西日本皮膚科
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44 巻, 5 号
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図説
症例
  •  
    倉員 正俊, 恒吉 香保子, 松尾 健三, 佐藤 恵実子
    1982 年 44 巻 5 号 p. 757-764
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
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    57才男子の左2, 3, 5指と右全足趾に乾性壊疽をきたし, 治療として血漿交換輸血療法を試みた本態性クリオグロブリン血症の1例を報告し, そのクリオグロブリンの寒冷沈降機序としてimmune complexの可能性と血漿交換輸血療法に関しての考察を行つた。
  • 坂崎 善門, 宮脇 由美子, 城野 昌義, 影下 登志郎, 荒尾 龍喜, 吉永 健, 満屋 裕明
    1982 年 44 巻 5 号 p. 765-772
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    1) 皮疹を伴う成人T細胞白血病(ATL)の2例(症例1: 53才男子, 症例2: 62才男子)を報告した。2) 皮膚症状として症例1に躯幹の多発性丘疹, 症例2に全身の多発性小結節を認め, 末梢白血球数はそれぞれ108,000/mm3(異常細胞94%), 29,800/mm3(87%)であつた。異常細胞のほとんどはE-rosette陽性を示した。3) 電顕的にATL細胞の主体は8-10μの小型異常リンパ球で, (1)small cell variant Sézary細胞に類似する, (2)核小体を有する細胞が多い, (3)clustered dense bodiesを有する細胞が多い, (4)classical Sézary細胞はほとんど認めないなどの所見を得た。4) 経過と予後: 症例1は化学療法中カリニ肺炎を併発したが軽快, 発症後約2年間完全寛解状態, 症例2は化学療法中, 汎発性帯状疱疹および肺炎を併発し全経過約8ヵ月で死亡した。
  • 西井 正美, 谷口 芳記, 清水 正之, 康 竜男, 中島 正雄
    1982 年 44 巻 5 号 p. 773-779
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    右眼瞼, 躯幹, 四肢の皮膚腫瘤の出現を初発症状として発症した症例で, 腫瘍細胞については, 電顕所見, 表面マーカーの検討などによりB-cell由来のdiffuse large cell typeの悪性リンパ腫であると考えられる症例について述べ, 若干の文献的考察を加えて報告した。
  • 柳沢 一明, 野見山 朋彦, 江口 一彦, 中山 管一郎, 末永 義則
    1982 年 44 巻 5 号 p. 780-789
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    67才男子の右前頭部に生じた悪性血管内皮細胞腫の1例を報告した。組織学的には, 真皮全層に分化の程度を異にする腫瘍細胞の増殖があり, 好銀線維がこれらを取り囲み, 管腔様構造を形成していた。組織化学的には, 腫瘍細胞はalkaline phosphatase染色で大多数が, α-naphthylacetate esterase染色, acid phosphatase染色, β-glucuronidase染色で一部が陽性を示した。電顕的には, 腫瘍細胞の大部分が集塊をなし, ところにより管腔形成がみられた。個々の細胞は1層の基底膜で囲まれ, 細胞内器官がよく発達し, 多くの細胞にWeibel Palade顆粒を認めた。あわせて, 1967年から1981年までに本邦皮膚科領域で報告された血管肉腫63例(悪性血管周囲細胞腫, 悪性リンパ管内皮細胞腫, Kaposi肉腫は除く)について統計的考察を行つた。
  • —Syringocystadenoma Papilliferum, Apocrine Cystadenoma, Apocrine Nevusを合併し, 特異な角質嚢腫様構造を伴つた症例—
    阿曽 三樹, 島雄 周平, 清水 康之
    1982 年 44 巻 5 号 p. 790-795
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    36才女子の左下腿に生じたアポクリン腺由来の腫瘍を報告した。組織学的所見でsyringocystadenoma papillifeum, apocrine cystadenoma, apocrine nevusなど多彩な組織像が認められた。さらに角質嚢腫様構造が多数存在した。これは一部細胞間橋を有すが, 顆粒層を欠如する嚢腫様構造で, 嚢腫壁を構成する細胞は中心に向かうにつれ胞体が大きくかつ明るくなり空胞化した。嚢腫様構造には充実性細胞巣も見られるが, 多くは内容として同心円状, 玉葱状好酸性物質を含んでいた。嚢腫様構造を形成する細胞と同一の細胞がsyringocystadenoma papilliferumやapocrine cystadenomaの一部にも見られ, また充実性細胞巣がアポクリン汗管と連続し, 汗管の壁を構成していた。自験例と類似の角質嚢腫様構造を認めた腫瘍と文献上比較し, われわれはこの角質嚢腫様構造は毛包起源やエックリン腺起源ではなく, アポクリンの汗管由来であると推察した。
