日本臨床細胞学会雑誌
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38 巻 , 6 号
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  • 河原 明彦, 横山 俊朗, 杉島 節夫, 原田 博史, 林 逸郎, 島松 一秀, 鹿毛 政義
    1999 年 38 巻 6 号 p. 497-503
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    耳下腺原発粘表皮癌4例の捺印細胞診標本を用いて, 粘液細胞, 扁平上皮細胞, 中間型細胞の細胞学的特徴とその出現傾向, および組織標本との比較検討を行った. 本腫瘍の粘液細胞領域および扁平上皮細胞領域の組織学的分布は症例間で異なるため, 局所から採取された捺印細胞診標本の細胞像は, 必ずしも組織標本に対応していなかった. そのため細胞診において粘表皮癌を推定するために, 粘液細胞, 扁平上皮細胞, 中間型細胞の3者を6つの型に細分類した. すなわち, 著明な粘液産生性のため杯細胞に類似したMu-1, 核偏在性で淡染性細胞質を有すMu-2, 核中心性で細胞質に乏しいIn-1, 重厚感のある細胞質と粘液様空胞を有すIn-2, N/C比大で層状構造を有すSq-1, 多核細胞を含む多稜形細胞質を有すSq-2である. これら6型の細胞の出現傾向をみると中間型細胞 (In-1, 2) が中心をなし, 粘表皮癌の診断に当ってIn-1, 2の同定が重要であると考えられた. 粘表皮癌を構成する粘液細胞, 扁平上皮細胞, 中間型細胞は, 細胞質および核所見により微妙に異なる細胞形態を示すため, 各細胞の特徴を十分に認識しておく必要がある.
  • 島田 智子, 石井 美樹子, 河野 純一, 赤嶺 亮, 小島 貴, 田中 文彦, 石田 剛
    1999 年 38 巻 6 号 p. 504-510
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    粘液型脂肪肉腫 (以下MLPS) と, 粘液型と円形細胞型との混在型脂肪肉腫 (以下M/RCLPS), 円形細胞型脂肪肉腫 (以下RCLPS) の細胞像の特徴を明らかにするために, これらについて細胞学的および細胞計測学的検討を行った. 対象としてMLPS6例 (7検体), M/RCLPS3例 (3検体), RCLPS2例 (2検体) の穿刺吸引細胞診検体あるいは腫瘍捺印細胞診検体を用いた. MLPSの細胞学的特徴として,(1) 一端の尖った (涙滴状) 裸核状腫瘍細胞の出現,(2) atypicallipoblastの出現,(3) 背景の粘液様基質,(4) 毛細血管は必ずしも出現しないなどが挙げられた. RCLPSおよびM/RCLPSでは核の腫大, 円形化の傾向が認められ, 細胞計測の結果はこれらの所見を裏付けるものであった. また, RCLPSでは粘液性基質は認められなかった. 粘液性基質の目立つ腫瘍のうちMLPSとの鑑別が必要なものに粘液腫, 粘液脂肪種, 粘液型悪性線維性組織球腫, 骨外性粘液型軟骨肉腫などが挙げられるが, これらは上記の (1) から (4) の所見に着目すればMLPSとの鑑別は可能であると考えられた.
  • 佐久間 香苗, 椎名 義雄, 飯島 淳子, 大河戸 光章, 多田 彊平
    1999 年 38 巻 6 号 p. 511-516
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    自動固定標本作製装置開発の基礎的検討の一環として, メンブレンフィルター法を採用したFILCUPSuper (FS) を用い, 自然尿78例, 穿刺吸引材料100例の通常塗抹標本およびFS標本について, 検体の保存状態, 集細胞効果, および随伴所見について比較検討した.
    FS標本は細胞変性の防止, 集細胞効果, 均一で背景の綺麗な標本の作製など, 固定標本作製において考慮すべき点は通常の方法に比べ優れていた. しかし, 吸引困難例に対する対応, 吸引圧による細胞陥没防止策, 適正な塗抹細胞量の決定, 観察におけるフィルター孔の違和感, 診断の副所見となる標本背景の消失, 塗抹処理による細胞像の相違, 染色標本の退色防止およびコスト高などの課題が明らかになった.
    今回の基礎的検討において, FS標本は種々の問題点はあるものの, それらは対処可能な範囲であり, 自動固定標本作製装置へ導入可能な方法であることが明らかになった.
