西日本皮膚科
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78 巻 , 3 号
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目次
図説
綜説
  • 藤澤 康弘
    78 巻 (2016) 3 号 p. 221-228
    公開日: 2016/09/01
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    悪性腫瘍の薬物治療は,分子標的薬の登場により大きく進歩した。分子標的薬は低分子医薬と高分子の抗体医薬とに大きく分けられるが,基本的にはある特定の分子を標的とした選択性の高い治療薬である。 低分子医薬は主に細胞内の腫瘍細胞の増殖にかかわる分子に作用するように,抗体医薬は細胞表面にある分子に結合して作用を発揮するように設計されている。これまでに多数の分子標的薬が上市しており,白血病における低分子医薬であるイマチニブや,乳癌における抗体医薬であるトラスツズマブはその治療成績の高さからいずれも治療の中心となっている。皮膚科領域でも 2014 年以降,悪性黒色腫に対する抗体医薬のニボルマブが承認されたのを皮切りに低分子医薬のベムラフェニブや抗体医薬のイピリムマブが相次いで承認された。ニボルマブやイピリムマブはいずれも免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれ,腫瘍免疫を活性化することで効果を発現するのに対して,ベムラフェニブは悪性黒色腫にみられる活性型の変異 BRAF を抑制することでその効果を発現する。しかしいずれも単剤での治療効果は限定的であることから,他の治療との併用が今後の主流になっていくと考えられる。また,分子標的薬はこれまでの化学療法とは全く異なる有害事象を起こし,ときに致命的となることからその使用にあたっては充分な注意が必要である。
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症例
  • 木村 徹子, 山本 剛伸, 岡崎 布佐子, 家木 良彰, 藤本 亘
    78 巻 (2016) 3 号 p. 229-233
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル 認証あり
    副腎皮質ステロイド薬を使用する点眼や内服治療はステロイド感受性の高い患者,すなわち「ステロイドレスポンダー」に眼圧の上昇,医原性開放隅角緑内障を起こすことがある。アトピー性皮膚炎の患者でステロイド外用薬により緑内障を併発した症例はわが国,海外を通し極めて少数しか報告されていない。 29 歳,男性,重症アトピー性皮膚炎で緑内障を併発した症例を報告する。患者は過去に皮膚症状の増悪時,ステロイド薬外用にステロイド薬内服を短期間併用して治療していた。患者は「ステロイドレスポンダー」であったと思われ,このことがステロイド外用薬を眼瞼へ塗布したことで緑内障の発症に深く関与したものと推測された。治療前には「ステロイドレスポンダー」と確認し得ないため,アトピー性皮膚炎患者が眼瞼へのステロイド外用を必要とする場合には定期的な眼科検診が重要である。
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  • 徳澄 亜紀, 城野 昌義, 丸尾 圭志, 富安 真二朗, 山中 剛, 尹 浩信
    78 巻 (2016) 3 号 p. 234-238
    公開日: 2016/09/01
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    77 歳・男性。顔面・頭部の落屑性紅斑を主訴に初診し,脂漏性皮膚炎と考えての加療に抵抗を示し,露光部の強い瘙痒を自覚する角化性紅斑や爪囲紅斑などの出現を契機に各種血液検査を行い皮膚筋炎(dermatomyositis : DM)と診断した。DM の診断後に行った画像診断・病理組織検査にて,胃に低分化腺癌を発見した。胃全摘術施行後 DM 症状は速やかに改善した。しかし術後 2 カ月より筋症状・皮膚症状とも急激に顕性化し,60 mg/日のプレドニゾロン投与を開始した。ステロイド投与後,皮膚症状・歩行障害・高筋原性酵素値は速やかに改善したが,嚥下障害のみが回復するまでに 95 日を要した。本症例では抗 TIF1 抗体が陽性であった。自験例と文献を通して,「悪性腫瘍を合併する DM においては,切除のみでステロイド投与を躊躇してはならず,嚥下障害は通常難治であるため病初期より経管栄養・嚥下訓練を開始すべき」と痛感した。寛解から 4 年後の現在まで,皮膚症状,胃癌,嚥下障害を含む筋症状の再燃は認めていない。
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  • 正木 沙織, 立川 量子, 内尾 英一, 今福 信一
    78 巻 (2016) 3 号 p. 239-242
