今回われわれは, 子宮内膜に発生したmicroglandular adenocarcinomaの1例を経験したので報告する.症例は65歳女性, 不正性器出血を主訴とし受診した.超音波検査にて内膜増殖症が疑われ内膜細胞診, 組織診が施行された.その細胞像は, 小型でやや大小不同を示す微小腺管構造が特徴的で, 粘液貯留により嚢胞状に拡張した腺管内には好中球がみられ, 一部で集籏し微小膿瘍状を呈した.腺管周囲の重積性の構成細胞は円形核, 細顆粒状のクロマチン, 明瞭な核小体をもち核問距離は不均等であった.細胞内粘液による核圧排像やシート状配列にみられた豊富な細胞質から, 高分化な粘液性腺癌と診断された.
生検組織診でも, 頸部に発生するmicroglandular hyperplasiaに類似した組織像であったが, 内膜から得られた検体であること, 細胞異型がみられることから診断確定のため子宮内膜全面掻爬が行われた.その組織像もほとんど生検と同様であったが, 一部に類内膜腺癌の組織像が得られ, microglandular adenocarcinomaと診断, 子宮が摘出された.手術標本では, 腫瘍の大部分はrnicrogladularな構造を有する乳頭状増殖であったが, 深部の腫瘍は定型的な類内膜腺癌 (G1) で, 子宮筋層に浸潤していた.
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