西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
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52 巻 , 1 号
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図説
綜説
  • 桑名 隆一郎, 荒瀬 誠治, 定本 靖司, 神野 公孝, 武田 克之
    1990 年 52 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
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    これまで困難とされてきた毛包細胞の培養が可能となつたため, この培養細胞を用いて育毛剤の効果をin vitroで判定できるようになつた。この培養法は抜去毛毛包を培養材料としIV型コラーゲンあるいはI型, IV型混合コラーゲン膜を培養基質とする分散培養法で, 間葉系細胞を含まないため定量的実験が可能である。本法にて毛包細胞を培養し, 培地中に各種薬剤を添加して細胞数, DNA合成, 細胞の寿命への影響を検討した。これにより, 育毛剤の毛包細胞に対する増殖促進作用, 寿命延長効果を短期間で定量的に判定することができた。
症例
  • —落葉状天疱瘡抗原の解析を含めて—
    小野 まり子, 永江 祥之介, 井上 光世, 中山 樹一郎, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 1 号 p. 8-11
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    49才男子, 落葉状天疱瘡(PF)の1例について, 正常ヒト皮膚より抽出した蛋白と患者血清を用いたイムノブロッティング法により, 天疱瘡抗原の検索を試みた。その結果, PF血清と特異的に反応したのは110kd, 90kdと18kdの蛋白であつたが, 90kdと18kdの蛋白は110kdの蛋白の分解産物と考えた。PF抗原は分子量158kdとの報告があるが1), また同時にPF抗原のサイズの多様性の報告もあり, この110kdの蛋白がPF抗原である可能性は否定できないと考えた。また, この症例は精神分裂病のために向精神薬を長期間内服しており, クロルプロマジン含有の薬剤2種でリンパ球幼若化試験(LST)陽性を示したため, クロルプロマジンが本症発症に関与している可能性についても考察した。
  • 渡辺 雅久, 野中 薫雄, 大神 太郎
    1990 年 52 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    Sjögren症候群を合併したSCLEと, 新生児LEの親子例を報告した。症例1, 33才女子。妊娠3ヵ月頃より, 躯幹に手掌大の環状紅斑が出現した。当科初診時抗核抗体640倍, 抗SS-A, SS-B抗体陽性。皮疹部の生検では過角化, 基底層の液状変性などをみとめ, SCLEと診断した。唾液腺生検, シアログラフィの所見より, Sjögren症候群の合併が示唆されたが, 乾燥症状は自覚されず, subclinical Sjögrenの状態と思われた。プレドニゾロン20mg内服で皮疹は消褪し, 妊娠の経過も良好, 39週で女児(症例2)を出産した。症例2, 生後1ヵ月頃より躯幹に母親にみられた皮疹と同様な環状紅斑が出現。抗核抗体160倍, 抗SS-A, SS-B抗体陽性。ECG上心ブロックは認めなかつた。皮疹は約1ヵ月の経過で消褪傾向を示し, 血清学的所見も正常化してきた。これらの症例の経験に基づき, SCLEの皮疹とSjögren症候群にみられる環状紅斑との異同について, 若干の考察をおこなつた。
  • —誘発因子が不明であつた女子例—
    入船 弘子, 村山 史男, 大神 太郎, 野中 薫雄, 藤原 直子
    1990 年 52 巻 1 号 p. 17-20