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は 66 歳の男性。初診の 4 カ月前から両上眼瞼の腫脹が出現した。Sjögren 症候群を疑ったが,抗核抗体,抗 SS-A,抗 SS-B 抗体は陰性だった。IgG4 値は 325 mg/dl(基準値 4~108 mg/dl)と高値であり,IgG4 関連涙腺唾液腺炎(Mikulicz 病)を疑い涙腺生検を施行した。涙腺には形質細胞の浸潤がみられ免疫染色では IgG 陽性形質細胞の中の IgG4 陽性の割合は 30%で,基準の 50%を満たさず IgG4 関連涙腺唾液腺炎は確定できなかった。プレドニゾロン(PSL) 60 mg/day で治療を開始し速やかに両上眼瞼の腫脹の軽快と血清 IgG4 値の正常化がみられた。しかし,PSL 漸減と共に症状は再燃した。メソトレキサート 6 mg/週に変更したが難治で,再度 PSL へ戻し症状は軽快している。高 IgG4 血症,両側涙腺腫大,治療経過より IgG4 関連涙腺炎と考えられた症例であった。両側の上眼瞼の腫脹がみられた時には IgG4 関連疾患も鑑別の一つに挙げる必要がある。
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  • 清永 千晶, 松田 光弘, 吉村 和弘, 大畑 千佳, 古村 南夫, 名嘉眞 武国
    78 巻 (2016) 3 号 p. 243-247
    公開日: 2016/09/01
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    77 歳,女性。初診の 15 年前より本態性血小板血症の診断で加療を行っていた。1 年前より体幹に紅色皮疹が出現し,1 週間前より全身に紅斑,鱗屑,膿疱が生じてきた。病理組織学的に角層下に膿疱形成を認め,角層下膿疱症と診断した。また血中の TNF-α が上昇していた。本態性血小板血症に対しヒドロキシカルバミドで加療をされていたが,増悪を認めたためブスルファンが追加投与となった。その後血小板は速やかに低下し,それに伴い TNF-α は低下し皮疹も改善を認めた。角層下膿疱症とは壊疽性膿皮症,Sweet 病などと共に好中球性皮膚症とされている。皮疹の成立には TNF-α による好中球の活性化作用の関連が示唆されている。本態性血小板血症は骨髄増殖性疾患である。JAK2 や MPL などの遺伝子変異によるサイトカインのシグナル伝達の亢進により発症するとされており,TNF-α が上昇することが知られている。本態性血小板血症と角層下膿疱症の合併は稀であるが,皮疹の増悪時に TNF-α が上昇しており,TNF-α の低下に伴い皮疹が改善したことから,病態形成に TNF-α が関与している可能性が推測された。
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  • 森岡 友佳, 辻 学, 河原 紗穂, 溝手 政博, 中原 剛士, 内 博史, 石井 文人, 古江 増隆
    78 巻 (2016) 3 号 p. 248-251
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル 認証あり
    73 歳,男性。2014 年 8 月より湿疹として近医で加療中であった。2015 年 3 月に皮膚症状が増悪し,前医で入院加療されていたが症状が改善せず,4 月に当科を紹介され受診し,精査加療目的に入院となった。陰部を除く全身に瘙痒を伴うびらん,色素沈着を認めた。病理組織像では表皮真皮境界部に空胞変性が認められ,真皮上層にリンパ球が主体で,一部好酸球を多数混じた炎症細胞浸潤が認められた。血液検査所見では抗 BP180 抗体価は 658 U/ml と高値であった。蛍光抗体直接法では表皮基底膜部に IgG,C3 の線状の沈着が認められた。以上の所見より,水疱性類天疱瘡による紅皮症と診断した。プレドニゾロン 30 mg/日,ミノサイクリン塩酸塩 200 mg/日,ニコチン酸アミド 1500 mg/日の内服で治療を開始し,抗 BP180 抗体価は 214 U/ml に低下し,症状は徐々に改善した。水疱性類天疱瘡により紅皮症を呈した稀な症例を経験したので,文献的考察を加えここに報告する。
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  • 安村 涼, 大久保 優子, 川畑 有香, 内海 大介, 山口 さやか, 新嘉喜 長, 高橋 健造, 上里 博
    78 巻 (2016) 3 号 p. 252-256
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル 認証あり
    50 歳,女性。初診の 2 年前より頭頂部の短毛を自覚していた。ステロイド外用剤により加療されたが症状は改善せず当科を受診した。初診時,頭頂部に短毛が多数認められた。短毛部の毛幹には点状の白色結節が散在性にみられ,結節部で容易に切れ毛を生じた。易脱毛性はなく,頭髪以外の毛髪には異常所見はなかった。患者は以前より頭頂部を搔破し,また定期的にストレートパーマを行っていた。患者の病歴,臨床症状,顕微鏡所見より物理的障害による後天性結節性裂毛症と診断した。フェキソフェナジン塩酸塩の内服とストレートパーマの中止により,6 カ月後には毛髪所見の改善を認め,その後再発していない。
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  • 菅野 みゆき, 成田 幸代, 持田 耕介, 天野 正宏
    78 巻 (2016) 3 号 p. 257-261
    公開日: 2016/09/01
