先天性難聴児を発見するために, 太田総合病院で出生した新生児に対して, 新生児用の自動聴性脳幹反応装置 (商品名natus ALGO 2) を用い, Automated Auditory Brainstem Responseによる聴覚スクリーニングを行った。対象は平成11年2月から, 平成13年1月までの2年間に当院で出生した新生児1,525例のうち, あらかじめ検査内容について説明し, 保護者から承諾を得て行った1,321例 (86.6%) である。児の平均体重は3,047.5g, 在胎日数は274.6日である。
検査は同意を得られた例に行い, REFER (要検査) あるいは啼泣のため検査中止となった例に対し, 後日再検査を行った。そして再度REFERとなった場合, 小児科医および耳鼻咽喉科医が診察を行い, 精密検査が必要と思われる例に対して, 高次機能病院の耳鼻咽喉科等の専門機関へ紹介し確定診断を行った。
測定結果では1回目の検査では1,300例がPASS (合格), 21例 (全体の1.6%) がREFERとなり, 最終的に1,318例がPASS, 3例 (全体の0.2%) がREFERとなった。最終的にREFERとなった3症例は後日精査にて, いずれも中等度から高度難聴を認めた。また初回PASS群と, REFER群とのパラメーターの比較では家族に難聴疾患があるかについて, PASS群では0.4%, REFER群では14.3%と明らかな差を認めた。その他の年齢, 体重, 在胎日数等では有意差は認められなかった。
Automated Auditory Brainstem Responseを用いた新生児聴力検査は, 先天性難聴児の早期発見のスクリーニングとして有用であることがわかったが, スクリーニングで異常が認められた場合, 耳鼻咽喉科医, 小児科医等の連携が必要であり, また本スクリーニングを行うにあたっては, 難聴児の養育プログラムの確立が重要と思われた。
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