  • Maria Mernyei, Masayoshi Takahashi, Mitsuko Kimura, Shotaro Maeda
    1999 年 38 巻 6 号 p. 517-521
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Telecytology involves the use of telecommunication to transmit cytology images for the purposes of diagnosis, consultation or education. This paper describes the first attempt in Japan to evaluate the diagnostic accuracy of this method in cervico-vaginal smears and breast aspirates.
    Cases and methods: We have used a static system which allowed us to send H 1280×V 960 high resolution images between a remote hospital and the pathology laboratory. Specimens were prepared by the cytotechnologist of the hospital, while the focus of interest was selected by the cytopathologist of the laboratory using low resolution motion pictures. Diagnosis was done by high resolution digital output on computer display.
    We had a total of 57 cervico-vaginal smears and 45 cases of breast fine needle aspiration.
    Results: The overall concordance of telecytology compared with conventional microscopy was 84.2% for cervical cytology. Concordance above the high grade squamous intraepithelial lesion was 81.3%. For breast aspirates accuracy was 91.1% when telecytology was compared with permanent histodiagnosis.
    Discussion: Static systems have the advantage of considerably lower cost but appear to have only 80-90% levels of accuracy. Individuals participating in telecommunication of digital images for diagnosis should be properly qualified, and should protect patient confidentiality. Telecytology is particularly needed in long-distance consultation in hospitals where no full-time specialists are employed.
  • 岡野 滋行, 平井 康夫, 梅澤 聡, 根本 玲子, 荒井 祐司, 竹島 信宏, 都竹 正文, 荷見 勝彦
    1999 年 38 巻 6 号 p. 522-527
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    1971~1997年までに癌研究会附属病院婦人科で経験した, 子宮切除材料の組織診にて, 子宮肉腫と診断された18例 (子宮平滑筋肉腫6例, 子宮内膜問質肉腫1例, 子宮癌肉腫11例) の子宮内膜細胞診について細胞学的検討をした. 対象とした症例の平均年齢は54.5歳. 手術前に子宮内膜細胞診で悪性腫瘍の存在を診断し得た症例数は, 癌成分のない純粋な子宮肉腫である子宮平滑筋肉腫および子宮内膜間質肉腫が7例中2例 (29%), 子宮癌肉腫が11例中10例 (91%) であった. 癌腫成分のある癌肉腫では子宮内膜細胞診で高率に悪性細胞を検出したが, 純粋な子宮肉腫では, 内膜細胞診だけによる診断は困難だった. 肉腫細胞の内膜細胞診での検出のされ方について, 同所性肉腫と異所性肉腫とで比較検討した. 同所性の場合, 肉腫細胞の検出率は比較的低い (13例中6例, 46.1%) うえ, 検出された非上皮細胞の良悪性の判定も困難なものが多かった. 一方, 異所性の場合は肉腫細胞は比較的高率 (6例中5例, 83.3%) に検出され, 悪性の判定も容易であったが, その腫瘍細胞が由来した肉腫成分の組織亜型の鑑捌は困難であった.
  • 田口 勝二, 岩原 実, 藤田 正志, 村石 佳重, 渋谷 和俊, 高橋 啓, 直江 史郎, 山崎 泰行
    1999 年 38 巻 6 号 p. 528-534
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    髄液細胞診で偽線毛を有する腺癌細胞を認めた肺腺癌の髄膜播種の1例を経験したので, その細胞像を中心に免疫組織化学的ならびに電顕的検索を加えて報告した.
    症例は58歳, 女性. 下肢しびれ, 頭痛, 背部痛を主訴に来院。画像所見にて転移性腫瘍による髄膜癌腫症が疑われ, 髄液細胞診が行われた. その結果, 偽線毛を有する腺癌細胞を認め, 肺, 卵巣, 胃を中心とした検索の結果, 肺原発の腺癌と診断された. 化学療法が行われたが発症約3ヵ月後に脳出血にて死亡. 剖検時の髄液細胞診や原発巣の捺印細胞診中には, 偽線毛を有する腺癌細胞はみられなかった. しかし, 原発巣, 転移巣ともに一部の腺管を構成する癌細胞の表面にアルシアン青染色で明瞭に染め出されるsurface coatが認められた. 免疫組織化学的染色で本例の癌細胞はCEA, Surfactant apoproteinが陽性であった. 電顕的には, 細胞質内に層状体 (larnellar bodies) が認められ, 核内封入体やIntracytoplasmic lumina (ICL) もみられた. さらに, 細胞質が宝冠状に突出し微絨毛を豊富に有する細胞も確認され, この構造が細胞診での偽線毛に相当すると推定された.
