安全工学
Online ISSN : 2424-0656
Print ISSN : 0570-4480
ISSN-L : 0570-4480
最新号
安全工学_2024_4
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
会告
安全への提言
総説
  • 若倉 正英, 松尾 英喜, 中村 順
    2024 年 63 巻 4 号 p. 194-202
    発行日: 2024/08/15
    公開日: 2024/08/15
    ジャーナル 認証あり HTML

    低炭素化社会の推進に向けて , 発電分野で脱化石燃料の取り組みが進行している . 水力 , 太陽光 , 風 力 , 地熱 , 波動などと並んで , バイオマス発電の比率も高まっている . 大型のバイオマス発電では木質 チップが主燃料となるが , 成分が複雑で微生物発酵や酸素酸化などによる蓄熱火災の危険性が存在する . 貯蔵施設等では貯蔵量の増加により発熱と放熱のバランスが発熱側にずれることから , 設備の大型化に伴 い火災のリスクが増大する可能性がある . 本報では最近の国内 , ならびに欧州や北米でのバイオマス発 電 , バイオマス燃料貯蔵での事故事例 , 蓄熱のメカニズムや火災防止に関する調査・研究例 , 法的規制の 動向を紹介する . あわせて , バイオマス発電の火災予防への知見の整理を目的に ,RDF( ごみ固形燃料 ) による重大火災の原因調査の結果を整理した .

  • 持田 春人
    2024 年 63 巻 4 号 p. 203-209
    発行日: 2024/08/15
    公開日: 2024/08/15
    ジャーナル 認証あり HTML

    本検証では , 熱画像装置を活用した木造住宅の天井裏や 2 階部分の床材など ( 以下「階層間」という ) の延焼拡大の察知及び検索時の踏み抜け危険のある温度について検証した . 実験は , 階層間を模した 1 畳 程度の大きさの試験体をバーナーで加熱し , その表面を熱画像装置により撮影することで行った . その結果 , 床面を映した場合 , フローリングの床は床下の延焼拡大を察知できる可能性が高いことが分 かった . 天井面を映した場合 , 標準的な仕様の天井は床面を映した場合よりも明確に天井裏の延焼拡大を 察知できた . また , 床材の厚さによらず床表面の温度が 100 ℃ 以上で踏み抜け危険の高い状態とする指標 を提案した .

  • 情報基盤から知識基盤へ
    張 坤, 馮 暁東, 丸山 眞樹, 三上 喜貴
    2024 年 63 巻 4 号 p. 210-216
    発行日: 2024/08/15
    公開日: 2024/08/23
    ジャーナル 認証あり HTML

    労働災害や交通事故による死者数は減少が続いているが , 自宅 , 学校 , 施設など生活空間における不慮 の事故による死者数は増加が続いている . 生活空間における安全を図るために事故情報をはじめとする情 報基盤に期待される役割は大きい . 筆者らは過去 15 年余りにわたって生活空間の安全とその情報基盤の あり方について研究を行ってきた . その経験を踏まえ , 本稿では , 内外の事故データベースの整備と活用 動向をレビューするとともに , 新しい発展動向として , インターネット利用の拡大に伴う SNS などの安 全ビッグデータの活用 , オントロジーや知識表現モデルといった基盤的情報技術の発展をベースとした安 全情報基盤から知識基盤への発展 , 根幹となる事故情報データベースの今後の課題 , 電子商取引の拡大に 伴うオンラインプラットフォーマーの役割などについて述べる .

  • 第 2 回 仕組みで防ぐリスクアセスメントのレベルアップ
    (一社)日本化学工業協会保安事故防止検討ワーキンググループ
    2024 年 63 巻 4 号 p. 217-231
    発行日: 2024/08/15
    公開日: 2024/08/15
    ジャーナル 認証あり HTML

    リスクアセスメント (RA) は安全の要である .RA を効果的に実施するためには ,RA を実施する人材 , 特に RA リーダーの育成が重要で ,RA 評価ならびに製造現場の実務経験が必要である . そのためには組 織として RA 人材をシステム的に育成するとともに ,RA 評価者の処遇改善が必要である . RA の基本は ALARP の原則に則ってリスクの大きさに基づいてリスク低減措置を実施することである . これからの化学産業の生き残りのためには , グローバル基準に沿った考え方が必要である . 日本学術会議 の工学システム安全目標で示されたように , 安全目標には , いかに有効なシステムでも最低限確保すべき 基準 A, ここまでリスクを低減すれば更なるリスク低減を必要としない基準 B がある . これに基づいて 安全マネジメントを実施する必要がある . 変更管理の課題は , 変更か否かの判断にグレーゾーンをどのよ うに対処していくかである .

技術ノート
  • その 2: ダイヤフラムと入口フィルターの分解測定
    八島 正明
    原稿種別: 技術ノート
    2024 年 63 巻 4 号 p. 232-238
    発行日: 2024/08/15
    公開日: 2024/08/15
    ジャーナル フリー HTML

    本研究は前報の回収調査に続くもので , 産業現場からのガス溶断器具の回収調査と測定について , 圧力 調整器を対象に調べた . その 2 では圧力調整器を分解し , 入口フィルターとダイヤフラムの劣化状況を測 定した . 測定の結果 , 回収した酸素用圧力調整器の入口フィルターに粉やパッキンの繊維くずなどが見ら れた . ダイヤフラムは年数とともに硬さを増すことがわかった . 硬さを増すとともにクラックが生じやす くなる . 実験結果より酸素用とアセチレン用の測定までの年数と硬さ ( デュロメータ , タイプ A:HDA 値 ) の関係式を求め , 経年劣化が HDA 値で評価できることがわかった .

  • その 3: 圧力計窓とばねの分解測定
    八島 正明
    原稿種別: 技術ノート
    2024 年 63 巻 4 号 p. 239-246
    発行日: 2024/08/15
    公開日: 2024/08/15
    ジャーナル フリー HTML

    本研究は前報の回収調査に続くもので , 産業現場からのガス溶断器具の回収調査と測定について , 圧力 調整器を対象に調べた . その 3 では圧力調整器を分解し , 圧力計窓 , 圧力調整ばね ( 大スプリング ), 弁 ばね ( 小スプリング ) の劣化状況を測定した . 測定の結果 , 次のことがわかった .a) 圧力計の視認性が 悪いものは , 主にプラスチック製窓を擦り , 表面に傷がついたためである .b) ばねの経年劣化について は , 小さい荷重域で顕著であり , たわみが増大する .c) 爆発・火災の原因解明に役に立つ情報が得られ た .

我が社の環境安全活動
事故・災害ニュース
会報
feedback
Top