耳鼻咽喉科展望
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38 巻 , Supplement3 号
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  • 富谷 義徳, 中島 庸也, 森山 寛
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 183-188
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    内視鏡下鼻内手術を施行した患者11例15側の術中の上顎洞内細菌を検討した。このうち7例10側では術後の上顎洞内細菌をも検討した。その結果術中に検出された菌が術後も検出され, 副鼻腔炎の起因菌が粘膜病変の改善とともに上顎洞内に常在菌化して存在していく可能性が示唆された。また術中菌の検出が認められなかった8側のうち, 術後に上顎洞細菌培養を施行し得た6側中5側では術後2ヵ月以内に上顎洞内に菌の存在が確認され, 手術にて開放した上顎洞膜様部から鼻腔内の細菌が上顎洞内に侵入し, 常在菌化して定着していく可能性も考えられた。今回の検討では術後RXMの内服を2ヵ月以上継続したが, 検出菌に対するMICは上昇する傾向にあり急性増悪時には注意する必要があるものと考えた。
  • 秋田 茂樹, 小川 晴子, 水田 啓介, 伊藤 八次, 鈴木 智雄, 宮田 英雄
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 189-194
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎8例に対しロキシスロマイシン300mg/日を1ヵ月間投与し臨床的効果を検討した。別に5例に対し本剤150mgを経口投与し, 血清と上顎洞粘膜への移行濃度を測定した。
    1. 自覚症状の有効率は63%, 他覚所見は50%であった。
    2. 鼻単純X線所見の改善以上の改善率は40%であった。
    3. 細菌学的検査では5例中3例が菌消失, 2例が菌交代を示した。
    4. 血清と上顎洞粘膜への移行濃度は各々3.07μg/ml, 1.51μg/gと良好であった。
  • 南 豊彦, 久保 伸夫, 熊沢 博文, 山下 敏夫
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 195-201
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎中等度から高度病変患者を対象にX線的上顎洞粘膜排泄機能検査 (X-MFT) を用いて, ルリッド少量長期投与に対する評価を行った。対象は当科で加療を行っている慢性副鼻腔炎患者21例である。ルリッドは150mg/日を3ヵ月以上投与した。自覚症状と他覚所見を合わせた臨床効果は80%となった。上顎洞の排泄機能著効例では83%, 有効例では70%に排泄良好となった。また, 上顎洞影像型は46%がびまん型 (正常型) に改善した。
    この事よりルリッド少量長期投与は上顎洞内所見の改善に有効であることが証明された。
  • 鈴木 栄一, 松生 愛彦, 上野 則之, 服部 康夫
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 202-208
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    成人の慢性副鼻腔炎急1生増悪症12症例にロキシスロマ・イシン (150-300mg/日) と荊芥蓮翹湯 (7.5g/日) を4週から11週間投与した。治療効果をCTにより判定した。
    臨床経過は10症例が著効, 2症例が有効であった。著効10症例では, 自覚症状の消失はもちろん, CT上, 上顎洞飾骨洞の均一な陰影, 粘膜肥厚, 液面形成などの病的所見の消失を見た。有効2症例では, 自覚症状の改善をみたのみで, CT上では変化がなかった。
    本療法により, 治療期間の著明な短縮と根治的治療効果が得られた。
  • 後鼻漏と喉頭膿汁貯留所見の関係
    堀 洋二, 小池 靖夫, 石田 達也, 石谷 保夫, 田村 公一, 武田 直也, 嶋田 高明, 阿部 鼻治
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 209-213
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎の治療評価は, 主として鼻に関する自覚症状や他覚所見に基づいて行われている6しかし, 後鼻漏がもたらす咽喉頭異常感については, 今までほとんど注目されていない。著者らは, 慢性副鼻腔炎の治療過程において, 副鼻腔炎がもたらす後鼻漏と喉頭膿汁貯留所見を客観的に観察し, 咽喉頭異常感との関係を検討した。その結果, 後鼻漏と喉頭膿汁貯留には密接な関係があり, 副鼻腔炎患者の取扱いに際しては鼻だけでなく, 咽喉頭の自覚症状及び他覚所見にも留意することが重要と考えられた。
  • 間宮 紳一郎, 高木 一平, 羽柴 基之, 馬場 駿吉, 西村 穣
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 214-219