  • 徳永 祐一, 飛岡 弘敏, 古村 喜好, 三間 秀子, 梅本 晃, 佐藤 昌明, 水無瀬 昂, 成松 英明
    1999 年 38 巻 6 号 p. 535-539
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    肺のlarge cell neuroendocrine carcinoma (LCNEC) は, 予後不良の肺原発神経内分泌腫瘍の一型である. 今回われわれは, 病理組織学的にLCNECと考えられた2例を経験したので, その細胞所見を中心に報告する.
    症例1は74歳の女性で, 気管支擦過細胞診で腫瘍細胞が認められた. 症例2は62歳の男性で, 気管支擦過細胞診および喀痰細胞診で腫瘍細胞が認められた. いずれの材料でも, 大型の裸核様腫瘍細胞と淡明な細胞質を有する大型の異型細胞が認められた. 細胞核は, 大小不同が著明で, 成熟リンパ球の3倍以上の大型異型細胞も認められた. 一部に柵状, ロゼット様の配列も認められた. 組織学的には, いずれも広範な壊死を伴う大型異型細胞の充実性増殖巣からなり, 多数の核分裂を認めた. 組織一細胞形態を併せてLCNECと診断した. 本腫瘍は細胞学的にsmallcellcarcinoma, atypical carcinoid, large cell carcinomaとの鑑別が必要である.
  • 中川 雄伸, 坂下 直実, 中村 治, 宮田 恵美, 田中 真紀子, 徳永 英博, 陣内 克紀, 高橋 潔
    1999 年 38 巻 6 号 p. 540-546
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    転移巣において肝様腺癌の像を呈し, 細胞学的な特徴から病理細胞学的診断をなし得たS状結腸腺癌の1剖検例を報告する.症例は60歳の男性で, 平成5年他医にて大腸癌の診断のもとにS状結腸切除術を受けた.2年後, 肝転移が発見されたため肝左葉追加切除が行われ, さらに1年後, 新たな転移巣が左前胸壁に出現した.このため, 精査加療の目的で熊本大学医学部附属病院に入院した.前医にて行われた組織検索の結果はすべて高分化腺癌で, 当院入院時の精査にて, 血清α-fetoprotein (AFP) が41,000ng/rn/と異常高値を示していることが判明した.延命を目的に化学療法が施行されたが, 効果なく, 呼吸不全にて死亡した.剖検時の肺/胸壁の転移巣の捺印細胞診では, 高円柱状で核小体腫大を示す高分化腺癌細胞と胞体内にライト緑好性の硝子体を有する肝細胞癌類似の腫瘍細胞とが認められた.転移巣の腫瘍細胞の大部分は髄様増殖を示す低分化腺癌の組織像を示し, 免疫組織化学的にAFP陽性を示したが, 一部にAFP陰性で明瞭な腺管構造を形成する高分化腺癌もみられ, 両者間には移行像が認められた.本症例はS状結腸原発の高分化型腺癌で, 転移巣は肝様腺癌の組織像を示し, 転移巣の病理細胞学的解析から原発巣の肝細胞への分化を裏付ける細胞学的根拠が得られ, 細胞診が診断確定上有用であったと考えられた.
