西日本皮膚科
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71 巻, 2 号
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図説
綜説
症例
  • 玉井 真理子, 東 裕子, 久保 秀通, 金蔵 拓郎, 宇都 浩文, 坪内 博仁
    2009 年 71 巻 2 号 p. 128-130
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
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    71歳,男性。2007年6月,前立腺癌の診断を受け,転移巣検索のため腹部超音波検査を受けた。その日の夜,腹部に紅斑が出現したため,翌日当科を受診した。初診時,腹部の超音波検査用ゲル(超音波ゲル)を塗布した部位に一致して軽度の痒みを伴う境界明瞭な浮腫性紅斑を認めた。超音波ゲルas isのパッチテストを施行した結果は陽性であり,超音波ゲルの成分パッチテストでは,4種類の原料成分のうち,防腐剤であるメチルパラベンで陽性を認めた。超音波ゲルに含まれるパラベンによる接触皮膚炎と診断した。皮疹はステロイド剤の外用により速やかに改善した。
  • 竹尾 直子, 赤嶺 美鈴, 片桐 一元, 藤原 作平, 佐藤 精一, 清水 史明, 森山 かおり, 石井 宏治, 竹島 直純, 岩田 英理子 ...
    2009 年 71 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    症例1は76歳,女性,右第5趾皮膚潰瘍を生じ来院した。関節リウマチを伴っていたが活動性は低かった。血管造影では右脛骨,腓骨中部から末梢は途絶し,足底,足背部の末梢の血流は不良であった。中足趾関節部で切断術を施行したがその後も他の足趾の爪囲に皮膚潰瘍の出没が続いている。症例2は64歳,女性,全身性強皮症を伴い右第1趾皮膚潰瘍を生じ来院した。血管造影では末梢では前脛骨,後脛骨動脈は途絶しており,右後脛骨動脈バイパス術後に中足趾関節部で切断した。症例3は40歳,女性,右第2指尖部壊疽を生じ来院した。混合性結合組織病を伴いプレドニゾロン1日5mgで加療中であった。血管造影では左右の尺骨動脈は手関節部で途絶し,右第1,2,3指末梢で両側固有指動脈が途絶していた。プレドニゾロンを1日30mgに増量しワルファリンカリウムを開始し壊疽の進行は止まった。3症例とも抗セントロメア抗体が高値であった。膠原病の患者において特に抗セントロメア抗体が高値の場合,肢端潰瘍の治療には膠原病の病勢の把握が重要と考えられる。
  • 大橋 則夫, 関東 裕美, 岩渕 千雅子, 橋本 由起, 岩瀬 七重, 伊藤 正俊
    2009 年 71 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
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    症例1:38歳の男性。初診の半年前う歯の治療を受け,その頃下口唇の腫脹が出現した。病理学的に類上皮細胞肉芽腫を認め,肉芽腫性口唇炎と診断した。貼付試験ではウルシオールが陽性であった。塩酸フェキソフェナジンを投与し,10ヵ月後に略治した。症例2:31歳の男性。初診の2ヵ月前に上口唇の腫脹が出現し,歯槽膿漏の治療を受けたが症状が持続した。病理学的に類上皮細胞肉芽腫を認め,肉芽腫性口唇炎と診断した。歯には多数の金属冠が装着されており,上の前歯6本は人工歯であった。貼付試験ではニッケルとパラフェニレンジアミンが陽性であった。塩酸オロパタジンとプレドニゾロン5mg/日を投与し,1ヵ月後に症状は軽快した。歯科金属は除去できなかった。肉芽腫性口唇炎はMelkersson-Rosenthal症候群の不全型であるという考えがある。過去の報告例から両疾患を比較してみると,肉芽腫性口唇炎の方が歯科疾患や金属アレルギーなど病因または悪化因子を指摘できることが多く,また治療に対する反応も良好な例が多い傾向がみられた。
  • 根本 圭, 中村 好貴, 出口 弘隆, 武藤 正彦, 中野 純二