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    現在各種の気道系慢性炎症性疾患に対するマクロライド系抗生物質の効果が確認されており, 当科領域においても慢性副鼻腔炎に対してマクロライド系の抗生剤が著効を示す症例が多く見られているが, その作用機序については未だ不明な点が多い。今回我々はロキシスロマイシン (RXM) をハートレイ系オスのモルモットに長期間経口投与し, その好中球機能に対する作用を好中球遊走能, 活性酸素産生能を指標として検討した。RXMは2週間投与から好中球遊走を有意に抑制し, 活性酸素産生能についても有意ではなかったが抑制傾向を示した。さらにRXMの好中球に対する直接作用を検討したところ, RXMを含む反応液中ではモルモット好中球機能は抑制される傾向を示した。これらの結果より, RXMによる慢性副鼻腔炎の改善には好中球機能抑制作用も役立っている可能性が示唆された。
  • 森 繁人, 斎藤 等, 木村 有一, 高橋 昇, 山田 武千代
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 220-227
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    エリスロマイシンをはじめとするマクロライド系抗生剤が慢性副鼻腔炎に対して有効であることが報告されており, 抗菌作用以外の作用が示唆されているが, なお不明な点が多く残されている。
    今回われわれは, マクロライド系抗生剤の有効機序の一端を明らかにする目的で, 14員環のエリスロマイシン (EM), ロキシスロマイシン (RXM) および16員環のアセチルスピラマイシン (SPM) を, 培養鼻副鼻腔粘膜に作用させ, 繊毛運動に与える影響を電気光学的に検討した。
    その結果EMでは内服の際の組織移行濃度である0.002%(2.0×101mg/L) 以上で充進を認めた。0.05%(5.0×102mg/L) 以上の高濃度になると, はじめ亢進し, やがて障害されるという二面性を呈した。RXMでも組織移行濃度の0.0005%(5.0mg/L) 以上で作用直後から充進が認められ, EMよりも長時間賦活状態が持続する傾向を認めたが, 0.005%(5.0×101mg/L) になると充進傾向は減弱した。SPMではほとんど充進作用を認めなかった。
    以上の結果から, マクロライド系抗生剤の慢性副鼻腔炎に対する作用機序の一つとして, 繊毛運動賦活作用が想定された。また14員環マクロライドは16員環マクロライドよりも, RXMはEMよりも優れた繊毛運動活性化作用を有していると考えられた。
  • 池田 勝久, 呉 大正, 高坂 知節
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 228-231
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マクロライド系抗生剤は気道上皮からの分泌を抑制することが知られており, 慢性副鼻腔炎においても鼻汁の抑制作用が最も顕著な効果であると報告されている。鼻腺腺房細胞のアセチルコリン (ACh) 刺激による細胞内Ca2+濃度, 膜のイオン電流の変化に対するジョサマイシン, エリスロマイシン, ロキシスロマイシンの影響を検討した。これら3者の薬剤はAChによる細胞内Ca2+濃度の増加に影響を及ぼさなかった。エリスロマイシン, ロキシスロマイシンはCl-電流の増加に対して有意な抑制作用を示した。一方, ジョサマイシンにはその抑制作用は認めなかった。以上より, 14員環のマクロライド系抗生剤は鼻腺腺房細胞のCl-チャネルの活性化を阻害することが判明し, 鼻汁分泌抑制作用に関与していると考えられる。
  • 白崎 英明, 朝倉 光司, 成田 慎一郎, 形浦 昭克
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 232-237
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎におけるアレルギーの関与を明らかにする目的で, 卵白アルブミン感作鼻アレルギーモルモットを用い検討した。全身および局所感作を行った群では, 8匹中7匹 (87.5%) に単核球と上皮脱落細胞を主体とする主に粘液性, 粘膿性の副鼻腔貯留液が認められたが, 各コントロール群では, 5匹中1-2匹 (20-40%) に単核球と好中球を主体とする主に膿性の貯留液が認められた。組織学的には, 全身および局所感作を行った群では, 鼻腔側のみに上皮内, 上皮下への著明な好酸球の浸潤が認められたが, 副鼻腔側では, 軽度の単核球の浸潤を認めた。胚細胞数増加も鼻腔側においてのみ認められた。以上の副鼻腔での炎症性, アレルギー性変化が少ないという結果より, 今回の鼻アレルギーモルモットに合併する副鼻腔炎は, 自然孔の閉塞により生じている可能性が示唆された。
  • 綿谷 秀弥, 鈴木 秀明, 池田 勝久, 下村 明, 中林 成一郎, 稲村 直樹, 佐藤 三吉, 小原 由紀子, 高坂 知節
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 238-243
