西日本皮膚科
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52 巻 , 5 号
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図説
綜説
  • 加藤 泰三, 照井 正, 田上 八朗
    1990 年 52 巻 5 号 p. 881-889
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    膿疱性乾癬や掌蹠膿疱症などにみられる無菌性膿疱は, いずれも角層直下に形成される。また, 肉眼的には膿疱形成のみられない乾癬においても好中球は角層下に集積する。これらの無菌性膿疱症の組織像からは, 病変部に白血球の浸潤を引き起こす走化性因子が存在することが強く示唆される。実際, 病変部角層には補体C5aアナフィラトキシンが存在する。これを含む鱗屑抽出液のフラクションは走化性因子として作用するだけではなく, 好中球の活性酸素の産生を誘導する。また, 正常人の角層にin vitroで血清を作用させると抗角層抗体の存在如何にかかわらず, alternative pathwayを介して補体の活性化が起こり, C5aが産生される。さらに同時にできるC3bにより角層はオプソニン化され, C3bリセプターを介して好中球と反応し, 好中球の化学発光を誘導する。これら一連の過程が無菌性膿疱の形成に深く関与している可能性が考えられる。
症例
  • 師井 洋一, 谷崎 泰象, 小野 まり子, 和田 秀敏, 佐多 竹良, 財津 昭憲
    1990 年 52 巻 5 号 p. 890-895
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    1歳男児, 2歳男児の2例の乳幼児重症熱傷を経験した。症例1は頭部と四肢を除く全身に約60%の深達性II度熱傷を受傷した。Baxter法に準じて初期輸液を行つたが, 受傷30時間後に低血糖発作をきたした。さらに, 敗血症に伴う汎血球減少症とDICにより, 受傷5日目に死亡した。血液培養により検出されたのは大腸菌, 腸球菌などで, 広範囲熱傷および汎血球減少症の状況下において増殖した常在菌による内因性エンドトキシンショックが関与している可能性が示唆され, このことが, 低血糖発作にも関連していると考えられた。症例2は頭部を除く全身に約80%の浅達性II度熱傷を受傷した。初期の熱傷ショック期から第1回の植皮術までは順調な経過を示していたが, 受傷26日に突然, 肺水腫を併発した。原因を検討したところ, 患児が好んで摂取していたりんごジュースにかなりの量のNaが含まれていることや, 味付けのりやカップラーメンなど塩辛いものばかり摂つていたことが判明した。これらの食物や水分の摂取を禁止, 制限したところ, その後は肺水腫を合併することなく経過良好であつた。
  • 田部 陽子, 今山 修平, 堀 嘉昭
    1990 年 52 巻 5 号 p. 896-900
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    浮腫性の腫脹または紅斑を主たる皮膚症状として当科を受診した2例のhypereosinophilic syndromeを経験した。症例1は, 24歳女子で, 両膝関節痛を初発症状とし, ついで手足に持続性の浮腫性腫脹を生じた。症例2は, 59歳女子で, 躯幹, 四肢に強いそう痒を伴う浸潤性浮腫性紅斑を呈した。2例とも, 末梢血における著明な好酸球増多を伴う白血球増多を認めたが, 他臓器障害を示唆する臨床症状や検査異常は認めなかつた。病理組織学的に2例とも浮腫性病変部に, 好酸球の比較的密な浸潤と脱顆粒, その顆粒の膠原線維束周囲への沈着と, それを取り囲むような組織球の浸潤が観察された。
  • 梅林 芳弘, 行木 弘真佐, 斎藤 義雄, 田澤 立之, 岡 裕爾, 高橋 敦
    1990 年 52 巻 5 号 p. 901-905
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    57歳女子。1988年9月原発性マクログロブリン血症, 1989年6月アルコール性肝硬変の診断を受け内科通院中であつた。1989年8月27日, 40℃におよぶ発熱とともに顔面, 四肢に有痛性の浮腫性紅斑が出現し, 一部に水疱を伴つていた。汎血球減少と白血球の核の左方移動, ESR亢進, CRPの上昇を認めた。喀痰, 血液培養で細菌を検出。皮疹は組織学的に真皮の好中球を主体とする細胞浸潤が著明でSweet症候群と診断した。皮疹の消退にはPSL40mg/日を要した。悪性腫瘍に伴うSweet症候群は調べ得た限り現在まで70例(自験例を含む)の報告がある。そのうち55例は造血器系腫瘍との合併であり, 急性骨髄性白血病が26例ともつとも多く, myelodysplastic syndromeが14例とこれに次ぐ。リンパ球系の腫瘍は7例で, そのうち多発性骨髄腫が2例, 原発性マクログロブリン血症との合併の報告は自験例が初めてと思われる。これら悪性腫瘍におけるSweet症候群の発生機序について考察を加えた。