  • 風間 暁男, 品川 俊人, 干川 晶弘, 安田 玲子, 諏訪 秀一, 半田 留美子, 千葉 光男, 田所 衛
    1999 年 38 巻 6 号 p. 547-552
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    乳児肝血管内皮腫 (lnfantile Hemangioendothelioma of the Liver: 以下IHEと略す) はほとんどが生後6ヵ月以内に診断される血管内皮細胞の増生からなる過誤腫的性格を有する比較的まれな血管性腫瘍である. われわれは剖検により本症例を検討する機会を得たのでその細胞像について報告した. 捺印細胞診では短紡錘形の腫瘍細胞がシート状に配列し, 上皮様の集簇を呈していた. 腫瘍細胞はライトグリーンに好染する薄い細胞質を有し, 核は概ね中心性で核形の不整と大小不同がみられ, 小型の核小体を認め, 核クロマチンの増量はわずかであり, 全体に異型性は軽度であった. また, 細胞質が硝子様で核が細胞の辺縁部に圧排されるように著しく偏在している細胞も少数認められた. 免疫組織化学的にこれらの腫瘍細胞はCD34に陽性であった. 組織学的には異型性に乏しく核分裂像をほとんど認めない1型部分と, 管腔の大きさや形が不規則で, 管腔内へ乳頭状に増殖し, 既存の肝細胞の間に侵入する2型部分を混在する肝血管内皮腫であった. 細胞診では1型, 2型の鑑別は困難であったが, 全体的には異型性に乏しく通常の血管肉腫とは異なり, また, 血管腫や類上皮血管内皮腫とも像を異にしておりIHE2型の内皮細胞が優位に出現していると考えられた.
  • 川崎 淳, 市田 起代子, 久芳 俊幸, 田中 啓子, 高橋 美恵, 松田 実, 黒川 和男, 辻本 正彦
    1999 年 38 巻 6 号 p. 553-557
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    自然尿中に多数の腫瘍細胞が認められた, 膀胱原発神経内分泌癌の1例を経験したので報告する.
    症例は64歳男性, 肉眼的血尿を主訴として近医より紹介受診された. 初診時の尿細胞診では, 壊死物質を背景に, 小型で裸核状の腫瘍細胞が, 孤立散在性および結合性の弱い小集塊を形成し多数出現していた. また核のmoldingやindian file状およびrosette様の配列がみられるなど, 肺の小細胞癌にきわめて類似する特徴的な細胞所見であったため, 膀胱原発の神経内分泌癌と推定された. その後, 経尿道的膀胱腫瘍切除術が施行された. その病理組織所見では, 小型の腫瘍細胞が充実性に増殖しており, 免疫組織化学的にNeuron specific enolaseが強陽性を呈し, Grimelius染色で好銀性顆粒が認められた. さらに電子顕微鏡的検索でも神経内分泌顆粒が証明された. 以上の所見より膀胱原発神経内分泌癌と診断された.
  • 清山 和昭, 澤野 文俊, 日高 博之, 谷口 正次, 年森 啓隆, 栗林 忠信, 高橋 敏裕, 秋山 裕
    1999 年 38 巻 6 号 p. 558-562
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    穿刺吸引細胞診へのDPPIV活性染色の併用が有用であった副甲状腺過形成の1例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 慢性腎不全により昭和59年4月19日に透析導入された. 3年前よりPTHの上昇を認め, ときどき腰痛があるため平成10年9月30日当院内科を受診し, 超音波検査で左甲状腺下極背側に副甲状腺腫瘤を指摘された. また右甲状腺下極に腫瘤を認め精査目的のため穿刺吸引細胞診が行われた. 小型で均一な細胞がシート状から細胞密度の高い集塊として出現し, 特に乳頭状集塊, 核溝, 核内細胞質封入体は認められなかったため, 濾胞性腫瘍ないし腺腫様甲状腺腫を疑った. 一方, DPP IV活性染色が強陽性であったことから, パパニコロウ脱色標本を用いて, 免疫染色を行ったところPTHは陽性であったがTgは陰性であり副甲状腺病変が推定された. 組織学的には主細胞が胞巣状に増殖し, 脂肪組織の混在は認めず他の3腺も同様な組織所見を示し副甲状腺過形成と診断された. また副甲状腺摘出時, 甲状腺とはお互いに被膜なしに連続し, 一部甲状腺内に迷入していた. 本症例のごとく甲状腺腫瘍性病変との鑑別を要する場合, 本酵素の著明な発現が副甲状腺過形成を推察する一つの指標になり得ると思われた.