  • —特に局所温熱療法並びに免疫不全との関係—
    馬場 安紀子, 中嶋 宏治, 山崎 雙次, 古谷 達孝, 宮川 泰一
    1982 年 44 巻 5 号 p. 796-803
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    重症肝硬変症および糖尿病合併のため薬物療法を施行できなかつた58才男子に発症したクロモミコーシスに対して, 「白金カイロ」による局所持続温熱療法を試み, 皮疹の著明な改善をみ, このことは組織学的にも実証された。しかしカイロを装着できない部分の皮疹は改善せず, 内臓諸臓器への転移の危険性も懸念されたので, 外科的に切除した。重篤な基礎疾患があり化学療法や外科的療法の不可能なクロモミコーシスの症例に対して, 局所持続温熱療法は試みる価値のある方法と考えられた。併せてこれまでのクロモミコーシスの温熱療法の報告例をまとめ, その方法などにつき若干の考察を加えた。さらに文献的に調査し得たクロモミコーシスの本邦症例235例中基礎疾患の記載があつた21例につき考察し, これらのうち一部の症例では, 基礎疾患が本症の発症, 展開に何らかの役割を演じている可能性があることについて述べた。
  • 服部 智子, 水谷 仁, 清水 正之
    1982 年 44 巻 5 号 p. 804-807
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    ステロイド内服および長期のステロイド外用中に発生したpityrosporm folliculitisの2例を報告した。前胸部などにざ瘡様皮疹を認め, 皮疹の圧出内容の直接検鏡にてpityrosporumを認めた。組織学的には, 毛包漏斗部が拡張し, 角質片を入れる。毛包壁の一部に破壊像がみられ, その周囲に膿瘍を形成する。PAS染色では, PAS陽性の胞子が毛包内の角質塊内および毛包周囲膿瘍内の異物巨細胞中に認められた。文献的にpityrosporum folliculitisの発症機序について言及し, pityrosporum属がその発症に病原的に働いている可能性を示唆した。
  • 倉田 三保子, 麻上 千鳥, 久本 和夫, 安武 俊輔, 倉田 悟
    1982 年 44 巻 5 号 p. 808-811
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    症例は58才の女子。結腸癌手術後Futrafulを1日750mg投与中, 9ヵ月目頃より掌蹠の角化性紅斑および指趾爪, 指趾関節背面の色素沈着に気づいた。これら皮疹は投薬中止後約2週間で軽快した。組織学的には表皮に角質増殖と液状変性があり, 真皮上層には浮腫性変化とともに小円形細胞浸潤がみられた。本例を含む過去5年間の本邦報告例38例についてみると, 皮疹出現までのFutraful投与期間は平均3.5ヵ月, 総投与量は平均88gで, 投与中止後平均40日で皮疹は軽快している。本症に共通する皮膚症状として掌蹠の瀰漫性角化性紅斑および口唇, 爪, 指趾関節背面の色素沈着が認められている。発生機序としては, Futrafulないしその活性物質の組織に対する直接的障害作用が主役と推察されている。
研究
  • 第1報: 患者血清及び水疱内容液中の免疫複合体及び補体成分の測定
    四本 秀昭, 久留 博史, 花田 正明, 田代 正昭
    1982 年 44 巻 5 号 p. 812-815
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    水疱性類天疱瘡は自己免疫的機序で発症する一つの症候群として考えられている。本疾患の発症機序の一部を解明する目的で, 補体系あるいはeosinophilic chemotactic factorなどの検討が行われている。われわれは, 水疱内容液および患者血清中の補体成分を一元免疫拡散法を用い, circulating immune complexes(CIC)はポリエチレングリコール沈降物補体消費試験により測定した。水疱内容液の補体成分を検討したところ, それぞれの患者血清の補体成分に比較して, C1q, C3cは低値を示し, C4値はコントロール値より高値かあるいはそれに近い数値を示す傾向が認められた。C1-INHは, 水疱内容液で低値を示し, C3-ACTは一定の傾向が認められなかつた。以上から, 本疾患の水疱部では, classical pathwayおよびalternate pathwayが作動していると考えた。水疱性類天疱瘡7例中2例で血清中CICの異常値が認められた。CICと皮疹との間に相関は認められなかつた。水疱内容液中のCICは測定した4例ともに低値であつた。
  • 笠田 守, 久永 雅穂, 辻 トヨコ, 笹井 陽一郎
    1982 年 44 巻 5 号 p. 816-820