  • 佐久間 満里子, 飯島 茂子, 上野 賢一
    1990 年 52 巻 5 号 p. 906-910
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    小児のlinear IgA bullous dermatosis(LABD)の1例を報告し, 合わせて本邦で報告されたLABDの小児型と成人型の比較検討を行つた。症例は4歳女児。ほぼ全身に小水疱が散発し一部では環状配列を示した。組織学的には表皮下水疱で, 螢光抗体直接法にてIgAの基底膜部のlinearな沈着を認めた。抗基底膜抗体はIgAクラスで10倍であつた。DDSとステロイド剤の併用療法により寛解中である。本邦報告例の統計では, 小児型は7歳以下に好発し, 15∼16歳で成人型と境界された。小児型では粘膜疹が少なく, IgA単独陽性例が多く, 抗基底膜抗体は25%に陽性であつた。治療効果の比較では, 小児型はDDS, ステロイド剤併用療法の有効例が多かつた。
  • 寺師 浩人, 片桐 一元, 藤原 作平, 新海 浤, 市川 弘城, 高安 進, 篠 力
    1990 年 52 巻 5 号 p. 911-916
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    13歳男子。昭和55年4月右頬部に種痘様水疱症様皮疹を生じ, 次第に顔面全体次いで四肢にも拡大し, 昭和62年4月の時点で「血管炎を主体とするリンパ腫様丘疹症」と考えた1例を報告した。皮疹は軽度のそう痒を伴う米粒大から小豆大の皮下硬結に始まり, 増大とともに中心部は潰瘍化し瘢痕を残して治癒し, 出現, 消退を繰り返す。日光との関係は明らかでなく, 紫外線照射でも誘発できず, 時に発熱をみる以外全身症状はない。PPD陰性で, 腹部CTにて軽度肝脾腫大を認める。病理組織所見では, 軽度の異型性を有するリンパ球様細胞からなる比較的密な細胞浸潤を真皮, 皮下に認める。また, 肉芽腫性血管炎の像も認めた。Predonisoloneとcyclophosphamide投与により, 皮疹は改善傾向を示し現在経過観察中である。
  • 河原 謙一, 青山 文代, 上田 恵一
    1990 年 52 巻 5 号 p. 917-922
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    63歳女子。日光露出部の浮腫性紅斑と筋力低下を主訴として受診した。プレドニゾロン60mgの投与で臨床所見の改善をみたが, 20mgに減量後再燃した。プレドニゾロンを増量後も全身症状の悪化を認めたため, パルス療法を行い, 臨床所見の改善をみた。約4ヵ月後50mgに減量し, 再び再燃したため, 再度パルス療法を施行した。浮腫性紅斑は改善したが血小板の低下, 下血, 血尿が続き, 血小板輪血を行つたがDIC状態になり, 腎不全, 肺浮腫により死亡した。経過中の検索, また剖検によつても悪性腫瘍は認められなかつた。
  • 梅林 芳弘, 行木 弘真佐, 斎藤 義雄
    1990 年 52 巻 5 号 p. 923-927
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    15歳男子。高校入学に際し頭髪を短くしたところ, 頭皮の蛇行する幾筋もの皺襞に気付いた。ばち状指趾なし。骨X線で長管骨の骨膜性骨増殖あり。内分泌学的検査では血中テストステロンの軽度低下と尿中E2の軽度上昇, 染色体検査では9番染色体の腕間逆位を認めた。骨の変化を伴つていたことからpachydermoperiostosisの一症状としての頭部脳回転状皮膚(cutis verticis gyrata)と考えた。父親にも同様の染色体異常と血中テストステロンの低下, 骨膜性骨増殖を認めた。本邦pachydermoperiostosisの報告91例では, 自験例のごとく脳回転状皮膚と骨変化を伴い, ばち状指趾を欠く症例はまれであつた。また, 内分泌学的異常, 染色体異常について考察を加えた。
  • 三砂 範幸, 幸田 弘, 渕 曠二
    1990 年 52 巻 5 号 p. 928-932
