安全工学
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安全工学_2025_3
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会告
安全への提言
Well-being − 労働環境における安全と健康に関する研究 − 小特集号
  • 労働安全への応用と定量評価のための提案
    北條 理恵子, 向殿 政男, 清水 尚憲
    2025 年 64 巻 3 号 p. 144-150
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    SDGs が普及し , 参画を表明する企業が増加するとともに , 「 well-being 」にも注目が集まっている . 本 稿では , 時代に応じて変化してきた well-being の概念や考え方 , アプローチ法を概説する . また , 現在 我々が行っている「労働現場での働く人のための well-being 」の在り方及び評価法を紹介する . だれもが 働きがいのある人間らしい仕事ができること , すべての人が働く権利のもと安心・安全に仕事ができる環 境を構築することなどに加え , 労働安全やマーケティングに活かすこれからの労働安全衛生のターゲット としての well-being を , 具体例を挙げながら提案し , 今後の労働安全衛生の進む方向性を考察する .

  • 北澤 良平
    2025 年 64 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    近年 , 労働災害の度数率が増加し , 従来の安全教育では多様化する労働者への対応や危険感受性の向上 が難しくなっている . そこで注目されているのが ,VR( バーチャルリアリティ ) を活用した没入型の危 険体験教育である . 企業での導入が進んでおり , 一定の効果が報告されているものの , 活用方法や教育効 果の定量的評価 , 適切な利用頻度などには課題が残されている . 本稿では ,VR 安全教育の現状と課題の アンケート調査と ,VR 教材とテキスト教材の教育の比較実験による危険感受性などを用いた定量評価手 法の構築を紹介する . さらに , 今後の展望として , 視線追跡や生体信号の活用による評価精度の向上 , コ ンテンツの適切な運用 , 実務での効果検証 , 低コスト化による普及促進の必要性について述べる .

  • 松田 有香, 山田 あかね, 横山 玲, 渡辺 琴乃, 中野 広基, 北條 理恵子
    2025 年 64 巻 3 号 p. 157-161
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    本研究は , 看護師の労働安全衛生向上を目的とし , ウェルビーイングの定量化を試みた .A 病院の看護 師 66 名を対象に , 主観的ウェルビーイング , 心理的ウェルビーイング , 一時的気分 , 心理的ストレス反 応の 4 尺度を用いて ,2024 年 1 ・ 4 ・ 7 月に調査を実施した . 結果 , 主観的ウェルビーイングは人生の値 が仕事と比較して有意に高いことが示された . 心理的ウェルビーイングでは , 自己成長や人生の目的 , 肯 定的人間関係が重要な要因であることが明らかになり , 業務の変化や人間関係の影響を受けやすいことが 確認された .1 月の心理的ウェルビーイングが他の月に比べ低かった要因として , 繁忙期であることや人 事異動の時期であると考えられた . 本研究では , 看護師のウェルビーイングの変化が短期間でも測定可能 であり , 今後の職場環境改善に貢献する可能性が示唆された .

  • 加工 , 検査作業での教示法と作業支援の有効性における予備実験
    今枝 幸博, 美馬 愛理, 小室 英夫, 小藥 匡人, 是村 由佳, 北條 理恵子
    2025 年 64 巻 3 号 p. 162-165
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    今日の機械加工においては ,3D Computer Aided Design(CAD) データを基に Computer Aided Manufacturing(CAM) ソフトウェアを用いて加工データが生成され , それが加工機に送信されて加工が 実行される . 一方で , 単品などの少量生産においては汎用機械の活用や人間との協調作業が求められる機 械を使用する場合も多い . 本研究では , 作業者に提供される加工指示書が視線移動や情報伝達の効率性に おいて最適な形式であるかを検証するために , 実機の代替として折り紙を用いた実験を実施した .25 名の 被験者が 5 種類の題材を 5 つの異なる教示法で作成するタスクに参加した . 本研究はこれらの結果を基に 各教示法の有効性について分析を行った .