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    65才女子。顔面の色素沈着と多毛, 手背の糜爛を主訴として受診した。尿中ポルフィリン体定量で, ウロポルフィリンを優勢に排泄していた。露出部皮膚の生検標本において, PAS陽性物質の沈着を認めた。また, 真皮上層の血管周囲に, 免疫蛍光抗体直接法では, γ-globlinの沈着は認めなかつたが, C3の沈着は陽性であつた。わが国における本症の報告例の多くは, 大酒家の中年男子で, 女子例は, およそ5%である。また皮膚科領域からの報告では, 人工透析中に生じた例が多いが, 自験例は腎不全もなく, アルコール, エストロゲン製剤の摂取など, ポルフィリン代謝に関与すると思われる誘発因子を証明し得なかつた点で興味深いと思われる。
  •  
    田部 陽子, 磯田 美登里
    1990 年 52 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    ゲッカーマン療法中に水疱を生じた尋常性乾癬の2例を報告した。症例1は, 81才男子で, ゲッカーマン療法を開始して52日目頃より, 四肢に水疱を生じた。生検病理組織像では, 多数の好酸球の浸潤を伴う表皮下水疱を認め, 類天疱瘡と診断した。症例2は, 81才女子で, ゲッカーマン療法開始6日目より, 躯幹, 四肢に水疱を生じた。生検病理組織像では, 好酸球の浸潤を伴う表皮内水疱を認め, 尋常性天疱瘡と診断した。いずれの症例ともゲッカーマン療法を中止してから, 現在まで水疱の再発をみていない。タールまたは紫外線, あるいはその両者が自験例における水疱症の誘因と思われた。
  • 師井 洋一, 今山 修平, 堀 嘉昭, 松本 正
    1990 年 52 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    4ヵ月男児のcongenital total lipodystrophyの一例を経験した。生下時より皮膚の褐色色素沈着, 多毛に加えて全身皮下脂肪の著明な減少, 特異な顔貌を認めた。その他, 肝脾腫による腹部膨隆と外性器の肥大を認め, 元気がなくミルクの飲みが悪かつた。検査により肝機能異常, 脂肪肝, 高脂血症(Fredrickson, V型), インスリン抵抗性耐糖能異常が明らかになつた。生検した大腿皮膚では, 乳頭状を呈し, 角質増生がみられ, acanthosis nigricansの所見に一致した。皮下の脂肪組織の発育は悪く, 個々の脂肪細胞は小型で未熟であつた。
  • 鈴木 裕介, 田沼 弘之
    1990 年 52 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    3年来左肘頭部の計22個におよぶ大小の赤色結節が無自覚的に集簇し, 初診2週前より同肘関節の病的骨折をきたした71才女子例を報告した。組織学的に同関節尺骨端は完全な骨壊死の状態, 皮膚の結節ではサルコイド反応を示した。骨, 皮膚組織ともチールネルセン染色, グロコット染色陰性, 皮膚組織の偏光顕微鏡にて異物は存在せず, 皮膚の抗酸菌培養も陰性であつた。胸部レ線にて右上肺野に結節状陰影が1個存在したがBHLはなく, PPD10×12mm/20×25mm, 血中ライソゾーム値27.5μg/ml, ACE値19.4IU/L, 喀痰および病巣部関節腔液から抗酸菌が各々6週後, 4週後に培養され, ナイアシンテスト, 硝酸銀還元テストよりヒト型結核菌と同定された。RFP450mg, INAH300mgの内服および病巣部関節掻爬術を施行し, 内服開始1ヵ月後, 掻爬術2週後には皮膚の大小の結節は著しく改善し, 組織学的にも類上皮細胞肉芽腫の著しい退縮と, 巨細胞, リンパ球浸潤の増強が認められた。本症例の病態は, 数年以上前から肺原発の結核病巣が無自覚的に存在し, 何らかの機転でこれが血行性に播種, 左肘関節腔内で増殖したため, 関節腔に接する3本の骨すべての骨端壊死(骨カリエス)をきたし, 恐らく菌体成分の一部がリンパ行性に直上の皮膚に到達し組織学的にサルコイド反応を呈する皮膚結核を形成したものと考えた。
  • 鈴木 秀美, 相原 満里子, 芹川 宏二, 柴山 律子, 原本 泉, 碇 優子, 吉野 裕, 千葉 紀子, 下田 祥由, 関 建次郎, 品川 ...
