西日本皮膚科
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38 巻, 1 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
図説
綜説
症例
  • 福田 英三, 幸田 弘
    1976 年 38 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
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    Retarospectiveな検索で鼻腔に初発したと考えられ,皮膚転移を示しながらしだいに全身に拡大したいわゆる進行性壊疽性鼻炎の2例を報告した。2例とも剖検所見は悪性細網症の特徴を示した。このことから自験2例の壊疽性鼻炎の本態は悪性細網症であると考えた。さらにhistiocytic medullary reticulosisを含めた悪性細網症について皮膚科学的見地より若干の検討を試みた。
  • 幸田 弘, 川野 正子, 本房 昭三
    1976 年 38 巻 1 号 p. 16-19
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    22才男子の右頬にみられたtrichofolliculomaを報告した。臨床的に羊毛様毛髪を伴つていた。その毛髪を走査電顕的に観察した。太さは5~7μで,表面は毛小皮でとり囲まれているが,毛小皮先端の凹凸はみられず,重なりも2~3層ときわめて幼若なる毛髪であることを知つた。
  • 清水 康之, 島雄 周平, 岩佐 三郎, 重政 千秋, 安部 喬樹
    1976 年 38 巻 1 号 p. 20-28
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    74才女子の両側下腿に発生した限局性粘液水腫を報告した。この婦人は過去においても甲状腺腫や眼球突出などの甲状腺機能亢進症を思わせるような症状はなく,現在もそのような変化はまつたく認められない。また両側指爪,趾爪には軽度のclubbingと黒色線条を認めた。一般検査においてはとくに異常は認めなかつたが,甲状腺機能検査において,LATS活性は陰性であり血中TSH値は高値を示し,T3,T4は低値を,TSH刺激試験においてもほとんど反応を示さず,甲状腺機能低下を考えさせる所見をえた。この症例においては,限局性粘液水腫の発生要因としてLATSよりむしろ血中TSHの方が重要な意味を持つているのではないかと推測した。組織学的に下腿に沈着しているものはヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸であろうと思われた。
  • 武 誠, 吉田 彦太郎, 藤田 慎一, 中北 隆
    1976 年 38 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    19才女性および22才女性に生じた色素性痒疹を報告した。症例1は発病後1年間で自然治癒し,色素沈着も消失した。症例2はサルファ剤(シノミン)によりいちじるしく軽快した。さらに本症にかんして詳細な文献的考察をおこなつた。
  • 中安 清, 上田 恵一, 丹野 憲二
    1976 年 38 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    症例:76才男子 初診:昭和49年6月8日 病歴:48年12月末ころに左頬部にそう痒性紅斑を発生,49年4月初旬に紅斑部に腫瘤を生じ,同時期に左下顎リンパ節の腫大にも気付いた。腫瘤の組織は,真皮上層に健常層を残すほか,全層に瀰慢性,稠密に,ほとんどが細網細胞からなる細胞浸潤があり,好銀線維の網工形成は一部を除いてほとんどなかつた。電顕でも細網肉腫細胞の浸潤が認められた。右鼠径リンパ節でも,細網細胞の瀰慢性の増殖がみられた。赤崎の細網肉腫の未分化型,一部は分化型への移行がうかがわれるものと診断し,VEMPと放射線療法で7週後寛解したが,49年12月2日急死した。
  • 出来尾 哲, 森安 昌治郎
    1976 年 38 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    国鉄乗務員とその家族に集団発生した疥癬を報告した。治療として,安息香酸ベンジルローションとオイラックスHの外用,入浴,シーツの取りかえおよび寝室と寝具の消毒を頻回に続けた。その結果,約2ヵ月で皮疹はほとんどみられなくなつた。疥癬虫はフィリピンより持ち帰られたものと思われ,某医にて湿疹としてステロイドホルモンの外用によつて治療を受けているうち,乗務員宿泊所や家庭の寝具を介して蔓延したものと思われる。
  • 平賀 京子
    1976 年 38 巻 1 号 p. 48-51
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    65才家婦の眉間部に打撲1週間後に腫瘤を発生し,急速に発育した。1ヵ月後当科初診し,入院時5×5×3cmの不整三角形,弾性硬の紅色腫瘤がみられた。周囲は発赤し中央には大豆大の深い潰瘍を認めた。全身状態は良好で検査成績でASLO 320倍(+),血沈中等度亢進を認めた。組織所見では真皮深層まで比較的異型性の軽い腫瘍細胞の浸潤があつた。治療としてbleomyin 15mg隔日筋注をおこない,240mgで瘢痕治癒した。副作用はなく,1年後の現在再発を認めていない。
  • 清水 康之, 三原 基之, 伊藤 陽貳
    1976 年 38 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    肺癌の胸椎転移のため胸椎の圧迫骨折をきたし,下半身の麻痺した58才主婦の左耳後部に血性,漿液性の分泌物を付着する拇指頭大の赤色の軟かい腫瘤の発生をみた。腫瘤に比較的接して切除をしたが,術後約1年を経過するも再発や転移は認めない。組織学的に本腫瘤は,epidermoid cellとclear cellとより成り,両者に移行がみられた。Clear cellは表皮と連続的に発育していたが,明確な管腔形成や嚢胞形成は認めなかつた。ジアスターゼにより消化されるPAS染色陽性の顆粒(glycogen顆粒)をclear cellの胞体内に多量に認めた。
