日本臨床細胞学会雑誌
Online ISSN : 1882-7233
Print ISSN : 0387-1193
ISSN-L : 0387-1193
最新号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
原著
  • 金田 敦代, 安岡 弘直, 郡司 有理子, 福田 沙織, 青木 弘, 島田 香, 築山 あゆみ, 辻 洋美, 辻本 正彦
    2019 年 58 巻 5 号 p. 189-195
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 子宮頸部細胞診における自動スクリーニング支援装置 ThinPrep® Integrated Imager (以下 I2) の有用性について検討した.

    方法 : ThinPrep® 標本でマニュアル検鏡 (以下 M 検鏡) を施行した子宮頸部細胞診 552 例を対象とし, M 検鏡と I2 を用いた検鏡 (以下 I2 検鏡) の判定結果, 組織診断との対比およびハイリスク HPV 陽性率の比較を行った.

    成績 : M 検鏡と I2 検鏡の細胞判定の一致率は 88.4%, 細胞判定と組織診断の一致率は M 検鏡で 86.2%, I2 検鏡で 93.1%であった. M 検鏡 NILM 症例の約 9 割は I2 が選択した 22 視野のみの検鏡で判定可能であった. 組織診断 LSIL の検出率は M 検鏡で 95.0%, I2 検鏡で 97.5%, 組織診断 HSIL 以上の検出率は M 検鏡で 60.0%, I2 検鏡で 86.7%となり, I2 検鏡で HSIL 以上の検出率が高かった. ハイリスク HPV 適中率は I2 検鏡で高かった.

    結論 : I2 は組織診断一致率が高く, 検鏡時間短縮も期待でき, HPV 感染に伴う細胞変化をより的確に認識していると推察される. そのため, 高い細胞診断精度と効率化を兼ね備えた優れた支援システムと考えられる.

  • 平野 卓朗, 山上 亘, 真壁 健, 坂井 健良, 二宮 委美, 野村 弘行, 片岡 史夫, 平沢 晃, 進 伸幸, 青木 大輔
    2019 年 58 巻 5 号 p. 196-201
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 子宮体癌の腹腔細胞診陽性の背景因子を明らかにし, 子宮鏡検査が腹腔細胞診陽性に与える影響を検討することを目的とした.

    方法 : 当院にて子宮鏡検査を施行した後に, 開腹もしくは腹腔鏡下に手術療法を施行した 414 例に関して, 腹腔細胞診の結果と臨床病理学的因子との関連を後方視的に検討した.

    成績 : 414 例中 13 例 (3%) で腹腔細胞診陽性であった. 腹腔細胞診陽性の有意なリスク因子として, 単変量解析では類内膜癌 Grade 3+特殊組織型, 付属器転移, 大網転移, 腹膜播種が挙げられ (p<0.001), 多変量解析では類内膜癌 Grade 3+特殊組織型 (p=0.01) と大網転移が挙げられた (p<0.001). また リスク因子別では大網転移陽性例で腹腔細胞診陽性例が最も多かった (7/10 例, 70%). 12 例で腹腔細胞診陽性のリスク因子である類内膜癌 Grade 3+特殊組織型もしくは大網転移を認めた. 1 例のみリスク因子を有さず腹腔細胞診が陽性となった症例を認め, 多発子宮筋腫や子宮腺筋症によって, 子宮鏡の検査時間や還流圧を通常より要したことが原因と推定されたが, 術後再発を認めず経過している.

    結論 : 術前に子宮鏡検査を施行したにもかかわらず腹腔細胞診陽性となった例は少なく, そのほとんどが腹腔細胞診陽性のリスク因子を有する症例であったため, 術前子宮鏡検査による腹腔細胞診への影響は軽微であろうと考えられた.

  • 柳川 直樹, 渡邊 いづみ, 上野 大, 郷右近 秀平, 鈴木 裕, 植松 美由紀, 齋藤 明見, 緒形 真也
    2019 年 58 巻 5 号 p. 202-207
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    目的 : 肺腺癌由来の悪性胸水と診断された細胞診セルブロック検体を用いて EGFR 遺伝子変異, ALK および PD-L1 タンパク発現状態を検討した.

