日本臨床細胞学会雑誌
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45 巻 , 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 岸本 浩次, 北村 隆司, 楯 玄秀, 光谷 俊幸
    2006 年 45 巻 5 号 p. 273-278
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: リンパ節穿刺吸引細胞診で悪性リンパ腫と診断し, さらに捺印細胞材料からfluorescence in situ hybridization (FISH) 解析を行い, 確定診断に有用であったマントル細胞リンパ腫 (MCL) を経験したので報告する.
    症例: 患者は65歳, 男性. 頸部, 鼠径部リンパ節腫脹に気付き来院. 穿刺吸引細胞診が施行され悪性リンパ腫と診断. 細胞像は中型リンパ球主体で単調な出現パターンを示しており, 核は類円形からくびれを有する細胞もみられた. 細胞質は狭いものから豊富なものまでみられ, 核小体は小型で1-3個認めた. その他の所見は組織球, 貪食組織球, 核分裂像の出現が日立った.捺印細胞診でも同様な細胞所見で, 以上から中型リンパ腫細胞を主体とする悪性リンパ腫と診断した. さらに捺印材料を用いてFISH解析を行った結果, t (11;14)(q13;q32) 染色体転座が証明され, 組織学的所見, 免疫組織学的所見, フローサイトメトリーのデータと合わせてMCLと確定診断された.
    結論:リンパ節細胞診で悪性リンパ腫と診断された場合, さらに各組織型を想定しFISH解析を施すことが確定診断につながるものと思われた.
  • Keita SAKATAO, Isao OKAZAKI, Toshihide ITO, Shigeo NAKAMURA
    2006 年 45 巻 5 号 p. 279-282
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    Background: We report a case of Epstein-Barr virus-positive NK/T-cell lymphoma primarily presenting with pericardial effusion without nasal lesions.
    Case: A 63-year-old man with dyspnea and 38°C fever was found in physical examination to have pericardial effusion of 1, 000ml. Tumor cells in effusion showed marked nuclear pleomorphism and variable-sized basophilic cytoplasm with azurophilic granules. Flow cytometoric and immunohistochemical analysis showed tumor cells to be positive for CD2, CD3ε, CD7, CD45RA, CD45RO, CD56, perforin, T-cell intracellular antigen 1, granzyme B, but negative for CD4, CD5, CD8, CD20, CD30, terminal deoxynucleotidyl transferase, and T-cell receptor β. An in situ hybridization study showed positive signals for Epstein-Barr virus encoding small ribonucleic acids on tumor cells. Despite chemotherapy, the patient died of respiratory failure due to disease progression 2 months after admission. No autopsy was done.
    Conclusion: Based on the above data, we definitively diagnosed this case as extranodal NK/T-cell lymphoma of nasal type. It appeared to be unique in clinical manifestation, primarily affecting the pericardium.
  • 榎本 明美, 根津 幸穂, 森野 咲子, 小濃 啓子, 河野 哲也, 山田 茂樹, 今野 良
    2006 年 45 巻 5 号 p. 283-287
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 腹水細胞診で悪性中皮腫を診断するのは難しいといわれる. われわれは, 腹水細胞診が診断の重要な手がかりとなった1例を経験したので報告する.症例: 79歳, 女性. 22歳より約10年間の冷蔵庫製作従事歴あり. 41歳時に子宮摘出後, コバルト治療の既往があるが, 診断や治療の詳細は記録が処分されており不明である. 右下腹部を中心とした腹膜炎症状にて受診時, 腹水を指摘された. 血液検査では白血球数やCRP上昇がみられた. 超音波検査, CT, MRIでは腹水以外の病変を認めず, 上部・下部消化管内視鏡検査でも異常がなかった. その後, 抗生物質の点滴で症状と血1液検査データの改善が繰り返されたため, 診断に難渋した. しかし, 腹水穿刺細胞診で異型のある中皮細胞を認め, PAS染色やcalretininなどの免疫細胞学的染色を追加し, 悪性中皮腫疑いと診断した. その後, 開腹手術を行い, 生検組織で腹膜悪性中皮腫 (上皮型) と診断した.結論:腹膜悪性中皮腫を腹水細胞診で診断するのは難しいとされるが, 細胞診において出現細胞の注意深い観察と, 免疫組織化学的染色を追加検討することで診断の手がかりを得ることができた.
  • 米川 香, 橘 真由美, 駒井 隆夫, 瀬合 秀昭, 埴岡 啓介, 高垣 和代, 安井 幸代, 酒井 康裕
    2006 年 45 巻 5 号 p. 288-293
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: clear cell tumorはperivascular epithelioid cell由来と推定されているきわめてまれな腫瘍で, 一般的に良性とされている. 今回われわれは肺におけるclear cell tumorを経験したので報告する.
