マクロライド系抗生物質roxithromycin(ルリッド
®: RXM)のざ瘡に対する治療効果をminocycline hydrochloride(ミノマイシン
®: MINO)と比較した。16歳以上の炎症性ざ瘡患者32例(RXM 群16例,MINO群16例)を対象とし,常用量(RXM: 300mg/日,MINO: 200mg/日)を2週間投与後,半量に減量して6週間の維持投与を行った。その結果,投与終了後の炎症性皮疹(丘疹,膿疱,結節,嚢腫)の重症度は,両群とも統計学的に有意に減少した。症状の改善幅を両群間で比較したが有意差はなく,同等であった。また,紅色丘疹と膿疱の数も,両群とも経時的に減少した。病変部より分離培養した
Propionibacterium acnes(
P. acnes)44株に対するMIC
90は,RXM では0.2mg/l,MINOでは0.8mg/lであり,RXM がより強い抗菌力を示した。RXMではMICが25mg/l以上の耐性菌が2株認められたが,RXMに対する
P. acnesの感受性は,従来の報告と大きな差がなかった。RXMの常用量2週間投与に続く長期維持投与は安全性にも問題がなく,ざ瘡の治療に有用と考える。
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