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    結節型のsebaceous trichofolliculomaの2例を報告した。症例1は81歳男子。左眉毛上部に皮角様の小指頭大結節を認めた。病理組織像では腫瘍巣はおもに真皮内の3個の嚢腫から成り, うち2個の嚢腫からは脂腺を付着した細胞索が放射状に伸びていた。症例2は71歳男子。鼻根部右縁に中心臍窩を有する豌豆大結節を認めた。病理組織像では表皮と連続した角質洞を認め, そこから脂腺を付着した細胞索が伸びており脂腺小葉が角質洞をとり囲んでいた。結節型sebaceous trichofolliculomaは, Plewigの原著のものとは臨床像のみではなく組織の分化方向において基本的に異なるものと考えられた。また, senile sebaceous hyperplasiaとも区別すべき独立疾患であり, nevoid sebaceous hyperplasiaと呼ぶことを提唱した。
  • 麻生 和雄, 吉川 賢一, 穂積 豊, 安齋 真一
    1990 年 52 巻 5 号 p. 933-941
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    72歳女子, 足背に生じ, 鼠径部リンパ節転移の認められたeccrine porocarcinoma(EPC)の一症例を経験した。腫瘤は悪性黒色腫, 色素性基底細胞癌を思わせる黒色調, 26×27mm, 中心部潰瘍化腫瘤で, 病理組織学的に原発巣ならびに転移巣に, 腫瘍細胞とまじつて多数のpigment blockadeメラノサイトの存在をみた。腫瘍をpigmented EPCとして報告, 文献的考察を行つた。本邦EPC66症例中腫瘍巣にメラノサイトの存在の認められた数例の記載があるが, 自験例のように転移巣までsymbioticにメラノサイトの増殖がみられた症例は内外に記載がない。
  • 辛島 正志, 熊野 修治, 津田 眞五, 笹井 陽一郎
    1990 年 52 巻 5 号 p. 942-945
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    82歳女子の恥丘部に生じた有茎性の特異な臨床像を呈したbasal cell epithelioma(BCE)の1例を報告した。病理組織型はPinkus型であつた。外陰部に生じたBCEは, 久留米大学皮膚科において過去14年間の239例中わずかに3例のみであつた。
  • 前川 嘉洋, 中村 佳代子, 野上 玲子
    1990 年 52 巻 5 号 p. 946-948
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    44歳女子のMerkel cell tumorの1例について, 組織学的ならびに免疫組織学的検索と共に文献的考察を行い報告した。自験例は初診2ヵ月前より左頬部に生じた小指頭大の弾性軟の皮下腫瘤を主訴に来院した。組織学的には腫瘍巣は表皮との連続はみられず, 真皮上層から皮下組織にかけて, 巣状かつ索状構造を示す。腫瘍細胞は円形ないし楕円形の大型の核を有し, クロマチンに富む一方, 核小体も明瞭に観察され, 核分裂像も多数みられた。免疫組織学的には腫瘍細胞はABC法にてneuron specific enolaseは陽性, S-100蛋白は陰性であつた。これらの所見から本症例をMerkel cell tumorと診断した。5年経過した現在, 局所再発および所属リンパ節への転移はみられない。
  • 西岡 和恵, 山田 健一, 倉田 佳子, 松谷 紫, 麻上 千鳥, 末冨 淑子
    1990 年 52 巻 5 号 p. 949-953
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    粉末塗料原料であるTGICの製造工場で作業をした3例(26歳, 38歳および40歳の男子)において, 顔面, 両手にそう痒性紅色皮疹を生じた。職業性接触皮膚炎を疑い貼布試験を行つたところ, 2, 1, 0.5, 0.1%TGIC(ワセリン基剤)に対し陽性反応を示した。健常人対照10例で行つた同濃度の貼布試験はすべて陰性であつた。以上よりTGICによるアレルギー性接触皮膚炎と診断した。いずれの例もTGICとの接触を避けた後, 1∼15ヵ月にわたり皮疹が持続し, その後に消退した点が特徴的であつた。TGICはエピクロヒドリンとイソシアヌール酸から製造されるエポキシ化合物の1種であるが, エポキシレジンとは交差反応性を示さなかつた。さらに本剤の抗腫瘍剤としての応用の報告がみられ, 注意を要すると考えた。
  • 飯島 茂子, 佐久間 満里子, 上野 賢一
    1990 年 52 巻 5 号 p. 954-959