    方法 : 悪性胸水が疑われた 140 例から胸水が採取された. 細胞診セルブロックが作製され EGFR 遺伝子変異, 免疫組織化学を用いて ALK および PD-L1 タンパクの発現状態が検討された.

    成績 : 肺腺癌由来の悪性胸水と診断された検体は 40 例であった. EGFR 遺伝子変異は 13 例 (32.5%) に認められ, ALK 免疫組織化学染色は 1 例 (2.5%) が陽性であった. PD-L1 免疫組織化学染色は高発現が 8 例 (20%), 低発現が 14 例 (35%), 無発現が 18 例 (45%) であった. 9 例の同一症例の組織検体に対し同様の検査を行った. EGFR 遺伝子変異, ALK 免疫染色の結果はセルブロックでの検討と一致していた. PD-L1 免疫染色に関しては 7 例で一致, 2 例で不一致だった.

    結論 : 細胞診セルブロックを用いたバイオマーカーの測定は, EGFR, ALK については有用であった. PD-L1 についてはさらなる検討が必要であるが, 測定方法や判定基準を確立することにより治療の選択に有用になると考えられた.

症例
  • 河村 憲一, 江原 輝彦, 松井 宏江, 鶴岡 慎悟, 清水 健, 是松 元子, 緒方 衝
    2019 年 58 巻 5 号 p. 208-213
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    背景 : 転移性膀胱腫瘍は全膀胱腫瘍の 0.5〜2%を占める. 一方腺癌は膀胱腫瘍の 2%以下で, 半分は転移性が占める. 今回化学療法中に, 自然尿中に腫瘍細胞を認めた肺原発腺癌膀胱転移を経験した.

    症例 : 60 歳代, 男性. 肺腺癌, cT2N3M0 Stage ⅢB の診断で化学療法が施行された. 病変は次第に増大し, 治療効果は 「安定」 から 「進行」 へと移行した. 2 年 9 ヵ月後, 肉眼的血尿が出現した. 尿細胞診では, 偏在する明るい核を有する大型細胞が不規則重積を示す集塊状に出現し, 腺癌が考えられた. 膀胱鏡で頂部左壁に 5 mm大の隆起性病変を認めた. 生検標本では粘膜固有層主体に細索状, 小胞巣状に浸潤し粘膜表面にも露出する癌がみられ, 免疫組織化学染色で CK7 陽性, CK20 陰性, TTF-1 陽性, Napsin A 陽性であることから肺癌の転移と診断された.

    結論 : 尿細胞診で腺癌を認めた場合には, 転移の可能性も念頭におき既往歴の検索や臨床医との情報交換が重要と思われる.

  • 大野 優子, 大澤 久美子, 青木 智章, 菊地 淳, 増田 渉, 百瀬 修二, 東 守洋, 田丸 淳一
    2019 年 58 巻 5 号 p. 214-219
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/06
    ジャーナル 認証あり

    背景 : ALCL は CD30 陽性の大型リンパ球からなる T 細胞リンパ腫の一亜型である. ALK 陽性型と陰性型に分けられる. 近年, ALK 陰性 ALCL の 8%の症例に TP63 の再構成を認めるとされている.

    症例 : 67 歳, 男性. 胸部異常陰影を指摘され, 右頸部リンパ節生検を施行し, ALK 陰性 ALCL と診断された. 骨髄, 気管支, 脳脊髄液に浸潤を認め, 診断から半年後に死亡した. リンパ節捺印標本・組織標本において, 成熟リンパ球を背景に大型腫瘍細胞の増殖を認め, common pattern を呈していた. 腎形・馬蹄形核を有する hallmark cell や, 花弁状核を有する大型細胞が介在していた. 腫瘍細胞の相互接着性を示す部分や, 分裂像も多数認められた. 免疫組織化学では, CD2, CD4, CD30, 細胞傷害性分子が陽性で, p63 の発現を認め, ALK は陰性を示した. FISH 法とシークエンスにより, TP63 の再構成, TBL1XR1/TP63 の融合転写産物が証明された.

    結論 : TP63 の再構成を伴う ALK 陰性 ALCL は非常にまれで予後不良である. 亜型診断には, 免疫組織化学染色と FISH 法を併用することが必要である.

短報
feedback
Top