  • 今村 好章, 森下 哲雄, 森 正樹, 前川 秀樹, 福田 優, 小西 二三男
    1999 年 38 巻 6 号 p. 563-569
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    腫瘍内に著明なリンパ球・形質細胞浸潤を伴った甲状腺乳頭癌を経験したので報告する. 症例は52歳, 女性. 甲状腺右葉に1.7cm大の部分的に被包化された白色腫瘍がみられた. 細胞像では, リンパ球・形質細胞および多核巨細胞を背景として異型細胞の乳頭状集塊を認めた. 腫瘍細胞の核はすりガラス状で, 核溝や核内細胞質封入体も散見されたが, 核小体は小型もしくは目立たなかった. 腫瘍細胞の胞体は好酸性で, 細胞形は立方~高円柱状であった. 組織学的には, 好酸性細胞からなる乳頭状腫瘍で間質にリンパ球・形質細胞浸潤を伴い, 乳頭内に多核巨細胞がみられた. 免疫組織化学的には腫瘍細胞はサイトケラチン, CD15, および抗ミトコンドリア抗体が陽性であった. 背景甲状腺には橋本病が認められ, また, 砂粒体を伴った微小乳頭癌病変もみられた. 本症例はWarthin-like tumor of the thyroid (WLTT) として報告されている腫瘍に相当すると考えられ, 細胞像および組織像では, 通常の乳頭癌の特徴に加えて, 1) 腫瘍内および周囲にリンパ球・形質細胞浸潤が目立つこと, 2) 種々の大きさの多核巨細胞がみられること, 3) 腫瘍細胞が好酸性で豊富な細胞質を有していること, が特徴と思われた.
  • 出射 由香, 釜田 里江, 南 香織, 平手 ゆかり, 北澤 荘平, 前田 盛
    1999 年 38 巻 6 号 p. 570-573
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    右房に発生した血管肉腫を経験したので報告する. 症例は60歳男性で, 労作時呼吸困難および発熱にて受診, 胸部X線写真にて心拡大, 胸水貯留を指摘され, 胸部CTにて右房内腫瘍を認め当院入院, 腫瘍摘出術が施行された. 摘出検体から作成した捺印標本にて出血性背景に腫瘍細胞が孤立散在性もしくは中規模集塊を示して出現していた. 腫瘍細胞は紡錘形, 類円形などの多彩な形態を示し, 核は類円形で, 核膜は均等に肥厚しており, クロマチンは穎粒状で明瞭な核小体を有していた. 組織学的には核異型の著明な内皮細胞におおわれた大小不規則な血管形成が認められた. 免疫染色では腫瘍細胞はVimentin, CD34およびFactor VIII relatedantigen (VIIIRA) に陽性を示した. 以上の所見より血管肉腫と診断された. 血管肉腫の細胞所見は多彩であり, 細胞診のみでの診断は困難である場合が多いが, 心臓原発の場合には鑑別対象となる腫瘍の細胞学的特徴や発生部位などの臨床情報を把握することにより推定診断に近づきうると考えられた.
  • 有光 佳苗, 鐵原 拓雄, 広川 満良, 調 輝男
    1999 年 38 巻 6 号 p. 574-577
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    側頭骨病変の診断に術中迅速組織診および細胞診が有用であった髄膜腫の症例を経験したので報告する. 症例は, 35歳男性で, 左眼窩上外壁から側頭骨にかけて腫瘍性病変が認められ, 側頭骨生検の術中組織診および細胞診が施行された. 圧挫法にて作製したパパニコロウ染色標本では, 紡錘形あるいは多稜形の異型細胞が出現し, 一部には渦巻き構造が観察された. また, 核内細胞質封入体や蛋白様硝子滴もみられた. 組織学的には移行型髄膜腫で, 骨内浸潤が目立った. MIB-1陽性率は2.5%で, 板間への強い浸潤傾向に関与している可能性が示唆された.
  • 伏木 弘, 結城 浩良, 寺畑 信太郎, 田所 猛, 三井 由紀子, 大橋 美香, 熊野 睦子, 山川 義寛
    1999 年 38 巻 6 号 p. 578-582
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮頸部の漿液性腺癌はきわめてまれな疾患である. 今回われわれは, 抗癌剤に著効した本疾患を経験したので報告する. 症例は58歳, 3経妊1経産. 55歳に閉経. 左下肢の深部静脈血栓症による左足と外陰部の浮腫のために当科に紹介される. 子宮頸管内膜細胞診と子宮内膜吸引細胞診で腺癌, 子宮頸管内膜および子宮内膜生検にて漿液性腺癌と診断. またウイルヒョウリンパ節生検にて転移陽性であったために, 子宮頸部漿液性腺癌IV期と診断し, cisplatin+5-fluorouracil全身化学療法を施行した. 6コース終了後, 広汎性子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清+腹部大動脈リンパ節生検を施行した. 術後結果は, 肉眼的に完全消失で病理組織学的に子宮頸管腺領域に一部病巣が残存し, 腹腔内の洗浄細胞診で陽性であった. そのためにさらに化学療法を4コース追加し現在再発もなく経過良好である.
