安全工学
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28 巻, 5 号
安全工学_1989_5
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
安全への提言
総説
  • 秋元 肇
    1989 年 28 巻 5 号 p. 270-278
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    二酸化炭素などの温室効果気体の濃度が2倍になると地表の温度は1.5~4,5℃上昇するといわれているが,どのような原理からそのような数字が導き出されているのだろうか,また,二酸化炭素,メタン,亜酸化窒素などの温室効果気体の濃度上昇のメカニズムは,どうなっているのだろうか.温室効果気体による地球温暖化の原理を,地球のエネルギー収支という地球物理学的側面と,温室効果気体の物質収支という地球化学的側面の両面から概観し,最近の科学的知見の一端をまとめてみた.

報文
  • 津田健・北條英光
    1989 年 28 巻 5 号 p. 279-284
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    多層金網形フレームアレスターの消炎挙動に影響する種々の因子,すなわち金網枚数,金網設置間隔,金網設置角度の影響につき実験的に検討し,つぎの結果を得た. ①消炎性能は枚数とともに増大する,しかし,6枚以上の場合には消炎性能の向上は見られない。 ②金網間隔に対し,2つの臨界値が存在する.第1は許容金網間隔であり,この間隔以下で設置した場合は,密着した場合と同じ性能を示す、第2は限界金網間隔であり,これ以上離して設置すると1枚の金網と同じ消炎性能を示す. ③消炎性能は,金網の設置角度にはまったく依存しない. 以上の結果を考慮することにより,より効果的なフレームァレスターの設計が可能となる.

  • Estimation of Heats of Formation and Bond Energies of Reactive Chemicals by Sanderson's Method
    松永 猛裕
    1989 年 28 巻 5 号 p. 285-290
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    サンダーソンの開発した方法を基にして反応性の高い分子の結合エネルギーおよび生成熱を推定した.この方法は経験的パラメータを用いるが,分子の構造がわかれば推定が行えるという長所がある.また,反応性の高い分子にはおおかた弱い結合があることから,結合エネルギーが爆発危険性の指標の1つとなりうるか否かの見通しをつけるために本法で求めた結合エネルギーと実測とを比較検討した。 その結果,いくつかの高反応性分子について結合エネルギーおよび生成熱の値を推定することができた.また,生成熱を推定する方法には従来Bensonの加成性則が有効であったが,本方法では,加成性則に用いられるグループパラメータも推定できた,しかしながら,火薬類に適用した結果,必ずしも実験と 一致しないものがあった.

  • Application of Knowledge Engineering to Automated Tree Synthesis Based on Decision Table
    鈴木 和彦, 佐山 隼敏, 亀山 嘉正
    1989 年 28 巻 5 号 p. 291-303
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    本論文では,プラントの知識表現としてデシジョンテーブルを用い,知識工学の手法により,フォールト・ツリーを自動生成する手法を提案した.デシジョンテーブルは,要素の入力,出力,内部状態の関係を表で表現し,これをデータベースに格納する,データベースに対して,情報探索を行い,事象を展開し,対象プラントのフォールト・ッリーを自動生成することができる.ツリー自動生成プログラムをLispで記述した。本論文で提案する手法を,低圧注入系に適用し,ツリー生成例を示すとともに, 手法の有用性を明らかにした.

資料
  • 村上邦利・後藤信仁・稲垣隆行
    1989 年 28 巻 5 号 p. 304-311
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    ボイラの主燃料として購入した石油コークスを微粉末にして使用を開始したが,予熱装置内においてこのものの温度が異常に上昇するという現象が発生した. その原因,対策について装置メーカなどと調査検討を進めるうちに,石油コークスの物性,特に,その自然発火性などの熱安定性を明確に把握すべきことが原因追求のための重要なポイントとなるという ことで意見の一致をみた, そこで,東北大学榎本助教授の助言,労働省産業安全研究所および弊社愛媛防災実験室の協力を得て調査,検討を行った結果,ほぼ原因を推定することができた。 特に,ARC(暴走反応測定装置)による測定結果が原因推定の決め手となったので,このことを中心に調査,検討結果の大略およびそれらにもとづいて取られた対策の概要について紹介することとする.

  • 飯塚 義明
    1989 年 28 巻 5 号 p. 312-317
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    反応の暴走,蒸留や乾燥時の熱分解などの熱危険性評価に関する研究例は,10年以上前から最近まで数多く出されており,その評価に関する考え方は確立しつつあるといえよう. 本稿では,DSCやARCの測定上の問題点として著者の体験例と合成反応における暴走反応の検討例 を紹介する.

  • 若倉 正英
    1989 年 28 巻 5 号 p. 318-323
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    最近の開発競争は,危険物を含め膨大な種類の新規化学物質を生み続けている.そのような状況を反映して化学災害を予測し,予防するための測定装置の開発も活発化している. 化学反応の熱危険性予測には,DTAやDSCなどの微量熱測定,ARCに代表される断熱測定が主で あった.しかし最近,キログラム単位の試料を用いて反応中の熱量を測定する装置が使われ始めている.これらの装置の長所はかくはんや混合,蒸留,触媒添加など種々の反応操作中の熱量測定を行える点である、また,伝熱係数,粘度変化,必要冷却量などプロセス設計に必要な多様なデータを得ることも可 能である. 本報では欧米を中心として反応の危険性評価に用いられているメトラー社製反応熱量計にっいて,概要,測定原理,応用例などを概説する.

  • 林 年宏
    1989 年 28 巻 5 号 p. 324-329
    発行日: 1989/10/15
    公開日: 2017/10/07
    ジャーナル フリー

    バッチ式反応器を用いて付加価値の高い化学物質を製造するという生産形態は,近年のわが国の化学工業の特徴のひとつであるが,こうした傾向の強まるにつれて,バッチプロセスにおける反応の暴走に起因する事故の増加が懸念される.ここでは,当所の暴走反応実験設備の概要と,この設備を用いて行ったベンゼンのニトロ化における反応暴走実験を紹介し,反応暴走の危険性を示す.

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