    1990 年 52 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    特異な臨床像を呈した, 68才, 農夫のスポロトリコーシスの1例を報告した。菌要素は組織内および, 巨細胞内に認められた。スポロトリキン反応陽性, 外傷の既往はなかつた。当病院開設の昭和49年2月より昭和62年12月までの約13年間に11例を経験した。男8例, 女3例で19才∼87才までであつた。罹患部位は上肢8例で, 5例が皮膚リンパ管型で3例が限局性皮膚型を呈し, 顔面は3例中2例が限局性皮膚型であつた。ここに報告した1例は刈谷らのいう中間型とした。発生季節は11例中5例が夏であつた。6例に外傷の既往があり, スポロトリキン反応は全例陽性であつた。
  • 飯島 茂子, 佐久間 満里子, 馬場 徹, 上野 賢一
    1990 年 52 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    手足の疣贅様皮疹を主訴とし, 免疫能低下を伴う26才男子例を経験した。抗HPV抗体によるPAP法にて陽性所見を得, southern blot hybridization法にてHPV-2b型と判定し, 汎発性疣贅症(generalized verrucosis)と診断した。自験例にIFN-γ, IFN-β局注療法を試みたところ, IFN-γでは局注6回目頃より扁平化し, 9回でほぼ消失した。一方, IFN-βでは9回終了時ごくわずかな扁平化を呈するに過ぎなかつた。抗HLA-DR抗体を使つたABC法にて, IFN-γ局注部は表皮全体に強い陽性所見を認めたが, IFN-β局注部では表皮下層の一部にのみ陽性所見をみた。今までのわれわれの報告によれば, IFN-βは尋常性疣贅に対し98%の有効率をもつ。自験例の対照として免疫能正常の疣贅患者4例に同様な局注療法を行つたが, IFN-βとIFN-γは同様に有効で明らかな差異は認められなかつた。自験例においてはIFN-βの反応性の低下が示唆されたがIFN-β活性阻害因子の存在は認められなかつた。
  • 野上 玲子, 前川 嘉洋, 荒尾 龍喜
    1990 年 52 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    陰茎亀頭の巨大潰瘍と全身性に散在多発する膿疱および丘疹, 発熱, 全身倦怠を主訴とし, Fournier’s gangrene, 壊疽性膿皮症との鑑別を要した38才男子例を報告した。緒方法, TPHAなど強陽性を示したが, 潰瘍および丘疹は組織学的に非特異的炎症像を呈するのみで形質細胞の浸潤も少なく, 免疫組織学的にTreponema pallidumを検出し得たことが確定診断に至る上できわめて有用であつた。下疳に対する不適当な外用療法, 二次感染, 梅毒に対する患者の無関心からくる再感染, 衛生環境上の問題などの諸因子が, 特異な臨床像を招来したと思われた。
  • 青 雅一, 前 興治, 永瀬 洋
    1990 年 52 巻 1 号 p. 54-59
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    30年の経過を持つ55才女子の背部の巨大腫瘤を摘出したところ, 術後14ヵ月後に局所再発をきたした。組織学的にbasaloid cellからshadow cellへの移行がみられ, 電顕的にトリコヒアリン様顆粒が観察された。再発巣は広範囲に切除し, 分層植皮を行つた。術後7ヵ月を経過した現在再発はみられていない。自験例をふくめた26例について検討し, 類似した疾患と文献的に鑑別した。
  • 幸田 衞, 浦上 更三, 横尾 雅子, 植木 宏明
    1990 年 52 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    部分的に扁平上皮分化を示した汗器管癌を2例経験した。症例1はeccrine poromaから悪性変化したと思われるeccrine porocarcinomaで, 腫瘍辺縁部が扁平上皮癌に類似していた。症例2はeccrine ductal carcinomaと診断したが, 頸部リンパ節の転移病巣は扁平上皮様細胞から成り, 中心部が角化, 壊死化した嚢腫構造を呈していた。汗器管系腫瘍では, 扁平上皮巣の存在は, その悪性所見の1つとして重要と考えた。
研究
  • 第1報. 皮膚培養細胞の染色体異常
    貞森 直樹, 本田 武夫, 堀 真, 野田 好矩, 西野 冽子, 藤原 直子, 貞森 道子