  • 池谷 武彦, 大原 真由美, 中村 純子, 田中 ふさよ, 萩本 美都子, 仙崎 英人, 泉 春暁, 松田 実
    1999 年 38 巻 6 号 p. 583-586
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    心嚢液中に子宮頸部扁平上皮癌細胞が出現することは比較的まれであり, 今回一見すると腺癌細胞と誤りやすい, 球状の集塊を呈して認められた扁平上皮癌細胞の1例を経験したので報告する. 症例は30歳女性. 不正性器出血を主訴として当院を受診し, 子宮頸部擦過細胞診および生検組織診にて子宮頸部扁平上皮癌と診断された. 広汎子宮摘出術後, pT1bN1M0, Stage Ibの病期にて放射線療法および化学療法が施行された. しかし, 術後1年半後に呼吸困難が出現し, 再入院, 心嚢液の貯留が認められ, 血性心嚢液が採取され細胞診検査を実施した. 心嚢液中の細胞所見は, 腺癌との鑑別を要する球状の集塊がみられたが, 球状の集塊を構成する細胞の多くは核中心性の扁平な細胞であり, 同心円状に配列していた. 細胞質縁は厚く, 細胞間橋が明瞭に認められた. PAS染色では, 細胞質が穎粒状に一部びまん性に陽性を呈し, アルシアン青染色は陰性であった. また, 免疫組織学的検索にてケラチン (K-13) 抗体が陽性であった. 以上の所見から, 腫瘍細胞は扁平上皮癌細胞と判定され, 子宮頸癌の心外膜転移と診断された, 再入院から約1ヵ月後に死亡し剖検が施行され扁平上皮癌以外に癌は認められなかった.
  • 楯 真一, 岩崎 秀昭, 平井 康夫, 古田 則行, 鈴木 博, 井浦 宏, 根本 玲子, 武田 敏
    1999 年 38 巻 6 号 p. 587-590
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜間質肉腫の病理組織学的特徴は, 増殖期内膜の間質細胞に似た比較的均一な腫瘍細胞の増生と血管増生である. 今回, われわれは3例 (highgrade2例, lowgrade1例) の子宮内膜間質肉腫の捺印細胞診の形態学的検討を行った. 3症例に共通した所見として, 出現する集塊のなかに, 腫瘍内毛細血管の類内皮細胞の束が認められた. またその束のまわりを腫瘍細胞がとりまく像を呈していた. ESSに特徴的であるといわれるらせん動脈様の血管増生と間質細胞が血管を同心円状に取り巻くという組織構築を反映しているものと考えられた. この所見は, 従来からいわれているESSの細胞所見と併せて, 子宮筋腫やその他の腫瘍性病変との鑑別に役立つ所見になりうるものと思われた.
  • 鈴木 桐子, 今野 良, 小田切 千恵, 及川 洋恵, 石黒 典子, 佐藤 信二, 岡本 聡, 宇都宮 裕貴
    1999 年 38 巻 6 号 p. 591-596
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    子宮体部原発の癌肉腫は, 子宮体部悪性腫瘍において比較的まれな疾患で, 閉経後の女性に発生することが多い. 今回われわれは88歳の高齢女性にみられた子宮体部原発異所性癌肉腫の症例を経験した. 患者は不正性器出血を主訴に近医を受診し, この時の子宮内膜組織診において壊死組織の中に軟骨組織が認められ, 子宮体部癌肉腫が疑われた.再度行った細胞診では頸部, 内膜ともに, 壊死性背景に類内膜腺癌ならびに核異型を伴う扁平上皮化生細胞が出現していた. 手術標本中には扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌と同所性肉腫成分が認められた. 術前の内膜組織診で軟骨組織が認められたことと手術標本の病理所見を考慮して, 子宮体部原発異所性癌肉腫と診断した. 細胞像, 病理組織像とともに免疫組織化学的検索も含めて報告する.
