日本臨床細胞学会雑誌
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42 巻 , 5 号
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  • 中村 博, 石 和久, 古川 丈子, 岡崎 哲也, 喜納 勝成, 古谷津 純一, 奥山 直子, 風間 玲子, 鈴木 不二彦, 川地 義雄
    2003 年 42 巻 5 号 p. 337-341
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:現在尿路上皮腫瘍のスクリーニング法としては尿細胞診が広く用いられているが細胞異型の弱い腫瘍の場合には検出感度が低く偽陰性が問題となる. 近年開発された尿中腫瘍マーカーのNMP22は, 迅速に結果が得られ早期の尿路上皮癌を確認できるとされスクリーニングに広く用いられつつある. 今回われわれは, 尿中NMP22値と尿細胞診結果を組織診断および膀胱鏡検査と比較し, 今後の尿路上皮スクリーニング法について検討したので報告する.
    材料および方法:2000年7月から2002年4月までに当院泌尿器科より提出された外来自然尿675例について尿細胞診およびNMP22 (コニカMatritech UNMP22テストキットELISA法) を比較検討した.
    結果:臨床的および組織学的に31例の癌 (G1: 8例G2: 19例G3: 4例) が確認された. このうちNMP22では陽性が17例, 細胞診では14例, 陰性はNMP22では14例, 細胞診では17例であった. 細胞診では明らかな偽陽性症例 (+) はみられず, 疑陽性症例 (±) 17例に対しNMP22での偽陽性数は96例であった. これらの要因として細胞診で炎症や結石などにより細胞異型を示していたものがあり, NMP22では白血球成分の多い検体で高値を示していた.
    考察:今回の検討で尿細胞診では検出感度は低いが特異度が高く診断には欠かせない検査である. 一方, NMP22はG1の癌検出が細胞診に比べ優れているが, 膿尿などの白血球成分の多い検体では偽陽性結果が多く細胞診結果と乖離するためNMP22と尿細胞診との併用が望ましいと思われる.
  • 梅澤 敬, 野村 浩一, 安田 允, 山口 裕, 小林 重光
    2003 年 42 巻 5 号 p. 342-346
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:子宮頸部に発生する神経内分泌性腫瘍は, 当初, 肺で分類されているカルチノイドや小細胞癌を含めてカルチノイドという名称で報告されたため, その概念に混乱がみられ, 現行の子宮頸癌取扱い規約の分類でのカルチノイドの細胞学的特徴は確立されていない.
    症例:41歳, 女性. 4ヵ月持続の不正出血を主訴に当院産婦人科を受診した. 子宮膣部細胞診では, 小型腫瘍細胞がロゼット様, 腺管様, 孤立性に出現していた. 核は小型均一でクロマチンは粗穎粒状に分布し核小体は不明瞭であった. 胞体はライトグリーン淡染性で中等量であった. 以上よりClass V, カルチノイドの推定のもと準広汎子宮全摘術が施行された. 組織学的には, 核/細胞質比の高い異型細胞の増生からなる小細胞癌成分と, 均一な小型腫瘍細胞がロゼット状, 腺管様, 充実性胞巣状に増殖し, 胞巣辺縁では柵状配列を示すカルチノイド成分からなり, 前者が優位であった. 両成分ともGrimelius染色陽性で免疫組織化学的にはsynaptophysin, chromogranin A, neuron-specificenolase陽性であった. 細胞診標本での上記腫瘍細胞はカルチノイド成分から採取されたものと考えた.
    結論:子宮頸部カルチノイドの細胞学的特徴は, 均一な核と粗穎粒状のクロマチン, 中等量の胞体を有する小型腫瘍細胞のロゼット様, 腺管様構造である.
  • 高橋 久美子, 中村 泰行, 佐熊 勉
    2003 年 42 巻 5 号 p. 347-352
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:虫垂原発goblet cell carcinoidは, 粘液産生の著明な杯細胞様細胞と神経内分泌細胞への分化を示す細胞を併せもつ比較的まれな腫瘍である. 今回子宮内膜および腹水から本腫瘍の細胞所見を検討する機会を得たが, 特に内膜標本に本腫瘍細胞が出現した報告は見あたらず, 貴重な症例と思われたので報告する.