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    34才男子の皮膚混合腫瘍, 51才女子の毛包性ムチン沈着症の症例を報告した。両例とも臨床的ならびに組織学的にほぼ典型的所見を示した。両者におけるムチン内酸性ムコ多糖について組織化学的に検索した。方法は, 過ヨウ素酸 Schiff染色, Alcian blue染色, toluidine blue染色およびbromphenol blue染色である。Alcian blueならびにtoluidine blue染色では, 塩化マグネシウムを用いる臨界電解質濃度法による染色もおこなつた。Toluidine blue染色では, 偏光顕微鏡による観察をおこなつた。その結果, 皮膚混合腫瘍におけるムチン内酸性ムコ多糖はヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸, 毛包性ムチン沈着症ではヒアルロン酸であることが確かめられた。
講座
統計
  • 岡崎 美知治, 井上 勝平, 緒方 克己
    1982 年 44 巻 5 号 p. 824-831
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    昭和55年末までのわが国における放射線皮膚悪性腫瘍の報告例358例を集計し, 次のような結果を得た。
    1) 性比は約2対1で男性に多く, 平均発症年令は53.1才であつた。また, 男性の方が高令者に多い傾向を示した。
    2) 病理組織学的には有棘細胞癌が約60%を占めるが, 最近基底細胞癌や肉腫の発生例が増えている。
    3) 照射原疾患としては良性皮膚疾患群が約60%を占め, なかでも真菌症, 湿疹·皮膚炎群, 結核性疾患, 血管腫などへの照射例が多かつた。また, 近年悪性腫瘍治療への照射が急増しており, 職業性被曝による発癌例は依然として減少していない。
    4) 60Coや深部レ線などの高エネルギー線照射例はそれぞれ4例ずつみられ, いずれも肉腫の発生が多かつた。
    5) 潜伏期間の長さは, 原疾患別には職業性>良性疾患>悪性腫瘍, 組織病型別には基底細胞癌>有棘細胞癌>肉腫の傾向がみられ, また線源別には, 限界線による発癌例で潜伏期が短いという結果が得られた。
    6) 限界線照射による発癌例では, そのほとんどが過照射によるものであつた。
治療
  • —Well-Controlled Comparative Studyによる左右比較試験成績—
    HF-264軟膏臨床研究班
    1982 年 44 巻 5 号 p. 832-838
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    本研究班(10施設)は, HF-264軟膏(HF)のアトピー皮膚炎に対する有用性をbendazac軟膏(BE)を対照としてwell-controlled comparative studyによる左右比較試験で検討した。
    1) 74例が解析対象となつた。
    2) 背景因子には偏りを認めなかつた。
    3) 全般改善度に関して, 「かなり軽快」以上では1週後HF 41.9%, BE 37.8%, 2週後HF 67.6%, BE 67.6%であつたが, 統計学的には有意差は認められなかつた。
    4) 優劣比較に関して, 1週後HFが優ると判定したもの20例, BEが優ると判定したもの16例, 同様に2週後HF 23例, BE 17例であつたが, 統計学的には有意差は認められなかつた。
    5) 副作用は, 74例中, HF外用部位に3例4件(4.1%), BE外用部位に6例7件(8.1%)の副作用が発現したがHF, BE両薬剤間に有意差は認められなかつた。
    6) 有用性に関して, 「有用」以上ではHF 58.1%, BE 52.7%であつたが, 統計学的には有意差は認められなかつた。
    7) 有用性の比較に関して, HFが優ると判定したもの26例, BEが優ると判定したもの19例であつたが, 統計学的に有意差は認められなかつた。
    以上のごとく, いずれの項目においてもHF-264軟膏はbendazac軟膏と同等の結果を得, アトピー皮膚炎に対し, bendazac軟膏と同等の有用な薬剤であると推測する。
  • —多施設Open Trial—
    HF-264軟膏臨床研究班
    1982 年 44 巻 5 号 p. 839-847
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    本研究班(10施設)は各種湿疹·皮膚炎群患者179例を対象に, HF-264軟膏の有効性と安全性を検討した。その結果, 疾患別の有効率(有効以上)は貨幣状湿疹湿潤型; 外用1週間で60.0%, 慢性苔癬化型湿疹·皮膚炎群; 外用3週間で61.1%, 脂漏性皮膚炎; 外用3週間で61.5%, 酒〓様皮膚炎·口囲皮膚炎; 外用8週間で65.6%という成績であつた。また副作用は6例(3.4%)にみられたが, いずれも本剤による刺激症状であつた。湿疹·皮膚炎群の治療において本剤にはかなりの効果が認められた。とくに本剤が安全性に優れることから, 長期間の外用を必要とする慢性型疾患に対してはステロイド剤と異なり安心して長期使用出来る薬剤と考えられた。一方酒〓様皮膚炎·口囲皮膚炎の治療において, 本剤はステロイド外用剤中止直後の皮膚症状の一時的増悪を軽減ないし抑制することがうかがわれ, 他療法との比較においても「1∼2週間外用しない場合」との比較では11例中10例, 硼酸亜鉛華軟膏など従来からの本症の治療薬との比較でも12例中10例で本剤が優ると判定された。また疾患の性質上長期にわたる外用が必要と思われたが, 事実長期間の外用により有効率は上昇した。以上の結果, 本剤はこれらの皮膚疾患の治療に有用な薬剤と考えられた。