    1990 年 52 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    長崎原爆被爆者における皮膚に対する原爆放射線の影響を観察する一つの方法として, 皮膚培養細胞の染色体検索を実施した。対照群としての非被爆者の皮膚培養細胞からはほとんど染色体異常は観察されなかつたが, 有意の放射線を浴びたと考えられる被爆者の皮膚培養細胞中には, 原爆被曝から40年余を経た現在もなお, 放射線に起因すると考えられる染色体異常が観察された。染色体異常率は推定被曝線量の多い被爆者に高率に認められ, これらの異常細胞の中には同一の異常核型を有するクローン形成も観察される。これらの事実は, 原爆被爆者のなかでも高線量被曝者の皮膚細胞には相当なDNA障害が生じ, それらの細胞がクローン増殖していることを意味している。このことはまた, 今後早急に被曝者における皮膚癌発生率の疫学調査が必要であることを示唆している。
  • 第2報. 長崎市内3大病院症例での被爆距離別発生頻度
    貞森 直樹, 三根 真理子, 堀 真, 藤原 直子, 高原 耕, 野田 好矩, 貞森 道子, 西本 勝太郎, 太田 尚弘
    1990 年 52 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    第1報では, 長崎原爆被爆者なかでも近距離被爆者においては, 皮膚培養細胞に原爆放射線に起因すると考えられる染色体異常が観察されることを報告した。これらの染色体異常を保有する細胞の中には, 同一の異常核型を保有するクローン形成も認められることから, 被爆者における皮膚癌発生率の疫学的調査が必要であることを示唆した。本報では, 長崎原爆被爆と皮膚癌発生との関連を検討するために, 長崎大学医学部原爆資料センターに収録されている直接被爆者66,276人の資料をもとに検討した。被爆者皮膚癌症例は, 長崎市内の3大主要病院から110症例が収集された。これらの110症例について, 皮膚癌発生頻度と被爆距離との関連を検討し, 以下の結果を得た。すなわち, 皮膚癌発生頻度と被爆距離との間には, 110症例全例で検討した場合, 統計学的に高い相関を示した(p<0.01)。男女別に分けた場合, 男性症例のみにおいて相関が認められた(p<0.01)。
  • 第3報. 長崎市内および周辺地区31病院症例での被爆距離別発生頻度
    貞森 直樹, 三根 真理子, 堀 真, 藤原 直子, 高原 耕, 野田 好矩, 貞森 道子, 西本 勝太郎, 太田 尚弘
    1990 年 52 巻 1 号 p. 76-80
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    本シリーズの第1報では, 長崎原爆被爆者における皮膚培養細胞の染色体異常の存在やクローン形成などの事実から, 被爆者皮膚癌発生率増加の可能性を示唆した。これを受けて第2報では, 予備的調査として長崎市内の3大主要病院である長崎大学付属病院·日赤長崎原爆病院·長崎市民病院で収集した110症例の被爆者皮膚癌について, 長崎大学医学部原爆資料センターに収録されている直接被爆者66,276人の資料を用いて解析した。その結果, 110症例全例および男子50症例の場合皮膚癌発生頻度と被爆距離との間に統計的に相関を認めたが, 女子60症例の場合には相関は成立しなかつた。そこで本報告では, 調査対象を31医療機関に増やして収集した140症例の皮膚癌にて解析したところ, 全症例の場合と同様に男女別症例に分けた場合にも, 皮膚癌発生頻度と被爆距離との間に推計学的相関を認めた。
  • 第4報. 皮膚癌発生率の年次推移
    貞森 直樹, 三根 真理子, 堀 真, 藤原 直子, 高原 耕, 野田 好矩, 貞森 道子, 西本 勝太郎, 太田 尚弘
    1990 年 52 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    われわれはすでに, 放射線影響研究所(長崎)における寿命調査拡大集団と腫瘍登録を用いて, 被爆者皮膚癌発生頻度と推定被曝線量との間に統計的に有意な相関があることを明らかにした。また本シリーズの第3報では, 長崎大学資料センターに収録されている66,276人の直接被爆者資料をもとに, 長崎市内および周辺地区の31医療施設から収集した被爆者皮膚癌140症例について検討し, 皮膚癌発生頻度と被爆距離との間で統計的に高い相関を認め, この相関は男女別に分けた場合も同様であつた。本報告では, 原爆資料センターの資料を用いて, 原爆被爆から今日に至るまでの皮膚癌発生率の年次推移を検討した。その結果, 皮膚癌発生症例数は1962年以降増えつづけ, とくに1975年頃を境にして, 2.5km未満被爆者からの皮膚癌発生率の増加が3.0km以上被爆者のそれに比べて有意に高くなつていることが判明した。
  • 第5報. 被爆者皮膚癌の特性
    貞森 直樹, 三根 真理子, 堀 真, 藤原 直子, 高原 耕, 野田 好矩, 貞森 道子, 西本 勝太郎, 太田 尚弘
    1990 年 52 巻 1 号 p. 86-90