    症例:45歳, 女性. 排尿障害, 腹部膨満感を主訴に受診. 子宮内膜および腹水細胞診の結果, 両検体から腫瘍細胞が確認された. 腫瘍細胞は, シート状あるいは軽度に重積した集塊を形成し, 杯細胞型の粘液豊富な細胞とN/C比の高い類円形核を有する細胞が混在している. また粘液産生に乏しい細胞からなるロゼット様配列も見出された.
    結論:杯細胞様細胞をまじえた腫瘍細胞が, 内膜や腹水中などに出現した場合, きわめてまれではあるが, 本症も念頭に置くべき疾患で, その細胞像を把握しておくことは重要と思われる. また, 杯細胞型の腫瘍細胞とN/C比の高い腫瘍細胞の混在, あるいはロゼット様構造などの特徴的所見に着目すれば, 胃など消化管原発adenocarcinomaの転移との鑑別はある程度可能と思われた.
  • 朝倉 善史, 今村 友夏, 竹中 美千穂, 寺内 利恵, 中野 万里子, 上田 善道, 黒瀬 望, 野島 孝之
    2003 年 42 巻 5 号 p. 353-357
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:胸腺腫に胸腺癌の発生することはきわめてまれである. 今回その1例を経験し, 細胞像を検討したので報告する.
    症例:20歳の男性で, 学校検診にて胸部レントゲン写真の異常陰影を指摘された. 血清SCC, CYFRAの腫瘍マーカーが高値を示し, 穿刺吸引細胞診と針生検にて胸腺腫と診断され, 腫瘍摘出術が施行された. 摘出腫瘍は12cm大で, 肺の臓側胸膜とは癒着, 浸潤像はなかったが, 心嚢側には異型の強い上皮細胞が, 充実集塊状に増生する部分がみられ, 辺縁に血管浸潤像を伴っていた. 腫瘍捺印細胞診にて, 多数のリンパ球を背景に, 上皮結合を示す細胞集塊の中に核小体の目立つものや, 濃染した巨大核を有する異型細胞を認めた. 免疫染色では, EMA, CD5, KL67, p53が異型の強い上皮細胞に陽性反応を示した. その後化学療法が施行されたが, 両肺転移と胸水貯留がみられ, 胸水細胞診にて摘出腫瘍の細胞像と同様の悪性細胞がみられた. 1年3ヵ月後, 全身転移をきたし, 死亡した.
    結論:既存の胸腺腫から胸腺癌の発生することはまれであるが, 胸腺細胞診において, 大型で悪性を示唆する異型細胞をみたとき, 胸腺癌の可能性を考える必要がある.
  • 岡本 猛, 渡辺 達男, 町田 智恵, 唐木 芳昭, 土屋 眞一
    2003 年 42 巻 5 号 p. 358-361
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景:乳癌のMetaplastic carcinomaの一亜型であるMatrix-producing carcinomaを経験したので報告する.
    症例:64歳, 女性, 数日前より右乳房腫瘤を自覚して受診. 穿刺吸引細胞診では, 粘液様, 壊死様背景に小集塊, 平面的配列を示す核異型の強い細胞が散見されたため, 粘液癌または面疱癌を疑った. 組織診では, 腫瘍の辺縁部に浸潤性の癌細胞が帯状に存在し, 腫瘍の中心部には粘液腫様-軟骨様の基質が存在していた. 両者の間に移行細胞は認めず, Matrix-producing carcinomaと診断した.
    結論:Matrix-producing carcinomaはまれな疾患であるが, その組織像は特徴的な形態を示すことが多い. 組織像を念頭におくことで, 細胞診による組織型推定も可能と考える.
  • 日浦 昌道, 紀川 純三
    2003 年 42 巻 5 号 p. 362
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
  • 松浦 祐介, 川越 俊典, 土岐 尚之, 柏村 正道
    2003 年 42 巻 5 号 p. 363-370
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸部初期病変に対する保存治療の有用性と細胞診の役割について検討するとともに円錐切除術の有用性に関連して, 治療後に妊娠した症例についてその転帰および頸管縫縮術の意義についても検討する.
    対象・方法:1984年1月より2000年12月までの17年間に施行したcold knifeによる円錐切除術症例277例 (円錐切除術のみ156例・円錐切除術+子宮摘出術121例) を対象とし, 細胞診の正診率・円錐切除術後の再発率や再発時期・妊娠症例の経過について検討した.