  • 石川 由起雄, 工藤 圭美, 桑原 淳, 小松崎 栄, 岡部 一裕, 赤坂 喜清, 増田 隆夫, 木口 英子
    1999 年 38 巻 6 号 p. 597-601
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    子宮内膜間質肉腫はまれな悪性腫瘍で, 内膜細胞診で診断されることは少ない. 今回, 子宮内膜擦過により, 術前に内膜間質肉腫と診断し得た症例を経験したので報告する.
    症例は, 50歳の女性. 内膜擦過細胞診では, 集籏性または散在性に類円形または紡錘形の異型細胞を認めた. 細胞質は狭く, 細胞境界は不明瞭. 核は類円形, 微細顆粒状の核クロマチンをみ, 核膜肥厚なく, 一部に大型核も散見され, 分裂像も観察された. 細胞像にて内膜間質肉腫と診断. 摘出腫瘍組織の免疫組織化学では, α1-antitrypsinおよびα1-antichymotrypsin陽性で, 子宮間質肉腫の組織発生を考察するうえで興味ある結果と考えられた.
  • 大下 孝史, 永井 宣隆, 上馬場 是美, 阪田 研一郎, 村上 順子, 重政 和志, 大濱 紘三
    1999 年 38 巻 6 号 p. 602-607
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    卵巣悪性プレンナー腫瘍は非常にまれな腫瘍で, 特にその細胞診所見に関して詳細に記述した文献は少ない. 今回われわれは卵巣悪性ブレンナー腫瘍の1例を経験したので, その臨床経過・細胞診・組織診所見を中心に報告する. 症例は54歳, 2経妊2経産で, 下腹部痛・嘔吐を主訴に近医を受診した. その時点で腹水の貯留があり, 腹水穿刺細胞診にて悪性細胞が検出されたため, 原発巣検索目的にて当科紹介受診となった. 初診時腫瘍マーカーはSTN 2000U/ml, CA 125 1132U/mlと異常高値を示し, 腹部CT, 超音波断層検査にて両側卵巣は軽度腫大していた. 卵巣癌疑いにて開腹し, 両側付属器摘出術, 大網切除術を施行, 術後病理組織検査にて悪性ブレンナー腫瘍と診断された. 腫瘍捺印細胞診にて腫瘍細胞はN/C比が高く, 核は円形~類円形あるいは多稜形でクロマチンは粗顆粒状, 大型の核小体を有し, これらの細胞が重積性に集塊を形成したり, 時に散在性に観察された. 以上の所見は他の腺系の悪性細胞所見と類似しており, 細胞診のみから悪性ブレンナー腫瘍を診断するのは困難であると考えられた.
  • 村上 信子, 土岐 尚之, 柏村 正道, 吉村 和晃, 川越 俊典, 杉原 耕一郎
    1999 年 38 巻 6 号 p. 608-612
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    未熟奇形腫において腹水中に腫瘍細胞が認められたまれな1例を報告する.
    症例は, 20歳未婚女性, 大量の腹水を伴う右卵巣原発の新生児頭大の腫瘍で右付属器切除術が施行された. 病理診断は未熟奇形腫Grade3で, 大部分において神経上皮のロゼット構造を示す像を呈していた.
    腹水細胞診は陽性で, 小型円形の腫瘍細胞がシート状ないし孤在性に出現し一部にはロゼット様構造が認められた. 核クロマチンは細穎粒状に増量して1~2個の小型核小体を認め, 胞体は淡く目立たなかった. 神経芽腫や穎粒膜細胞腫との鑑別を要すると考えられた. 腫瘍内容液細胞診, 腫瘍捺印細胞診も同様の細胞像を呈した.
    術後, 化学療法としてBEP療法 (Bleomycin, VP-16, Cisplatin) を6コース行い, 現在術後3年経過しているが無病生存している.
  • 櫻井 博文, 小林 明子, 市川 徹郎, 橋本 洋
    1999 年 38 巻 6 号 p. 613-614
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of Extraskeletal Ewing's sarcoma arising in the right chest wall. An I8-year-old female was admitted to our hospital with right chest pain. Fine needle aspiration cytology revealed loose clusters of cells and isolated small round cells with a few nucleoluis. The case lacked formation of Homer-Wright type rosettes, and a peritheliomatous pattern was prominent. The tumor cells immunohistochemically expressed NSE and MIC 2 (0 13, 12 E 7), and the tumor was considered to belong to the Ewing/PNET family.