    2009 年 71 巻 2 号 p. 141-143
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
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    37歳,女性。4年前より体幹に米粒大から大豆大の,白色ないし常色調の軟らかい無症候性小結節が多数散在していることに気づいた。病理組織学的には,真皮全層にわたり太く走行の乱れた膠原線維が増生し,弾性線維は相対的に減少し一部には断裂像も認められた。家族歴もなく皮膚以外の随伴病変もないことから,Uittoの分類に基づきeruptive collagenomaと診断した。皮疹が多数存在しているため,切除術は行わず経過観察としている。
  • 安川 晋輔, 武下 泰三, 前 隆男, 森 大輔, 古江 増隆
    2009 年 71 巻 2 号 p. 144-146
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
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    61歳,男性。左坐骨部の径8cmの圧痛を伴う皮下腫瘤を主訴に当科を受診した。MRI検査で左坐骨に接して厚い壁を伴う嚢胞性腫瘤が認められ,嚢胞性リンパ管腫や滑液包炎などを鑑別に考え,診断と治療をかねて切除術を施行した。組織学的には嚢胞様病変は滑膜上皮で裏打ちされ,一部にはフィブリンの析出が認められた。これらの所見より左坐骨部の滑液包炎と診断した。術後9ヵ月現在,再発は認められていない。臀部に生じる滑液包炎は比較的まれであるが,患者が皮膚科を受診することもあり,皮下腫瘤の鑑別診断に考える必要がある。
  • 市川 竜太郎, 市川 美樹, 古江 増隆, 桐生 美麿
    2009 年 71 巻 2 号 p. 147-149
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
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    66歳,女性。数年前,下顎部左側に発症した自覚症状のない丘疹。病理組織学的には,周囲組織との間に裂隙のある結節構造が真皮内にみられ,主に紡錘形細胞の束状増殖からなる神経束類似の多結節構造を呈していた。紡錘形細胞は核の一部が柵状に配列し,ほとんどがS-100蛋白染色陽性であった。また,Bodian染色で多数の神経軸索が染め出された。以上よりpalisaded encapsulated neuromaと診断した。本邦での報告は比較的まれであり,その臨床学的および病理組織学的特徴を中心に若干の文献的考察を交え報告する。
  • 工藤 洋平, 奥山 隆平, 相場 節也, 谷田 宗男
    2009 年 71 巻 2 号 p. 150-152
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    78歳,男性。2年前より陰茎下面に紅斑が出現し,陰部カンジダ症ならびに単純疱疹として外用剤で加療されていた。難治のため,2007年4月に当科を受診した。初診時,比較的境界が明瞭で,一部びらんを伴う紅斑を陰茎下面に認めた。病理組織学的には,表皮内に明るい大型の胞体と類円形の核を有する異型細胞を認めた。Cytokeratin-7(CK-7)が陽性であり乳房外Paget病を考えたが,PAS,CEAが陰性のため,pagetoid Bowen病も否定できなかった。しかし免疫組織学的にp63が陰性であったため,pagetoid Bowen病の可能性を除外することができ乳房外Paget病と診断した。治療として陰茎の紅斑を局所麻酔下に切除術を行った。術後約1年が経過するが再発や転移は認めていない。
  • 菅原 正幸, 芳賀 貴裕, 菊地 克子, 相場 節也
    2009 年 71 巻 2 号 p. 153-155