総説
  • 羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会「中間取りまとめ」の考え方
    小松原 明哲
    2025 年 64 巻 3 号 p. 166-172
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    2024 年 1 月 2 日 17 時 47 分頃 , 東京国際空港 ( 羽田空港 )C 滑走路上において , 滑走路に誤進入した と思われる海上保安庁機と日本航空機が衝突し , 海上保安庁機の乗員 5 名が死亡し ,1 名が重傷を負う大 変痛ましい事故が発生した . この事故の重大性を鑑み , 国土交通省は , 滑走路上における航空機や地上走 行車両の衝突防止のための , さらなる安全対策を検討するための会議体として , 「羽田空港航空機衝突事 故対策検討委員会」を設置した . この委員会は , 人・運用・技術に関わる安全対策をリスクの考え方に基 づき複合的に検討し , 「中間取りまとめ」を 2024 年 6 月に提示した . 本稿ではこれら対策導出の背景にあ る考え方について解説する .

  • 磁気粘性流体を用いた転倒防止支援技術
    山本 理恵子, 森村 康平, 伊丹 渉, 白石 俊彦
    2025 年 64 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    高齢者や歩行障がい者における側方転倒は , 骨折などの重大事故や寝たきりの原因となることから , 地 域生活の安全確保と事故予防において極めて重要な課題である . 本総説では , 転倒防止技術として磁気粘 性 (MR) 流体を用いた小型ブレーキとばね機構を統合した靴型装具を開発し , 足底の高さ調整による側 方転倒防止を目指した開発プロセスと人を対象とした実証試験について報告する . MR 流体は磁場強度に応じて降伏せん断応力が大きく変化する特性を持つ . 本研究ではこれを利用した 小型 MR ブレーキと慣性センサを用いた制御システムを開発し , 歩行路面の傾斜に応じて足底高さを調 整することで転倒防止効果を実現した . 健常成人 17 名への実証試験では , 転倒リスク指標の有意な改善 が示され , 転倒防止効果が示唆された . 今後は実際の生活環境に即した使用性の向上と安全性評価が求められる .

  • 設計の想定を超える地震動に対する配管系の耐震安全性
    宇田川 誠
    2025 年 64 巻 3 号 p. 180-185
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    本研究は , 大きな地震動を受ける配管系を対象として , 現行の耐震設計技術指針及び設計・建設規格による評価に含まれる耐震設計裕度を解析的手法により定量的に求めることを目的とした . その際 , 配管系の弾塑性挙動による振動エネルギーの消散と , 配管系の剛性の低下による卓越振動数の低下を考慮することとした . また , 配管系の剛性を顕著に低下させ , 配管本体に大きな歪範囲とラチェット歪を生じさせ易くする減肉についても考慮した . さらに , 高歪領域かつ多軸歪下での破損を精度良く評価するため , 平板試験片の単調引張試験及び繰返し載荷試験を対象として , 損傷モデルによる材料構成則と低サイクル疲労寿命評価手法の改良を行った . これに加え , 静的地震荷重を受ける配管要素及び動的地震荷重を受ける配管系を対象として , 解析精度に及ぼす材料構成則の影響評価を行った .

  • 長岡 篤史
    2025 年 64 巻 3 号 p. 186-190
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    CCS(Carbon Capture and Storage) は , 発電所や工場などから排出される二酸化炭素 (CO2) を分離・回収し , 地中に貯留・圧入する技術である .2050 年のカーボンニュートラル達成に向けて重要な技術であり , 特に電化や水素化等の手法による CO2 排出削減が困難である産業分野における脱炭素化に不可欠な位置付けである . 国内では CCS 事業法が成立し , 技術基準や保安上必要となる措置を定める検討がまさに行われているところである . 本稿においては , 分離回収・輸送・貯留の 3 つのプロセスに該当する国際スタンダードおよび今後の検討推奨事項を体系的に整理した IOGP(International Association of Oil & Gas Producers) によるレポートを主に紹介する .

資料
  • 仲村 彰, 飯野 雄士, 宮﨑 球一
    原稿種別: その他
    2025 年 64 巻 3 号 p. 191-197
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル 認証あり

    HFACS は , 航空分野を中心とした事故調査におけるヒューマンファクター分析法である . 航空自衛隊の航空事故調査においても HFACS が活用されており , 本稿はその空自版 HFACS が改訂されたことから ,その改訂内容及び活用方法について説明するものである . これまでも航空自衛隊では ,HFACS を活用してきたが , ヒューマンファクター・リストの要因に不足点を確認したことや米軍の改訂を参考にヒューマンファクター・リストを改訂した . また , 事象の時系列の整理に VTA の要素を組み込み , 事故発生フライトにおける事故関係者等の行動を把握しやすくした .HFACS は分析方法ではあるものの , 分析のための情報収集段階においても活用可能であり , この様な事故調査の流れとの関連についても説明した .

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