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    われわれは, 放射線影響研究所(長崎)における寿命調査拡大集団と腫瘍登録を用いて, 長崎被爆者皮膚癌発生頻度と推定被曝線量との間に統計的に有意な相関があることを明らかにした。また本シリーズの第3報では, 被爆者皮膚癌発生頻度と被曝距離との間にも高い相関を認めた。さらに第4報では, 近距離被爆者皮膚癌の増加率は, 1975年頃を境にして遠距離被爆者のそれに比べて有意に高くなつていることを報告した。本シリーズ最終稿としての本報告では, 長崎大学原爆資料センターに収録されている66,276人の直接被爆者をもとに, 長崎市内および周辺地区の31医療施設から収集した被爆者皮膚癌140症例について, 被爆者皮膚癌の特異性の有無について検討した。種々検討した中で唯一推計学的に有意差の認められたことは, 有棘細胞癌においては近距離被爆者群の被爆年令が遠距離被爆者群のそれに比べて若いということであつた。
講座
治療
  • —乾癬および角化症—
    永江 祥之介, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 1 号 p. 97-101
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    乾癬8症例と角化症4症例に対し, 活性型ビタミンD3のアナログである1α,24R-dihydroxy cholecalciferol(1α,24R-(OH)2D3)を含有するTV-02軟膏を単純塗布し, その有用性を検討した。その結果, 最終全般改善度におけるかなり軽快以上の改善率は乾癬で87.5%, 角化症で25.0%であつた。副作用は局所副作用として刺激感を1例に認めたが, 投与中止とともに軽快した。前治療との比較では, 乾癬においてはステロイド外用剤との比較で副作用中止例を除き, 評価ランクI∼II群のステロイド外用剤より優れ, 角化症では尿素外用剤より劣るが, ステロイド外用剤よりは優れる結果であつた。
  • 加藤 晴久, 茶之木 美也子, 石井 正光, 古川 雅祥, 北島 淳一, 幸野 健, 國行 秀一, 谷井 司, 依藤 時子, 深井 和吉
    1990 年 52 巻 1 号 p. 102-104
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    皮膚感染症患者43例にエノキサシン(ENX·フルマーク, 大日本製薬)の治験を行い, 著効20例, 有効17例, やや有効5例, 無効1例, 有効以上の有効率86.1%という優れた治療効果を得た。副作用は1例に投与2日後に胃障害をみたのみであつた。ENXは, ピリドンカルボン酸系合成抗菌剤の経口内服剤であり, 広範囲の抗菌スペクトルをもち, ファーストチョイスとして用いられると考えられる。
  • 安元 慎一郎, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    アシクロビル200mg錠(ゾビラックス錠200mg)の単純疱疹に対する臨床効果を10例(男子4例, 女子6例)について検討した。症例の内訳は, 陰部疱疹3例, 疱疹性ひょう疽1例, 疱疹性湿疹1例, 単純疱疹5例(顔面2例, 臀部3例)であり, うち5例から単純ヘルペスウイルス(HSV)1型が, 他の5例からHSV2型が分離, 同定された。初感染と考えられたものは4例, 再発と考えられたものが6例であつた。アシクロビル200mg錠の投与により, 全例3∼10日間(平均6日間)で皮疹が乾燥, 上皮化した。副作用は全例で認められなかつた。本剤は単純疱疹に対して有用性の高い薬剤と考えられた。
  • 音山 和宣, 堀内 保宏
    1990 年 52 巻 1 号 p. 111-114
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    帯状疱疹に対してのキチン軟膏治療の臨床効果を検討した。10%キチン軟膏と白色ワセリンとの対比4例, ブフェキサマック軟膏との対比5例, キチン·ブフェキサマック混合軟膏とブフェキサマック軟膏との対比3例, および20%キチン軟膏とブフェキサマック軟膏との対比4例のあわせて16例を対象とした。ブフェキサマック軟膏処置例は12例中5例(42%)が著効を示し, 10%キチン軟膏処置例は9例中4例(44%)が著効しブフェキサマック軟膏と比較してほぼ同等の効果であつた。一方, 20%キチン軟膏処置例は4例全例著効を示し, これを含めるとキチン軟膏処置例は13例中8例(62%)が著効し, 有効以上を含めると13例中11例(85%)で明らかな有用性が認められた。
  • 石井 則久, 石井 晴美, 中嶋 弘, 内山 光明, 加藤 安彦, 澤泉 健二郎, 平井 義雄, 吉田 貞夫
    1990 年 52 巻 1 号 p. 115-123