  • 四釜 育与, 黒滝 日出一, 八木橋 操六
    1999 年 38 巻 6 号 p. 615-616
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We report a case of a 77-year-old woman with tubular adenoma of the breast mimicking cytological features of adenomyoepithelioma. Fine needle aspiration revealed many clusters of ductal epithelial cells mixed with myoepithelial cells. Polygonal cells with abundant cytoplasm and psammoma bodies were also found. Histological examination disclosed glandular structures outlined by round to polygonal cells with clear cytoplasm. The glandular components surrounded by hyalinous stroma often contained psammoms bodies. There was no area of monotonous growth of tumor cells with clear cytoplasm devoid of glands. Immunostaning demonstrated distinct reactions for two cellular components. Epithelial cells were positive for epithelial membrane antigen and cytokeratin, whereas myoepithelial cells were reactive with alpha-smooth muscle actin. Based on these findings, the present case was diagnosed as tubular adenoma with focal proliferation of myoepithelial cells.
  • 大谷 方子, 清水 亨, 芹沢 博美, 若槻 よしえ, 海老原 善郎
    1999 年 38 巻 6 号 p. 617-618
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    An 83-year-old male was diagnosed with apocrine sweat gland carcinoma in the right axillary region. After the first operation, a metastatic lesion near the primary site was noticed and a second operation was performed. Cytological examination showed tumor clusters arranged in papillary or sheet-like pattern. Some of the tumor cells had abundant eosinophilic cytoplasm with Orange G-stained coarse granules and were positive for GCDFP-15 and B 72.3 immunohistochemically.
    In conclusion, cytological features of the metastatic lesion retain the characteristic cytological appearance of apocrine sweat glands, which enabled a diagnosis of carcinoma of apocrine sweat gland origin.
  • 山内 直子, 鹿島 健司, 宇於崎 宏, 岡 輝明, 瀬田 章
    1999 年 38 巻 6 号 p. 619-620
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    We describe a rare case of multicystic peritoneal mesothelioma. A 20-year-old female presented with a multicystic mass, measuring 12×9×5cm, in the pelvic cavity. The radiological differential diagnosis included lymphangioma, dissemination of malignant tumor, and unusual type of peritoneal mesothelioma. The levels of CA 19-9 and CA 125 were elevated. Cytological examination of the fluid from the ruptured tumor in the Douglas pouch showed clusters of benign mesothelial cells. Histological examination of the resected mass revealed it was benign cystic mesothelioma. The lining cells were positive for Alcian blue, and decolorized with hyaluronidase treatment. Immunohistochemically, the lining cells were positive for cytokeratin.
  • 南口 早智子, 中嶋 安彬, 樋口 佳代子, 伏木 悦代, 藤原 孝子
    1999 年 38 巻 6 号 p. 621-622
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Prostatic duct adenocarcinoma (PDC) is a rare variant of prostatic cancer which simulates uterine endometrioid adenocarcinoma on histology.
    A 77-year-old male presented with gross hematuria. Cystoscopically, there was an exophytic lesion protruding into the prostatic urethra at the verumontanum. Voided urine cytology showed irregular-sized numerous aggregations of small epithelial cells with columnar features. They had small, hyperchromatic, round to oval nuclei arranged in a palisading pattern with inconspicuous nucleoli and varying amounts of cytoplasm. Immunocytochemically, the tumor cells were positive for prostate specific antigen (PSA).
    Differentiation between PDC and transitional cell carcinoma depends on identification of columunar features and immunocytochemical staining for PSA.
  • 鐵原 拓雄, 広川 満良
    1999 年 38 巻 6 号 p. 623-624
    発行日: 1999/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    The morpholic features and an incidence of Herxherimer spiral (HS) have not been well described. We reviewed the cervico-vaginal smears of 111 cases of squamous cell carcinoma and 3480 benign cases. HS was observed in 18.0% of the cases of squamous cell carcinomas and in 0.34% the of benign cases. HS was present in the cell processes of spindle and/or tadpole type tumor cells of squamous cell carcinoma. In bening cases it was seen in metaplastic cells. The presence of HS may mean an abnormal differentiation of squamous cells or squamous cell carcinoma, but the diagnstic value of HS seems to be poor.
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