を含めて—
    小野 公義
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1018-1023
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    兵庫県皮膚科医会が, 1986年3月より実施している皮膚病サーベイランスから, 水痘と成人水痘の統計を報告した。水痘は10月に最低となり, 冬から初夏にかけて増加する傾向を認めるが, 成人水痘も水痘の推移とまったく並行した動きを示した。したがって, 水痘全体に対する成人水痘の割合も, 11∼12%という一定したものであった。’87年∼’92年の6年間に報告された水痘4592例, うち成人水痘569例を性別年齢別に検討した。全体の男女比は1:1.1で大差はないが, 成人水痘に限ると, その比は1:1.6となり, とくに20歳代の女性は男性の2倍以上の比率となった。これは小児からの感染機会が多いためと考えられる。30歳代以上になると性比は逆転し, 男性が女性より多くなる傾向を示した。帯状疱疹と水痘は月別変化からみても, 年次変化からみても, その発症率が大体において相反関係となることがわかった。すなわち, 一方が減少したときは他方が増加する関係となっていた。同じウイルスで発症する2つの病気が, なぜ発症率については相反関係があるのかは不明である。
  • 松原 勝利, 前田 学, 森 俊二
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1024-1027
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    1990年1月から1992年12月までの, 岐阜大学医学部付属病院皮膚科外来受診者のうち, 抗セントロメア抗体陽性者55例(男性3例, 女性52例)について統計学的に解析した。平均年齢は56.9±13.8歳。臨床診断は, 全身性強皮症45例(82.0%), SLE 1例, DLE 1例, 限局性強皮症1例, 尋常性乾癬2例, アトピー性皮膚炎1例, Darier病1例, 多形日光疹1例, 慢性多形痒疹1例, 斑状アミロイドーシス1例であった。全身性強皮症患者については, Barnett I型の群32例とBarnett II/III型の群13例に分け, 血清A/G比, 肺線維症の有無, 呼吸機能検査, 食道内圧検査, 心電図検査, 尿検査を比較をしたが, 呼吸機能検査の%DLcoにおいて有意にBarnett II/IIIグループが低値を示した(P<0.01)以外, 両群間で有意差はなかった。
  • 濱田 学, 中山 樹一郎, 竹下 弘道, 堀 嘉昭
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1028-1034
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    環境庁小研究班の全国調査の一環として当院皮膚科外来を受診した患者を対象に皮膚悪性腫瘍について年齢別·部位別に統計学的調査を行い, 有棘細胞癌と紫外線に関するアンケート調査を実施した。その結果, 悪性黒色腫は比較的若年層にもみられ, 男女ともに増加傾向が認められた。部位別には, 基底細胞癌, 有棘細胞癌, 悪性黒色腫, 日光角化症は従来いわれているように日光との関連性が示唆される分布を示した。悪性黒色腫については幼小児期の日光曝露との関連性を疑わせるという国外の報告はあるが, 今回の有棘細胞癌についての我々のアンケート調査では成人後の日光曝露との関連を示唆させる結果であった。
治療
  • 刀祢 毅, 衛藤 光, 西山 茂夫
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1035-1039
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    Etretinate(Et)長期少量維持療法中で, その効果が不十分の尋常性乾癬患者に胆汁酸の一種であるursodeoxycholic acid (UDCA, ウルソサン)を同時併用内服療法を行い, 血中のEt主代謝物の値をUDCA内服前と内服後に測定するとともに, 臨床効果について検討した。症例は外来通院にてステロイド軟膏外用とEtを少量維持療法(10mg, 20mg)中の33歳から61歳の尋常性乾癬患者12例(男性10例, 女性2例)。投与および測定方法はEt単独時内服4時間後に血清中のEt代謝物値を測定。その後UDCAは4錠(200mg)を併用内服とし, 効果判定時に同様に測定した。結果はUDCA併用によるEt代謝物濃度の上昇は全体で12例中10例の83%に認められた。その中でEt 10mg群では6例中4例の66%, Et 20mg群では6例中6例の全例に血中代謝物濃度の上昇が認められた。UDCA併用による臨床症状の改善が認められたのは, 全体で12例中8例の66%に認められた。その中でEt 10mg群では6例中3例の50%, Et 20mg群では6例中5例の83%であった。UDCA併用によりEtによる副作用の出現は12例中2例の16%に認められ, それはEt 10mg群の中の2例の33%であった。Et 20mg群では副作用の出現は認められなかった。
  • —1日2回投与法と1日1回投与法の比較試験—
    林 剛徳, 三田 哲郎, 松本 義也, 大橋 勝
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1040-1048
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    そう痒性皮膚疾患に対するオキサトミドの1日1回(計60mg)投与群と, 1日2回(計60mg)投与群の止痒効果と安全性につき比較検討する目的で封筒法にて調査を行った。解析対象例は511例〔A群(1日2回投与): 275例, B群(1日1回投与): 236例〕で, 成人には60mg/日, 小児には1mg/kg/日の経口投与を行った。そう痒については, 両群とも投与後には有意に減少が認められた。さらに, 投与後のそう痒の重症度はB群の方がA群に比べて有意に軽症化していることが認められた。最終有効性については, 改善以上を示したのはA群で85.8%, B群で89.4%であり, 安全性については, A群93.8%, B群93.6%を示したことより, 両群間には差はなく同等の有用性を示すものと考えられた。副作用はA群で17例(6.2%), B群で15例(6.4%)の発現が認められ, そのうち眠気の訴えが最も多く, A群は16例(5.8%)でB群は12例(5.1%)で差は認められなかった。以上より, そう痒を伴う皮膚疾患に対し, オキサトミドの1日1回投与は1日2回投与と比較して有用な投与方法と考えられた。
  • 三重オキサトミド研究班
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1049-1054
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    慢性皮膚そう痒性疾患である蕁麻疹, 湿疹, 皮膚炎, 皮膚そう痒症の190例を対象とし, オキサトミド1日60mg分2投与を行い, 自覚症状(そう痒)の程度が0(なし)あるいは1(軽度)に寛解した時点で1日1回30mg半量投与による維持療法を行い, その有用性を検討した。維持療法期間における再燃は解析対象例155例中22例にみられ, 再燃率は14.2%であった。疾患別の再燃率は蕁麻疹群—15.0%, 湿疹·皮膚炎群—14.0%, 痒疹群—25.0%, 皮膚そう痒症—14.3%であり, 再燃期間については一定の傾向はみられなかった。副作用は全例においてみられなかった。全症例を含む有用度は85.8%であった。以上のことからそう痒を伴う慢性皮膚疾患における自覚症状(そう痒)寛解時の維持療法としてのオキサトミドの半量投与は治療の過程の上で有用な投与法と考えられた。
  • 中山 樹一郎, 古賀 哲也, 占部 篤道, 堀 嘉昭, 桐生 美麿, 野間 健, 渕 曠二, 安田 勝, 八島 豊, 吉利 優子, 徳永 三 ...