    症例: 74歳, 女性. 近医にて左大腿骨頸部骨折治療の経過中に撮影した胸部X線およびCTにて左下葉S9-S10に径18mm大の境界明瞭な腫瘍1を指摘され当院受診となり, 経気管支針吸引細胞診が施行された. 細胞診では, 血管線維性間質を軸に上皮様細胞が増殖する大型の細胞集塊を認めた. 上皮様細胞の細胞質は淡明または穎粒状, N/C比は低く細胞境界は不明瞭で, 核は類円形-紡錘形で, 大小不同や核内封入体を認めた. 核クロマチンの増量や核縁肥厚はみられなかった. 以上の所見から良性腫瘍, 特に充実性増殖が主体の硬化性血管腫を疑ったが確定診断にいたらず肺の部分切除が施行された. 組織学的にはグリコーゲンの豊富な淡明な細胞質, 小型均一な核, 明瞭な細胞境界を有する細胞が, 繊細な血管性問質を伴ってシート状に増殖しており, 免疫染色にてHMB45陽性を示し, clear cell tumorと診断された.
    結論:従来clear cel ltumorの細胞診での報告は少なく, 核内封入体の存在はほとんど指摘されていなかった. また細胞診標本でのPAS染色, HMB45免疫染色を行うことにより術前診断も可能であると考えた.
  • 松尾 真吾, 國松 栄二, 榎本 幸子, 井澤 敏明, 高橋 秀禎, 竹内 修, 土屋 俊一, 松嵜 理
    2006 年 45 巻 5 号 p. 294-298
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 比較的まれな腫瘍である乳腺原発神経内分泌癌neuroendocrine carcinoma (NEC) の2例を経験し, 細胞学的特徴, 組織学的特徴を検討したので報告する.
    症例: 症例1) 64歳, 女性. 両乳房から腋窩にかけての痛みを主訴に来院. Mammography等で左乳房AC領域に腫瘤を認め, 穿刺吸引細胞診を施行. 浸潤性乳管癌の診断で乳房切除術+センチネルリンパ節生検が行われた. 症例2) 86歳, 女性. 乳房のしこりを主訴に来院. Mammography等で右乳房A領域に境界明瞭な腫瘤を認め, 穿刺吸引細胞診を施行. 浸潤性乳管癌が強く疑われたため乳房円状部分切除術を施行した. 細胞診上2例ともに同様の細胞所見で, 小型の腫瘍細胞が高密度かつ重積性の強い細胞集塊でみられた. 腫瘍細胞は, 多形, 一部短紡錘形であった. 核は類円形で偏在, 核縁は明瞭でクロマチンは細穎粒状で密に増量していた. 組織学的にN/C比の高い腫瘍細胞の充実性増殖がみられた. また, 一部にロゼット様構造や偽腺管が認められた. 免疫組織化学染色では神経内分泌マーカーが陽性を示しNECと診断された.
    結論:NECの細胞学的特徴として, 高密度で重積性の強い細胞集塊の出現, 明瞭な核縁を有する腫瘍細胞が認められた.
  • 三田 俊二, 中井 章人, 片山 博徳, 細根 勝, 前田 昭太郎
    2006 年 45 巻 5 号 p. 299-302
    発行日: 2006/09/22
    公開日: 2011/11/08
    ジャーナル フリー
    背景: 子宮内膜細胞診で, 付属器由来の腺癌と推定される腫瘍細胞が出現し, 開腹手術を行った卵巣の類肝細胞癌hepatoid carcinomaを経験したので報告する.
    症例: 60歳, 2回経産の女性.腹部膨満感を主訴として精査目的で入院.上腹部CT検査では肝臓を含め腹水貯留以外の病変は認められなかったが, 骨盤MRI検査で骨盤内に巨大な充実性の腫瘤が認められた.子宮頸部細胞診はClass II だったが, 子宮内膜細胞診はClass IVで付属器由来の腺癌と推定診断された.腫瘍マーカーはα FP: 29,310 ng/mlと高度に上1昇し, CA125も725.5 IU/lと上昇していた.卵巣癌の術前診断にて腹式単純子宮全摘+両側付属器切除+大網切除+骨盤リンパ節郭清を施行.摘出標本で左卵巣原発のhepatoid carcinomaと診断され, 右卵巣, 大網, 右鼠径リンパ節に転移を認めた.術後に化学療法を施行したが結腸へ転移し, S状結腸部分切除+人工肛門造設術を旅行したものの初診より約1年で死亡された.
    結論:子宮内膜細胞診では, 卵巣や卵管など子宮外の病変を反映することがある.卵巣類肝細胞癌は起源を含め, 今後も検討が必要である.
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