    成績:円錐切除症例277例の検討において, 細胞診・コルポスコピー・生検の正診率はそれぞれ63%, 67%, 69%であり, 不一致のほとんどは過小評価であった. 円錐切除術直後の子宮頸部擦過細胞診と摘出子宮における残存病変の有無との検討では細胞診の偽陽性率は24%であったが, 偽陰性率は43%と高く, 円錐切除術直後の細胞診は残存病変の有無の予測には無力であった. 治療的円錐切除術のみで経過観察した140例中15例 (11%) に経過中異常細胞診を指摘され, うち2例が生検で異形成 (軽度・高度) を指摘されたが, 12例は最終細胞診で異常を指摘されていない. 子宮全摘術症例では121例中3例 (2%) に異常細胞診を指摘され, うち1例が生検で軽度異形成を指摘された. 円錐切除術後の妊娠は21例33回であり, 挙児希望のあった16例に健児を得ることができた.
    結論:保存手術の条件を厳密に決定し, 術後のfollow upが十分であれば, 治療的円錐切除術はきわめて有用である. 円錐切除術直後の細胞診は, 残存病変の有無を正確に評価できないことが多く, 切除断端・頸管内膜掻爬組織を参考にする必要がある. 円錐切除術後の経過観察において細胞診は簡便性やコスト面などから有用と思われる.
  • 野河 孝充, 日浦 昌道, 温泉川 真由, 伊藤 啓二朗, 大下 孝史, 中脇 珠美, 亀井 孝子, 山内 政之, 西村 理恵子, 万代 光 ...
    2003 年 42 巻 5 号 p. 371-377
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸部初期病変の増加と若年化から妊孕能やQOLを考慮した子宮温存手術が増加しており, 再発の早期診断のため, 術後検診での細胞診の役割を検討した.
    方法:1990-1999年の子宮頸部初期病変のレーザー蒸散, 円錐切除後の再発様式, 細胞診像と治療を解析した.
    成績:異形成, 上皮内癌, Ia期 (旧分類) は順に129,224,201例で, 平均年齢は順に42, 42, 43歳, 30歳未満の若年の割合は順に15, 12, 7%であった. 子宮摘出, 円錐切除, レーザー蒸散は順に, 異形成では8,104, 17例, 上皮内癌では104,113, 7例, Ia期では165, 34, 2例で, 子宮温存の割合は順に94, 53, 18%となった.
    円錐切除群の再発は異形成4/104 (4%), 上皮内癌3/113 (3%) で, 術後の病変の進行は認められず, 細胞診異常は術後2-108ヵ月 (平均26) に出現, 組織確認後の再治療は9-108ヵ月 (平均36) にレーザー蒸散が5例, 円錐切除が2例になされた.
    レーザー蒸散群の再発は異形成で4/17 (24%), 上皮内癌は1/7 (14%) となり, class III以上の細胞診異常は術後, 平均6ヵ月 (1-16) に出現し, 組織確認後の再治療は平均26ヵ月 (3-60) 後にレーザー蒸散を3例, 円錐切除を1例, 異形成から上皮内癌進展の1例に腔内照射を施行した. koilocytosisは再発の全例で, 治療前後の細胞診, 組織診のいずれかに観察された.
    結論:子宮頸部初期病変の子宮温存手術後の再発頻度, 進行はともに少なく, 再発では異型細胞の出現が先行し, 特に術後のkoilocytosisの持続は再発の危険因子と示唆された.
  • 小田 隆司, 藤原 恵一, 前畑 賢一郎, 田中 浩正, 河野 一郎, 三上 芳喜, 畠 栄, 鐵原 拓雄, 青谷 恵利子
    2003 年 42 巻 5 号 p. 378-383
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:川崎医科大学産婦人科で経験したHPV陽性CIN症例において, LEEPを用いた外科的処置の有無が予後にどのように関連しているかをretrospectiveに解析しCIN患者の適正な取り扱いを考察する.
    方法:1995年1月-2001年9月に川崎医科大学産婦人科を受診したCIN症例341例 (CIN1: 187例, CIN2: 59例, CIN3: 95例) すべてに対して, 初診時に細胞診, コルポスコープ下生検とともにHPV-DNAのタイピングを行った. 組織診断確定後の患者の取り扱いは, 無治療経過観察, LEEPによる蒸散, 円錐切除, 子宮全摘のいずれかとした.