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    30歳男子のHPV-2型による多発性疣贅症の1例を報告した。免疫学的に軽度の細胞性免疫能の低下を認めた。DNCB塗布療法(0.1%, 週1回)を試み, 3回目より扁平化し, 現在20回塗布中であるが良好に反応している。DNCB-アセント液, DNCB-親水軟膏の基剤による効果の差は認めなかつた。本例以外の足底疣贅20例に本療法を試み, 65%の治癒率を得た。液体窒素法に比べ疼痛がなく, 平均治癒回数は8回であつた。本療法は, 難治性疣贅に対しては試みるべき価値のある治療法と考えた。
研究
  • 高橋 雅弘, 西 隆久, 幸田 弘, 工藤 祥, 金子 邦之, 松尾 義朋, 高橋 澄子, 岸川 高
    1990 年 52 巻 5 号 p. 960-966
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    MRI(magnetic resonace imaging)による画像診断法が, 皮膚腫瘍の術前診断法として非常に有用であつた3例の脈管系腫瘍を報告した。MRIによる画像は, その軟部各組織に対する優れたコントラストにより, 皮膚腫瘍の病変範囲の把握において有効な診断法である。
  • 西原 修美, 妹尾 明美, 稲垣 安紀, 植木 宏明
    1990 年 52 巻 5 号 p. 967-972
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    68歳男子の頭部に発症したangiosarcomaを電子線およびペプロマイシンで治療しその軽快過程をサーモグラフィー上の高温部の面積の縮小として観察することができた。また臨床異常所見を伴わない時点での転移部をサーモグラフィー上の高温部として早くから認め試験切除および剖検にて確認した。Angiosarcomaにおいては試験切除や局注は転移を促す危険因子と考えられ, さらにその都度患者の苦痛がともなうが, angiosarcomaにおいてサーモグラフィーは病巣範囲や転移部決定のための試験切除の代わりをなすものとして大変有用であると考えた。
  • 戸田 則之, 中西 秀樹, 橋本 一郎
    1990 年 52 巻 5 号 p. 973-980
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    血管新生におよぼすコルチコステロイド(以下ステロイドと略記)の影響を, rabbit ear chamber(REC)をもちいた生体顕微鏡法にて検討した。ステロイド投与群は, 対照群に比して, REC内の(1)sprout発現に要するまでの日数がより長く, fibrin netの層が少なくて, 血管成長速度がきわめて遅かつた。また(2)血管増殖期においては, 新生血管数が相対的に少なく, (3)血管網は疎略で, 完成時期の遅延が目立つなどの差違を認めた。すなわち, ステロイドの血管新生および成長抑制を実証し, これが創傷治癒を遅延させる要因と推察した。しかし, RECが完成されると, ステロイド投与群と対照群間に血管径, 血流速度, vasomotion(血管運動)などであきらかな差を認めず, ステロイド投与は新生微小循環動態には影響しないと考えた。
  • 幸野 健, 古川 雅祥, 谷井 司, 小林 裕美, 水野 信之, 谷口 彰治, 石井 正光, 濱田 稔夫
    1990 年 52 巻 5 号 p. 981-985
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    腫瘍間質と腫瘍細胞との相互作用をin vitroで研究する目的の第一歩として, B16メラノーマ細胞をI型コラーゲン·ゲル上およびゲル内で培養し, その形態, 増殖, チロジナーゼ活性, メラニン産生量について検討し, 通常のプラスチック上で培養した場合と比較した。ゲル内での細胞の形態は, プラスチック上に比べて, より細長く樹枝状となつた。増殖は, ゲル上およびゲル内ともに著明に抑制され, 培養7日後の細胞数は, プラスチック上と比較して, それぞれ約15%と10%となつた。チロジナーゼ活性は, ゲル上およびゲル内では促進され, プラスチック上での場合に比べて約3倍に増加した。それにともなつて, メラニン合成量もゲル上およびゲル内では, 約2倍にまで増加した。したがつて, 今回の結果よりコラーゲンとメラノーマ細胞との相互作用の存在が示唆された。
  • 幸野 健, 谷井 司, 古川 雅祥, 水野 信之, 谷口 彰治, 石井 正光, 濱田 稔夫, 吉里 勝利
    1990 年 52 巻 5 号 p. 986-992