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    80歳,男性。初診の約2週間前に肛門部に出血を伴う腫瘤を自覚した。初診時,肛門管入り口(肛門縁)3時方向に径10×20mmの,潰瘍を伴い一部に黒色の色素沈着を伴う紅色結節を認めた。局所麻酔下に全摘し,病理組織および免疫組織化学的にBer-EP4陽性であり,基底細胞癌と診断した。肛門部の基底細胞癌は比較的まれであり,また鑑別診断として,類基底細胞癌を考える必要がある。類基底細胞癌は,組織学的に基底細胞癌とほぼ同様の像を呈するが予後不良の疾患であり,鑑別には注意が必要である。
  • 渡辺 真記子, 水野 寛, 平島 昌生
    2009 年 71 巻 2 号 p. 156-159
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    広島市立安佐市民病院において近年経験したツツガムシ病の代表例を供覧するとともに,1998年1月から2007年12月までの10年間に当院で経験したツツガムシ病62例について臨床的検討を行ったので報告する。解析症例は男性34例,女性28例で平均52.2歳であった。発症月は10~12月が58例(93.5%)であった。また,51例(82.3%)が広島市安佐北区に居住していた。発症後患者が初めにどの診療科を受診しているかを調べたところ内科が49例(79.0%)と最も多かった。臨床症状について発熱は62例(100%),発疹61例(98.4%),刺し口53例(85.5%),リンパ節腫脹41例(66.1%)に認められた。発熱が皮疹に先行した症例が57例中50例(88%)と多数を占め,発熱から発疹出現までの平均は3.5日であった。検査データについては異型リンパ球の出現を59例中48例(81.4%)に認め肝機能障害は57例(91.9%)に認められた。血小板減少は10例(16.1%)で認められたが,DICを併発した例はなかった。ツツガムシ病に感受性のある治療を開始してから解熱までは平均1.5日であり,いずれの症例もすみやかに解熱する傾向が認められた。これらは今後の診療においても目安となると思われた。
  • 浅川 絵理, 藤広 満智子, 望月 隆
    2009 年 71 巻 2 号 p. 160-163
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    91歳,健康な女性。初診の数ヵ月前から顔面にそう痒を伴う丘疹と紅斑を生じた。接触性皮膚炎として加療したが受診を中断した。再診時には前額部から鼻部,下顎部にかけて広範囲に敷石状の結節と弾性軟の皮下腫瘤を,頭部には膿疱を認めた。生検皮膚は感染性肉芽腫の像を認め,PAS染色,Grocott染色で角層および真皮内に真菌要素を確認,Trichophyton rubrumが培養され,限局性白癬性肉芽腫と診断した。頭部の膿疱内にも菌糸を認め,手足の爪に白癬病巣を合併していた。トリコフィチン反応は陰性であった。抗真菌剤の内服により急速に改善した。発症原因は近医から処方され2ヵ月間塗布した強力なステロイド剤と考えた。
講座
統計
  • ―九州大学病院皮膚科におけるアンケート調査―
    大場 純奈, 竹内 聡, 城戸 真希子, 蜂須賀 淳一, 細川 知聡, 大日 輝記, 古江 増隆
    2009 年 71 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)にかゆみは必発の症状であり,引き続きおこる掻破行動は皮疹の形成,増悪に大きく寄与する。日常生活において患者がどのような時にかゆみを感じ,どのように対処するかについて知ることはADの診療・患者指導を行う上で大変有用と思われる。今回我々は,2005年11月から2007年1月にかけて九州大学病院皮膚科外来を受診したAD患者49名において,日常生活におけるかゆみについてのアンケート調査を行った。かゆみが増悪する主な要因としては発汗や衣類の素材,精神活動の状態などがあった。治療薬の抗かゆみ効果についてはステロイド外用薬,保湿薬がやや速効性に優れ,プロトピック®軟膏,抗ヒスタミン作用薬の効果発現は比較的緩徐であった。その他のアンケート結果も含め過去の報告とともに考察する。
治療
  • 竹中 基, 佐藤 伸一
    2009 年 71 巻 2 号 p. 186-191