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1055-1064
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎患者69例に対し, ヒスタグロビン®(Histaglobin®: 以下HG)適量療法〔初回1 vialで4回投与後, 効果不十分例(軽度改善以下の症例)に対し, 2 vialに増量し4∼6回の投与を行う方法〕を実施し, その治療効果の検討を行うとともに, 同期間中のアレルギーパラメーター(血中好酸球数, 血中ヒスタミン値, 血漿ロイコトリエンB4(LTB4)値, 血清eosinophilic cationic protein(ECP)値)の変動を検討した。HG 1 vial投与における1st stage終了時の全般改善度は, 「中等度改善以上」42例, 60.9%であった。また, 1st stageでの効果不十分例, 即ち「軽度改善以下」の症例22例(脱落症例は除く)に対し, 2 vial投与を行った2nd stage終了時での全般改善度は, 「中等度改善以上」18例, 81.8%で, 2 vialに投与量を増量することにより改善度の上昇が認められた。試験期間中の副作用は1例も認めず, 概括安全度についても全例問題はなかった。1st stage終了時の有用度は, 「有用以上」で62.3%, 2nd stage終了時では72.7%と高い有用率が認められた。試験期間中, 測定しえた全症例のアレルギーパラメーターの推移では, 血中好酸球数, 血中ヒスタミン値, 血漿LTB4値には, HG投与前後に全体としては有意の変動は認められなかった。血清ECP値に1st stage終了時, 有意(P<0.05)の上昇が認められた。血清ECP値は好酸球数, 重症度に相関するようにみられたが, HGの臨床効果とは関係なかった。また, 試験開始時の血漿LTB4値が100pg/ml以上であった18例においては, 1st stage終了時きわめて有意(P<0.01)な低下が認められた。
  • 江藤 隆史, 石橋 康正
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1065-1071
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹患者112例にアシクロビル(ゾビラックス®錠400)を投与し, その治療効果について検討した。16歳以上で皮膚症状発現後5日以内の軽症および中等症の患者を対象とし, ゾビラックス®錠400を1回2錠, 1日5回, 7日間投与した。解析対象となった84例において, 有用率は94.1%であった(極めて有用46例, 有用33例)。皮疹の全般改善度では, アシクロビル投与により速やかな治癒過程を示し, 投与7日後の早期において96%の改善率を得た。皮疹発現後3日以内投与群では4日以降投与群に比べ, 3日後の皮疹の全般改善度に優れ(P<0.01), 皮疹の拡大が軽度(P<0.05)であったが, 疼痛抑制効果の推移においては有意差は認められなかった。投与1ヵ月後および2ヵ月後における疼痛の消失率はそれぞれ73.4%, 83.4%であった。帯状疱疹後神経痛(PHN)と判断される頑固な疼痛に関しては1ヵ月後に1例(1.6%)残存を認めたが, 2ヵ月後にはみられなかったことからアシクロビルのPHN移行抑制効果が示唆された。副作用は胃腸障害, 下痢, 頭痛が各1例に, 臨床検査値異常はBUN上昇, WBC上昇が各1例に, トリグリセリド値上昇が8例に発現したが, いずれも軽微であった。
  • 長崎爪白癬研究班
    1994 年 56 巻 5 号 p. 1072-1078
    発行日: 1994/10/01
    公開日: 2011/07/21
    ジャーナル フリー
    爪白癬81例(81爪)について, 塩酸ブテナフィンクリーム(ボレークリーム®)ODTによる治療効果を検討した。58例について結果が得られ, うち有効45例(77.6%), 悪化1例(1.7%)であった。副作用と思われる症状は2例にみられ, いずれも局所の刺激症状であった。塩酸ブテナフィンクリームODTによる爪白癬の治療は, 抗真菌剤内服不能の爪白癬患者に対する選択肢のひとつになりうると考えた。
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