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    51 歳,女性。初診 10 年前より外陰部の瘙痒があり,初診 2 年前よりびらんが生じた。初診時,両側小陰唇に境界明瞭な白色病変と不規則なびらんを呈し,生検にて扁平苔癬と診断した。各種外用剤にて加療するも難治であり,病変内に潰瘍を形成した。プレドニゾロン 5 mg 内服を行ったが両小陰唇の潰瘍は難治であり,初診から 3 年後に悪性化を疑い潰瘍部から生検を施行し,病理組織学的に有棘細胞癌と診断した。両側小陰唇潰瘍部分から 6 mm 以上のマージンを取り病変を切除した。病理組織学的に左小陰唇潰瘍部は有棘細胞癌の腫瘍胞巣が真皮中層まで浸潤していた。一部脈管侵襲を疑う所見を認めたが,両鼠径部のセンチネルリンパ節に転移は認めなかった。術後 1 年後の時点で局所再発や遠隔転移の徴候はない。外陰部扁平苔癬から生じた有棘細胞癌は口腔内扁平苔癬と比べ稀であり,皮膚原発の有棘細胞癌と比較して転移・再発率が高く予後不良である。悪性化の可能性を念頭に置くこと,扁平苔癬に対し適切な治療を行うことが有棘細胞癌発生の予防に重要であると考える。
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  • 冨田 笑津子, 竹内 絢, 位田 麻衣, 大野 稔之, 嘉陽 織江, 清水 真
    78 巻 (2016) 3 号 p. 262-265
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル 認証あり
    31 歳,女性。血液疾患の既往はない。3 カ月前より自覚する左乳腺腫瘍を当科初診 8 カ月前に前医で切除し,良性と診断されていた。術後 5 カ月より手術創部に褐色丘疹および皮下結節が出現し,増大傾向のため当科を受診した。当科初診時,左乳輪に疣状の褐色結節,左胸部に皮下に 40 mm ほどの硬結を認めた。皮膚生検にて真皮内に大型不整形細胞が稠密に浸潤していた。免疫染色にて CD68,CD117 陽性,CD3,CD4,CD10,CD20,CD34,CD56 陰性であった。骨髄検査では異常細胞を認めなかった。以上より myeloid sarcoma と診断した。本人の希望にて診断 2 カ月後より他院で化学療法を施行したが寛解に至らなかった。その後 5 カ月の治療自己中断を経て当院血液内科を受診したが,その際には急性骨髄性白血病を発症していた。現在化学療法を施行中で,今後骨髄移植予定である。稀な疾患である myeloid sarcoma において珍しい臨床像を呈していたため報告する。
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  • 大塚 明奈, 阿部 俊文, 安元 慎一郎, 橋本 隆, 名嘉眞 武国
    78 巻 (2016) 3 号 p. 266-269
    公開日: 2016/09/01
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    71 歳,女性。初診の 10 年前に左上口唇に小豆大の褐色丘疹が出現し徐々に拡大してきた。初診時,左上口唇に 15 × 7 mm の表面疣状で中央部に点状の黄色痂皮が付着した淡褐色結節を認め生検を施行した。病理組織学的に真皮内に大小様々で不規則な形をした囊胞状に拡張した腺管の増殖がみられ,内部に好塩基性に淡染する粘液を認めた。一部では有棘細胞様細胞による小型の胞巣と偏在した紡錘形の核と明るい豊富な胞体を有する粘液産生細胞の腺管様構造を認めた。PAS 染色とアルシアンブルー染色では,どちらも粘液産生細胞の胞体内と腺腔内部に陽性を示した。以上より mucoepidermoid carcinoma と診断し,下口唇からの Abbe flap 法により上口唇欠損部を再建後に皮弁離断術を施行した。現在,術後 5 年経過しているが再発・転移はない。Mucoepidermoid carcinoma は主に唾液腺に発生する腫瘍であるため,多くは耳下腺,顎下腺,口蓋にみられ皮膚科領域からの報告は稀であるが,口唇領域に腫瘍が生じた場合,本腫瘍も念頭に入れておく必要がある。
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治療
  • 牧野 健司
    78 巻 (2016) 3 号 p. 270-273
    公開日: 2016/09/01
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    十味敗毒湯は化膿性皮膚疾患,湿疹,蕁麻疹などの適応を持つ医療用エキス製剤であり,皮膚疾患に幅広く用いられる処方として知られている。今回,炎症性皮疹を伴う尋常性痤瘡患者(42 例 83 部位)に対し外用薬と併用して十味敗毒湯を 4 週間以上投与したところ,皮疹重症度スコアは投与 2 週後より有意に改善した。また,部位別(額部・頰部・口周部・顎頚部・胸部・背部・躯幹)に検討したところ,額部および頰部の皮疹重症度スコアは投与 2 週後より有意に改善し,胸部,背部においても改善傾向を認めた。以上の結果から,尋常性痤瘡患者における十味敗毒湯の併用は顔面だけではなく,躯幹における炎症性皮疹を早期より改善することにより,QOL の向上に寄与しうる薬剤と考えられた。
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世界の皮膚科学者
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