    結果:HPV陽性率はCIN 1: 66%, CIN 2: 83%, CIN 3: 85%であり, CIN 2, 3がCIN 1と比較して有意に高率であった. 全341例中, 初治療として子宮全摘を受けた39例, 予後追跡が6ヵ月以内の50例を除外した252例について予後解析を行ったところ, 治療を行った症例では, 細胞診正常化率 (CIN 1: 89%, CIN 2: 93%, CIN 3: 92%), HPV消失率 (CIN 1: 68%, CIN 2: 90%, CIN 3: 78%) ともに無治療症例よりも有意に良好であった.
    結論:LEEPによる蒸散, 円錐切除はCIN病巣の切除とともにHPVの消失に貢献している可能性が示唆された.
  • 横山 正俊, 原 浩一, 内山 倫子, 野口 光代, 小屋松 安子, 安永 牧生, 福田 耕一, 岩坂 剛
    2003 年 42 巻 5 号 p. 384-389
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    目的:子宮頸癌発癌機構におけるHPVの役割を確認する. また, テロメラーゼ活性との関係も検討する.
    方法:CIN, および子宮頸癌症例についてコンセンサスプライマーを用いたPCRによりHPVの型判定およびfollow up studyを行った. 次に, 子宮頸癌集団検診グループ, CIN, 浸潤癌症例のそれぞれにTRAPアッセイを行い, テロメラーゼ活性を調べた. テロメラーゼ陽性で細胞診陰性であった16例について, 病変およびHPVの有無について再検討した.
    成績:HPV-DNAの検出率は, CINおよび浸潤癌において, 80-90%であった. また, CINの程度が進むにしたがって, 検出されるHPVの型は, 浸潤癌と同様になった. HPV negative症例は, 進行する危険度が高いことが示された. 臨床検体においてCINの段階が進むにしたがってテロメラーゼ活性陽性頻度は上昇した. また, 細胞診陰性の検診集団のなかに16例 (6.5%) のテロメラーゼ活性陽性例があり, うち9例 (56.2%) にHPV-DNAを認めた. また, 組織診の結果, 新たに9例のCINIが同定された.
    結論:HPVをその進行への相対危険度で分類することが可能だった. HPV negative症例は, 進行する危険度が高い可能性が示唆された. テロメラーゼ活性とハイリスク型HPVとの関連が示唆され, 細胞診陰性群にもriskの高い症例が含まれている可能性が考えられた.
  • 石黒 芝輝, 木口 英子, 邨松 隆雄, 細江 真由, 中野 眞佐男
    2003 年 42 巻 5 号 p. 390-391
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report metastatic cytological findings in ovarian clear cell adenocarcinoma. A 54-year-old woman diagnosed with ovarian clear cell adenocarcinoma stage HI developed a nodular lesion and hematuria after surgery and chemotherapy. Imprint cytology from the cutaneous tumor showed large nuclei with prominent nucleoli and abundant clear cytoplasm. Urinary cytology showed many clusters including a hobnail pattern. Tumor cells had clear cytoplasm and round nuclei with prominent nucleoli Although cutaneous or urinary cytological findings in clearcell adenocarcinoma are rare. it is important to observe the in cytoplasmic character and cluster patterns.
  • 加勢 宏明, 倉林 工, 田中 憲一, 永井 絵津子
    2003 年 42 巻 5 号 p. 392-393
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of ovarian carcinosarcoma with a heterologous element diagnosed with ascites cytology. A 41-year-old woman was admitted because of huge ascites, the cytological specimen of which showed isolated large cells with irregular nuclei and giant pleomorphic round cells surrounding a mucinous background. Histologically, the ovarian tumor was diagnosedas carcinosarcoma with chondrosarcoma. In this case, we were able to diagnose ovarian earcinosarocnia from the ascites cytology. because of rupture of an ovarian tumor and disseminating of the chondrosarcomaous elements.
  • 中川 雄伸, 寺崎 泰弘, 中村 治, 吉松 美佳, 竹屋 元裕
    2003 年 42 巻 5 号 p. 394-395
    発行日: 2003/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report cytological features for an autopsy case of moderately differentiated gastric tubular adenocarcinoma showinghepatoid differentiation in metastatic lesions. At autopsy, imprint cytology of pulmonary metastases showed two different types of malignant cells; one arranged in an acinar pattern, suggesting features of moderately differentiated adenocarcinoma, and the other composed of cancer cells resembling cytological features of hepatocellular carcinoma. An accurate diagnosis ofhepatoid adenocarcinoma is very important because of the miserable prognosis, making the cytological findings from our present case useful in differentiating between hepatoid adenocarcinoma and common types of adenocarcinoma.
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