  • 佐々木 哲雄, 園田 俊雄, 村上 淳子, 黒沢 伝枝, 杉本 純一
    1982 年 44 巻 5 号 p. 848-852
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    PSS 22例, MCTD 1例, generalized morphea 3例計26例にエラスターゼを使用した。効果判定までの平均投与期間は1年3ヵ月で, 臨床所見の軽快が4例にみられ, その他の例でも進行はみられず, 有効と思われた。副作用は軽微であり, 長期投与を必要とする本症の治療には使いやすい薬剤であると思われた。エラスターゼの作用機序について文献的に考察した。同時に行つた膵機能検査で, GTTの異常が高率にみられたが, エラスターゼによる治療成績と膵機能検査の結果の間に有意と思われる関係はみられなかつた。
  • 竹松 英明, 清寺 眞, 棚橋 善郎, 高橋 正昭, 石橋 正夫
    1982 年 44 巻 5 号 p. 853-859
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    1) 熱傷24例, 採皮部8例の計32例にcollagen wound dressing(CAS)を使用した。熱傷には, lyophilized porcine skin(LPS)を使用した20例, 抗生物質加軟膏を使用した2例, 採皮部にはLPSを使用した8例を対照としたハーフサイド·テストを行い, 検討を加えた。
    2) 表皮形成に対する影響, 疼痛に対する効果では, 対照との間に明らかな差はなかつた。
    3) 滲出液抑制効果は充分ではないが, 創面との間の滲出液貯溜防止に働いていると考えられた。
    4) 副作用は, 1例にそう痒感がみられたのみで, 明らかな過敏反応はみられなかつた。
    5) CASは融解することが多いので, 感染に注意する必要がある。
    6) 総合的に判断して, CASは比較的小範囲の熱傷および採皮部に対する効果的かつ安全な創傷保護剤と考えられる。
  • 大原 国章, 関 利仁, 久木田 淳
    1982 年 44 巻 5 号 p. 860-863
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    ウシの真皮層のコラーゲンより作製されたcollagen wound dressing(CAS)の効果を, lyophilized porcine skin(LPS)を対照として検討し, つぎの結果をえた。
    1) 分層植皮の採皮創16例の17ヵ所, superficial dermal burn 4例が対象となつた。
    2) 疼痛軽減, 表皮形成に関しては, 対照との間に差がなかつた。滲出液抑制に関しては, CASは滲出液を抑制するというよりも, むしろそれを吸収, 通過させる効果があり, 滲出液を貯留させない点に特徴があるようである。
    3) CASによる副作用はみられなかつたが, LPSでは肥厚性瘢痕1例, 丘疹1例が見られた。
    4) 総合的にみて, CASとLPSの臨床効果はほぼ同等と考えられた。
  • 清水 順也, 平田 摂子
    1982 年 44 巻 5 号 p. 864-868
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    過去7ヵ月間に経験した帯状疱疹20例に対し, 1% rifampicinを添加した5% bufexamac軟膏(1% rifampicin bufexamac軟膏)を創製し治療に供した。20例中9例は一般型, 11例は重症基礎疾患合併あるいは汎発型であり, 乾燥するまでの平均日数は一般型で8日, 汎発型その他では22日であつた。治療開始より2週までの全般改善度は, 著効4例, 有効1例, やや有効8例, 治癒遷延7例で, 副作用は全例に認められなかつた。対象の半数が汎発型であつた点を考慮すれば, 他の併用薬(とくに重症型にペプシン処理人免疫グロブリンを大量投与)を用い, また症例数が少ないことより断定し難いが, 非ステロイド系抗炎症外用剤(bufexamac軟膏)を基剤に用いたことにより相乗効果が得られたという印象を受けた。
  • 立花 法子, 金子 史男
    1982 年 44 巻 5 号 p. 869-870
    発行日: 1982/10/01
    公開日: 2012/03/21
    ジャーナル 認証あり
    オーレンピュアソフトソープ5を接触皮膚炎13例, アトピー皮膚炎5例, 急性湿疹1例, 慢性湿疹4例, 脂漏性皮膚炎1例, 女子顔面再発性落屑性皮膚炎1例, 乾皮性皮膚炎1例, 酒さ様皮膚炎2例, 酒さ1例, 尋常ざ瘡7例, 膿疱性ざ瘡1例の計34例に使用したが, 慢性湿疹の1例を除いて33例に皮疹の治療に影響を与えなかつた。汚れ落ち, すすぎ, あわぎれ, 洗顔後の状態など石けんとしての効用も十分であると思われる。本石けんは刺激性の少ないことから, 皮膚疾患患者にも使用できる石けんと思われる。
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