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    蕁麻疹は繰返し発現する膨疹やそう痒によりQOLが低下すると考えられるが,治療効果においてQOLを検討した報告は少ない。そこで,セチリジン塩酸塩が蕁麻疹患者のQOLに与える影響を検討した。蕁麻疹患者26名にセチリジン塩酸塩10mgを1日1回4週間経口投与し,皮膚症状,そう痒(VAS),眠気の程度,QOL(DLQI)を評価した。なお,5名が脱落中止となり,21名(平均52.6±13.5歳,男9名,女12名)が評価対象であった。セチリジン塩酸塩の投与により,多くの症例で症状が軽減しており,有意な効果が認められた。VAS値によるそう痒の推移は試験開始前の64.0から試験終了時13.7と有意に改善していた。試験終了時に8名は皮膚症状,そう痒ともに完全消失していた。眠気については,19.2%で強い眠気を感じていたが,症状が改善されれば全例が治療に満足していた。逆に効果がなければ眠気に関わらず,全例が治療に対して不満であるとしていた。QOLについては,試験開始前の総合得点は4.8であり,下位尺度では「症状・感情」2.7,「日常活動」1.2,「仕事・学校」0.7であった。試験終了時には,総合得点が1.3と有意な改善が認められ,他の尺度も有意な改善を認めた。以上の結果より,医師による評価のみならず,患者自身による評価であるVAS値(そう痒の推移)やDLQIにても改善が認められたことにより,セチリジン塩酸塩は蕁麻疹に対し,非常に有用な薬剤であると考えられた。
  • 大場 純奈, 吹譯 紀子, 古江 増隆
    2009 年 71 巻 2 号 p. 192-200
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    近年,皮膚疾患治療における紫外線療法の位置付けが,その作用の解明が進み,また,実際の臨床での経験から,より高まってきている。中でも,ナローバンドUVB(nb-UVB)は,乾癬やアトピー性皮膚炎,慢性痒疹,菌状息肉症等の紅斑,そう痒等に優れた効果を発揮し,現在日常診療でよく使用されている。しかし,nb-UVBは健常部へも紫外線を照射してしまう不便さがあるため,限局性の軽度の病変に対しては治療を行いにくいのも事実である。ターゲット型nb-UVBは,308±2nmとnb-UVB(311nm±2nm)とほぼ同等の波長を持ち,健常部への紫外線照射を避けて罹患部のみに照射し,集中して治療を行うことが可能な機械である。今回我々は,当科通院中の患者25名に対し,ターゲット型nb-UVB器であるエキシマランプを用いて治療を行い,その効果を観察した。その結果を紹介し,過去の文献とともに考察する。
  • 安本 美奈子, 下田 貴子, 坪内 利江子, 川名 誠司
    2009 年 71 巻 2 号 p. 201-205
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    日光角化症および基底細胞癌に対する,5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid hydrochloride:以下ALA)を用いたphotodynamic therapyの効果を検討した。対象として,広範囲に皮膚病変を生じた例2例,多発例1例,液体窒素療法が無効であった2例,整容的に優れた治療を希望した2例の計7例の日光角化症と,合併症のために手術が困難な基底細胞癌の1例を選択した。その結果,日光角化症の5例においては3~8回の治療で臨床的に完全に消失し,2例の日光角化症と基底細胞癌の症例においては病変が縮小した。全例において瘢痕や色素沈着は生じず,整容面で優れていた。しかしながら,ALAの外用処置に4時間と長時間を要した。
  • 田中 英一郎, 伊藤 雅章
    2009 年 71 巻 2 号 p. 206-208