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    I型コラーゲン·ゲル上およびゲル内でヒト真皮線維芽細胞を培養し(再構成真皮モデル), その増殖を検討するとともに, propidium iodideによるDNA染色と, S期細胞に取り込ませたbromodeoxyuridineに対するFITC標識モノクローナル抗体を使つたtwo color flow cytometryを用いて, 線維芽細胞の細胞周期上の位相分布分析を行つた。通常のプラスチック上での培養に比べて, ゲル上では線維芽細胞の増殖は抑制され, 10日目に約50%の飽和密度で増殖を停止した。ゲル内では, さらに抑制され, 4∼7日以内にほぼ増殖を停止した。培養後5日目では, プラスチック上での培養に比べて, ゲル上においてはS期細胞は49.3%に減少し, G0G1期細胞は79.8%の増加を見た。一方, ゲル内では, S期細胞は非常に少数で(総細胞数の4.3%), 大多数はG0G1期に蓄積した。したがつて, コラーゲンとの相互作用により大多数の線維芽細胞は, G0G1期で停止することが示された。以上より, コラーゲン·ゲルを用いた再構成真皮モデルは, 増殖度と細胞周期位相分布の面からも生体真皮に近いことが示された。
  • 島本 順子, 島本 博幸, 中村 英雄
    1990 年 52 巻 5 号 p. 993-1000
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    老年者入院患者128例(年齢80.4±8.2歳, 男31例, 女97例)を対象として, 5指ならびに5趾の爪成長速度を1ヵ月に1回, 1年間にわたつて計測した。1年間の平均爪成長順位はIII, II, IV, I, V指ないしI, III, II, IV, V趾の順であつた。1ヵ月毎の5指ないし5趾平均成長速度を最小自乗スペクトル法を用いて1年周期の余弦曲線に当てはめ, mesor, amplitude, acrophaseを算出した。全身状態が爪成長速度概年リズムにおよぼす影響について検討するために, 目的変数としてmesor, amplitude, 説明変数として年齢, 性別, 血中free T4濃度, 血中free T3濃度, 痴呆の程度, 寝たきりの有無, 血清albumin濃度, 血中hemoglobin濃度を用いて重回帰分析を施行した。指爪成長速度において, 年間平均爪成長速度であるmesorは痴呆の重症化および加齢に伴つて低値となり, 血中free T3濃度と正相関を示した。指爪成長速度の年差の1/2であるamplitudeは, 女子では男子に比して小であり, 血清albumin濃度と正相関し, 加齢と共に減少した。趾爪成長速度においてはamplitudeのみが加齢と共に減少した。指爪, 趾爪共に6, 7, 8月の夏季に成長が著明であつた。
  • 堀内 保宏, 音山 和宣
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1001-1004
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    肥満に伴つたacanthosis nigricans(AN)の4例につき糖尿病に伴つたANの1例, インシュリンリセプター異常症A型に伴つたANの1例, ANを伴わない肥満2例との臨床データの比較検討を行つた。75gOGTTでは肥満に伴つたANの2例と糖尿病に伴つたANの1例と皮膚病変のない肥満のみの1例にインシュリン値が軽度高値に推移するインシュリンの過剰反応がみられた。インシュリン抗体, インシュリンリセプター抗体には4つの群とも異常はなかつた。肥満に伴つたANの1例とインシュリンリセプター異常症の1例との2例を除き肝エコーにて脂肪肝が認められた。糖尿病に伴つたAN, インシュリンリセプター異常症に伴つたANと肥満のみの2例に尿中17-OHCS, 17-KSの軽度高値が見られたが, 肥満に伴つたANの3例ではこれらの値は正常であつた。これらの臨床検討によつては肥満に伴つたANに特異的な異常は見いだせなかつた。
講座
治療
  • KP-363研究班
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1012-1024