研究
  • 前川 嘉洋
    1976 年 38 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    円形脱毛症にL-DOPAを連日1~2g内服せしめ投与前後の毛包上皮および毛球部におけるフォスフォリラーゼ活性およびアルカリフォスファターゼ活性ならびにHE染色をおこないつぎの知見をえた。
    1.毛包上皮のフォスフォリラーゼ活性は健常人で強い活性を示すが,本症患者では明らかに活性が低下している。これにL-DOPAを投与するとふたたび強い活性がみられた。
    2.アルカリフォスファターゼ活性は健常人ではいずれの部分も明らかに活性を示したが,円形脱毛症患者にL-DOPA投与前後における活性には有意の動きはみられなかつた。
    3.HE染色像では毛包の萎縮,毛包周囲の結合織増殖,同周辺のリンパ球浸潤,真皮上層の血管は拡張し,同周辺のリンパ球浸潤が主なる所見であつた。
  • 白川 勲, 深山 裕喜雄, 久木田 淳
    1976 年 38 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    3H-Betamethasone 17-benzoateゲル剤の皮膚吸収と皮膚貯留現象を,モルモットを用いて塗布部位の皮膚切片のオートラジオグラフィーによる直接の観察,血中への放射能の移行,尿·糞への排泄を調べることにより検索した。正常皮膚に塗布した場合は,主として毛包部位に銀粒子の沈着を観察した。一方損傷皮膚に塗布した場合は,表皮下層,真皮,毛包にも銀粒子の沈着を認めた。また放射能の血中への移行も正常皮膚に塗布した場合に比べいちじるしく速やかで,適用後1時間で最高濃度に達した。薬剤除去後4日目における皮膚貯留現象を,正常皮膚において示した。外用betamethasone 17-benzoateは,正常皮膚および損傷皮膚のいずれにおいても,容易に経皮吸収されることが示唆され,皮膚におけるステロイドの貯留か,薬剤除去後少なくとも4日間認められた。
  • 久木田 淳, 滝沢 清宏, 玉置 邦彦, 小堀 辰治, 戸田 浄, 井村 真, 野波 英一郎, 北村 則子, 木村 和敏
    1976 年 38 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    1.尋常乾癬,アトピー皮膚炎など16例を対象として,0.025% betamethasone 17-benzoate含有クリームおよびゲルのそれぞれにつき,1日5g,10g,20gを用い連日7日間密封療法を行なつて全身的影響を検討した。
    2.血漿コルチゾール値,尿中17 OHCS,17 KS値,末梢血好酸球数,空腹時血糖値を主な指標として使用前,使用中,使用後の数値の変動を検討した。
    3.クリームは従来の報告とほぼ同様の数値の変動(薬剤使用中における各数値の可逆性の低下)をみた。
    4.ゲルはクリームに比し,各数値の低下度が強く,回復性がより優れていた。
    5.血糖値は大量のゲルの密封療法でやや上昇する傾向を示した。
    6.両製剤間の臨床的効果には明確な差は認め得なかつた。
  • 藤本 典男
    1976 年 38 巻 1 号 p. 78-89
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
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    PHA刺激による非特異的リンパ球幼若化は一般に72時間培養で判定されるが,ずつと短時間,40分の接触でも同様な現象が観察された。癩では低値をしめしたが,他の種々の皮膚疾患においては幼若化率にばらつきがみられた。PPDによるリンパ球幼若化現象は真正皮膚結核においては低く,結核疹群で高かつた。PPDによる幼若化細胞はマクロファージ型で,BCGによるものはPHA型であつた。ブドウ球菌抗原においてもcrudeな黄色ブ菌培養液による幼若化細胞はPHA型で,Hollister社製ブ菌ワクチンによるものはマクロファージ型であつた。DNCBによるリンパ球幼若化は感作前は陰性,感作後は陽性であつた。また感作前の血漿と感作後のリンパ球の組み合わせでは幼若化はみられなかつた。
講座
統計
  • 岩津 都希雄, 柳田 真理子, 苅谷 英郎, 岡本 昭二
    1976 年 38 巻 1 号 p. 96-102
    発行日: 1976/02/01
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル 認証あり
    A statistical survey of dermatomycoses at Dermatological Clinic of Chiba University Hospital for the last ten years from 1965 to 1974 was reported. The proportion of dermatomycoses to the outpatients was 7.7% and has gradually increased since 1973. Dermatomycoses were classified to tinea (77.4%), candidiasis (12.9%), pityriasis versicolor (6.8%), sporotrichosis (1.8%) and others. The increase of candidiasis, especially intertrigo erosiva candidamycetica was remarkable. Sporotrichosis has increased recently. Causative organisms of the tinea were identified to Trichophyton rubrum (75.0%), T. mentagrophytes (19.0%), Epidermophyton floccosum (1.9%), Microsporum canis (0.9%) and M. gypseum (0.8%).
治療
世界の皮膚科学者
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