目的 : 子宮内膜細胞診が陽性にもかかわらず, 子宮内膜組織診が陰性であった子宮体癌の臨床病理学的特徴について検討した.
方法 : 過去 30 年間に初回手術治療を施行した子宮体癌症例のうち内膜細胞診陽性かつ内膜組織診陰性であった 12 例を対象とし, 患者背景, 細胞像, 手術までの経過, 術後病理診断および予後について検討した.
成績 : 子宮体癌全体に対する対象症例の割合は 1.4% (12/880) であり, 半数例では内膜に限局しているか, 浅い筋層浸潤のみである表層性病変であった. 進行期はⅠ期 9 例, Ⅲ期 2 例, Ⅳ期 1 例であり, 組織型は Grade 1・2 類内膜腺癌 8 例, 漿液性腺癌 2 例, 粘液性腺癌 1 例, 癌肉腫 1 例であった. 類内膜腺癌の細胞像は異型の乏しい細胞のシート状集塊であったが, 漿液性腺癌は異型の強い細胞の乳頭状集塊が特徴であった. Ⅲ/Ⅳ期の 3 例が再発により死亡し, 5 年生存率は 75%であった.
結論 : 細胞診陽性かつ組織診陰性であった子宮体癌は, 早期の Grade 1・2 類内膜腺癌と子宮外に進展しやすい表層性漿液性腺癌の 2 つのグループに分類でき, 両者を鑑別する手段として内膜細胞診所見が有用と考えられた.
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