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    抗真菌外用薬リラナフタートクリーム(ゼフナート®クリーム)と尿素軟膏の混合製剤を用いて爪白癬に対する有効性を検討した。直接鏡検陽性所見により爪白癬および足白癬と診断された患者で,抗真菌薬の内服療法適応とならない患者あるいは抗真菌薬外用療法のみを希望した患者を対象とした。1日1回,就寝前に被検部位へリラナフタートクリームと尿素軟膏の1:1混合製剤を単純塗布した。その結果,22例中16例で混濁の程度は減少し,とくに1例においては混濁消失した。「著明改善」以上で4.5%,「改善」以上で13.6%,「やや改善」以上で59.1%の改善率であり,これまでの外用抗真菌剤と同様の成績が得られた。爪白癬患者は併用注意薬や併用禁忌薬で経口抗真菌薬が服用不可な場合も多く,リラナフタートクリームと尿素軟膏の併用外用療法は爪白癬治療の選択肢として考慮すべきと考えた。
  • 古川 福実, 池田 高治, 佐藤 伸一, 瀧川 雅浩
    2009 年 71 巻 2 号 p. 209-215
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    我々は以前,皮膚科領域のステロイド性骨粗鬆症への予防治療の実態を明らかにするため,和歌山,長崎,静岡の3県下の開業医および勤務医にアンケート調査を実施,報告した。結果,ステロイド投与患者が多い反面,骨粗鬆症を定期的チェックする医師は少なく,予防的投与の目安が不明確で基準内容にばらつきがある等の課題が見え,わが国独自のエビデンスの集積とガイドラインの確立の必要性があると考えられた。その後2005年のステロイド性骨粗鬆症の管理と治療に関するガイドライン発表など,重要な転換点があったことから,予防的管理の実態の変化を観察するため,改めてアンケート調査を同3県下で実施した。月平均ステロイド投与患者は開業医で16.1人(前回調査時48.3人),勤務医13.5人(同14.9人)であり減少していた。骨粗鬆症の定期的チェックは,開業医10.7%(同5.2%),勤務医36.7%(同29.6%)が実施しており前回より上昇した。ステロイド性骨粗鬆症に予防的治療を実施するのは開業医24.0%(同38.5%),勤務医84.4%(同50.6%)で,勤務医では大幅に上昇した。使用薬剤は,ビスフォスフォネート製剤が全体で46.5%(同12.5%),活性型ビタミンD3製剤が41.2%(同95.3%)となり,使用薬剤に変化が生じていた。ステロイド性骨粗鬆症のガイドラインの作成により,皮膚科領域の治療実態は確実に変化していた。反面,開業医のビスフォスフォネート製剤に関するガイドラインの実施率は低いと類推され,一層のガイドラインの周知が必要であると考えられた。
  • 服部 英子, 山田 美奈, 稲葉 弥寿子, 松永 佳世子, 鈴木 美絵, 高橋 晴人, 島田 万里子, 川島 眞
    2009 年 71 巻 2 号 p. 216-223
    発行日: 2009/04/01
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    洗顔料の望ましい役割は,皮膚表面の汚れだけを落とし,正常な皮膚機能には影響を与えないことである。とりわけアトピー性皮膚炎,乾皮症のような乾燥性皮膚疾患では洗浄による皮膚のバリア機能低下をいかに抑えるか,が重要となる。それには低刺激性・低アレルギー性処方はもちろんのこと,洗顔時に物理的刺激がない適正な洗顔ができる形状の設計が不可欠である。今般,そのまま顔面を洗浄できるような泡が出る構造として設計されたポンプ式泡状洗顔料について,安全性を確認・評価することを目的とした4週間の使用試験を実施した。その結果,集計対象41例全例において副作用は認められなかったこと,21例で実施した皮膚測定においては角層水分量が使用後に有意に増加し,経皮水分蒸散量は減少傾向を示したこと,また洗い流しやすく洗顔後しっとりするなど被験者からの良好な評価を受けていたことから,高い安全性,角層の水分量を低下させない洗浄,良好な使用感の3点が確認された。以上より,本試験試料は,アトピー性皮膚炎,乾皮症などの乾燥性皮膚疾患に対する治療を補完する役割としてのスキンケア製品が有すべき安全性,機能,使用感が良く継続使用可能であるという条件を兼ね備えた洗顔料の一つであると考えた。
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