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    Butenafine hydrochloride(KP-363)1%クリーム剤1日1回塗布療法の足白癬, 股部白癬, 体部白癬, 間擦疹型皮膚カンジダ症および癜風に対する有効性, 安全性および有用性を検討するため, 全国31施設からなる共同研究班を組織し, bifonazole 1%クリーム剤を対照薬としたwell-controlled comparative studyを実施した。その成績によると, 足白癬では皮膚所見の最終総合判定においてKP-363 1%クリーム剤は, bifonazole 1%クリーム剤よりも有意に優れていた。癜風では, 治療開始1週目に皮膚所見の総合判定および総合効果において, KP-363 1%クリーム剤はbifonazole 1%クリーム剤よりも有意に優れていた。股部白癬, 体部白癬および間擦疹型皮膚カンジダ症では両薬剤の成績に有意差は認められなかつた。最終総合効果および有用性判定では, いずれの疾患においても両薬剤間に有意差はなかつた。副作用発現率は, KP-363 1%クリーム剤で2.0%(6/299), bifonazole 1%クリーム剤で4.0%(12/301)で, 両薬剤間に有意差はなかつた。治療前後に実施した臨床検査では, 試験薬剤によると考えられる異常は両薬剤のいずれにも認められなかつた。以上の成績から, KP-363 1%クリーム剤はbifonazole 1%クリーム剤と同等の効果と安全性を有し, 有用な薬剤と評価された。
  • DT-5621九州地区研究班
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1025-1031
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    Dibutyryl cyclic AMP(DBcAMP)を3%含むマクロゴール基剤の軟膏であるDT-5621は, 血管拡張作用および血管内皮細胞増殖促進作用などに基づき褥瘡あるいは難治性の皮膚潰瘍の治療に有用であるとされている。そこで, これら皮膚潰瘍に対するDT-5621の有効性を自然治癒経過の影響を最小限にして評価するため, 投与開始前に観察期をおいて検討した。その結果
    (1)DT-5621は観察期に全く縮小傾向を示さなかつた褥瘡, 皮膚潰瘍に早期より高い有効性を示した。
    (2)115例中副作用を示した症例は1例もなかつた。
    これらのことより, DT-5621は皮膚の慢性·難治性の皮膚潰瘍および褥瘡の治療に有効性が高く, 安全な薬剤であると考えた。
  • 古井 良彦, 山本 俊幸
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1032-1039
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    種々の脱毛症患者に0.4% mexiletine hydrochloride液を外用し, その有用性について検討した。11例の円形脱毛症(うち単発型4例, 多発型3例, 全頭型1例, 汎発型1例, ophiasis型2例), および2例の男性型脱毛症について使用した結果, 前者では無効例3例をのぞく8例(73%), 後者では全例に何らかの効果がみられた。本法は脱毛症治療の一方法として有用であると考える。
  • 幸田 衞, 小野 雅史, 植木 宏明
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1040-1045
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    抗血小板作用と血管拡張作用を有するシロスタゾール(プレタール®)を, 各種疾患の皮膚小動脈障害に起因する様々な皮膚病変に使用した。症例は慢性関節リウマチ, リベドー血管炎, 動脈硬化症, 全身性鞏皮症などで, 四肢の皮膚潰瘍, リベドー症状, 冷感, しびれ感などを生じていた。冷感やしびれ感などの自覚症状は, 投薬開始後速やかに軽減した。リベドー症状や皮膚潰瘍にも有効であつたが, 慢性化した潰瘍の修復には長期間を要した。1年以上投薬し経過観察したが, 軽度の頭痛以外は顕著な副作用はなく, 出血時間は正常範囲内であつた。本薬剤は上記症状の治療に期待が持てる薬剤で, 慢性血行不全から血栓のような状態に陥いるのを防ぐのに役立つ, という印象を持つた。
  • 竹松 英明, 田上 八朗
    1990 年 52 巻 5 号 p. 1046-1050
    発行日: 1990/10/01
    公開日: 2011/10/06
    ジャーナル 認証あり
    10例の中等症または重症の乾癬患者にシクロスポリンを24週間以上, 平均40週間投与し, 有効性および安全性を検討した。尋常性乾癬の6例中5例, 膿疱性乾癬の3例中2例が, 投与終了時に皮疹が改善した。紅皮症性乾癬の1例でも投与終了時に皮疹が著明に改善した。全例に副作用を認めなかつた。シクロスポリンは, 中等症または重症の乾癬に対して24週間以上の長期投与において有効かつ安全であつたことから, 乾癬の治療薬としてきわめて有用であると考えられる。
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