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    局所抗炎症作用が強く副作用が少ないことを特長としたステロイド外用剤, メサデルムクリーム(dexamethasone 17,21-dipropionate, DDP)を用いて, リンデロンVクリーム(betamethasone 17-valerate, BV)を対照とした比較試験を行つた。対象疾患には, 湿疹·皮膚炎(慢性湿疹, アトピー性皮膚炎, 皮脂欠乏性皮膚炎), 尋常性乾癬を選んだ。皮膚所見の改善度, 全般改善度, 有用性のいずれにおいてもメサデルムクリームがリンデロンVクリームよりも有意に優れていた。またメサデルムクリームは効果の立上りが早く, 速効性であることが示された。副作用は両剤とも同程度であつた。以上よりメサデルムクリームは外用剤として臨床的に有用な薬剤であると考えられた。
  • —香川医科大学皮膚科のアトピー性皮膚炎統計を加えて—
    西本 正賢
    1990 年 52 巻 1 号 p. 124-130
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    アトピー性皮膚炎患者69例に, リドメックス軟膏またはクリームとケラチナミンの重層塗布を行つた。1週後, 3週後, 5週後に, 各皮疹の所見と, 全般改善度および副作用を記録した。最終観察日には, 全般改善度および副作用の有無より有用性を判定した。全般改善度では, 1週後の判定59例中著しく軽快以上31例52.5%, かなり軽快以上51例86.4%, 3週後には, 55例中それぞれ36例65.5%, 49例89.1%, 5週後には, 54例中それぞれ38例70.4%, 47例87.0%であつた。副作用は, せつ1例, 毛嚢炎1例, 治療を中止するほどの刺激感2例の計4例に認められた。有用性では, 69例中, 有用以上が51例73.9%, やや有用以上が66例95.7%となつた。あわせて昭和60年の香川医科大学附属病院皮膚科外来におけるアトピー性皮膚炎246例の性別, 年令別解析を加えた。
  • —白色ワセリンとの左右比較試験成績—
    永江 祥之介
    1990 年 52 巻 1 号 p. 131-135
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    アトピー皮膚と皮脂欠乏症に対するアトピコスキンケアオイル(精製ツバキ油)の有用性と安全性を白色ワセリンを対照として比較検討した。最終全般改善度における軽快以上の改善率はアトピコスキンケアオイルで82.9%, 白色ワセリンで74.3%であつた。有用性および使用感の優劣比較ではアトピコスキンケアオイルの方が白色ワセリンより有意に優れていた。副作用は全例で認めなかつた。
  • オリゴマリン研究会
    1990 年 52 巻 1 号 p. 136-142
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    オリゴマリンの有用性と安全性を検討する目的で, 主に中等度ならびに軽度の湿疹·皮膚炎および汗疱を対象疾患として, 一般臨床試験を4大学の皮膚科教室が協同して実施した。最終全般改善度はかなり軽快以上を有効とした場合の有効率では40.7%, やや軽快以上を有効とした場合の有効率では64.8%であつた。とくに角化と鱗屑の最終改善度については, 1段階以上の改善率でそれぞれ53.6%と56.6%であつた。副作用は54例中1例に認め, 発生率は1.9%と軽度であつた。本剤に対する患者の印象では使用前に比べてかさつかなくなつた症例が61.1%であり, 長期使用の希望(継続性)については72.2%であつた。上記成績より本剤は湿疹, 皮膚炎および汗疱に対して高い有用性を示し, また患者の印象でもかさつき感を軽減し, しつとり感を与えることから, 皮膚の乾燥, 角化をきたす疾患に対して幅広く有用性を示すことが確認された。
  • 中山 秀夫
    1990 年 52 巻 1 号 p. 143-146
    発行日: 1990/02/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    新しい手指保護剤であるハンドケア(S-7990E)を職業性皮膚炎とその類症合計14例において2週間から11ヵ月の間, 1日数回使用させ, その効果を観察した。皮膚炎再発防止効果は4例において非常に良好, 7例において良好であり, 両者合計の有効率は79%であつた。とくにまめに長期用いることで良い結果をみることが多く, 1例の職業性ざ瘡と台所洗剤による家婦湿疹では, それぞれ11, 5ヵ月連用して著明な改善をみた。Hair dye(PPDA)に強いアレルギーをもつ美容師皮膚炎ではその再発防止は容易でなく, 将来美容師教育過程の改善や長いビニール手袋などの併用が必要と考えられた。本剤による副作用は1例もみられなかつた。
世界の皮膚科学者
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