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎患者の鼻汁中には好中球の著しい浸潤が見られる。長い間炎症の最終産物として顧みられなかった好中球も最近IL-8をはじめとするサイトカインを産生することが明らかになり, IL-8が強力な好中球遊走因子であることを考え合わせると, IL-8が鼻汁中の好中球浸潤に大きな役割を有していると考えられる。そこで我々は慢性副鼻腔炎患者の鼻汁スメア細胞と鼻粘膜におけるIL-8の発現を免疫組織学的に検討した。その結果, 鼻汁中の細胞と鼻粘膜の鼻腺細胞などの上皮系細胞にIL-8の発現が見られ, IL-8が慢性副鼻腔炎病態において好中球の鼻汁中への浸潤にきわめて重要な役割を有していることが示唆された。
  • 扁桃およびアデノイドにおける免疫担当細胞の変化
    保富 宗城, 藤原 啓次, 松山 秀明, 横山 道明, 林 泰弘, 九鬼 清典, 山中 昇
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 244-250
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎患者の口蓋扁桃, 咽頭扁桃における免疫担当細胞の分布を画像解析にて定量的に解析した。慢性副鼻腔炎例ではIgM陽性細胞やCD4陽性細胞の増加が認められ活発な免疫応答が推測されるとともに, 口蓋扁桃, 咽頭扁桃が鼻腔および口腔から侵入する外来抗原に直接接するリンパ組織として上気道の防御機能を担い, 免疫担当細胞の供給源なる可能性が示唆された。また同時に, IgD陽性細胞の増加, secretory componentの低下も認められ, 免疫抑制の状態も示唆され, 炎症の遷延化をもたらす要因と考えられた。上気道の慢性感染症は, 感染因子と上気道免疫のバランスにより発症すると考えられ, 上気道粘膜免疫は, 副鼻腔炎をはじめとする慢性感染症の病態に深く関与しているといえる。
  • 平野 浩二, 池田 勝久, 下村 明, 大島 猛史, 近藤 芳史, 高坂 知節
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 251-257
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎に対しニューマクロライド系抗生剤を2~3ヵ月間投与し, 自覚症状残存の有無を調べ, またostiomeatal unit (OM unit) の閉塞の状態とポリープの大きさがその治療効果にどう影響を与えているかを比較検討した。その結果最終自覚症状残存率は38.4%であり, 治療無効例はOM unitが完全閉塞している例に多く, OM unitの高度閉塞症例の中では中鼻道ポリープのより大きい例に無効例が多い傾向にあった。
  • 最近の動向
    鈴木 賢二, 宮本 直哉, 馬場 駿吉, 杉山 和子, 西山 泰暢, 小林 武弘
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 258-262
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    1989年1月より1993年12月までに経験した副鼻腔炎患者よりの検出菌の動向および菌量につき検討した。その結果, 成人の慢性副鼻腔炎では, S. anms, CNS (Coagulase negative Staphylococci), S. pnenmoniae, Corynebacterium spp., H. inftnenzae, M. catorrhalis等がしばしば検出され, P. aemginosa, 嫌気性菌がそれぞれ平均2.4%および5.3%検出された。また5.8%の症例では菌が検出されなかった。検出菌の年次変化をみると近年検出方法の改良により嫌気性菌の検出率が高くなっている。その他の菌種には大きな変化はないといえよう。また検出菌の菌量を測定してその起炎性につき検討し, P. aemginosa, S. Pnenmoniae, H. inftmnm, S. anms等は起炎菌としての意義が大きく, CNS (Coagulase negative Staphylococci), Corynebacterinm spp., Neisseria spp.等はその意義が小さいことが判明した。
  • 高崎 賢治, 弦本 日芳, 吉見 龍一郎, 高村 博光, 隈上 秀伯
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 263-268
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    鼻茸組織と鼻アレルギー症例の下甲介粘膜におけるαβ型と, γδ型の2種類のTリンパ球サブセット, CD4陽性細胞, CD8陽性細胞, γδT細胞の分布を検討した。また, 鼻アレルギー症例の下甲介粘膜における“memory”T細胞にっいて検討した。
    鼻茸組織内のγδT細胞は粘膜上皮層, 固有層に散在して認められた。下甲介粘膜と比較すると全細胞に占めるγδT細胞の割合は下甲介粘膜では, 粘膜上皮層, 固有層浅層, 腺周囲, 固有層深層となるにつれ減少するのに対し, 鼻茸組織ではほぼ一様に分布していた。
    鼻茸組織内のCD4陽性細胞, CD8陽性細胞は, 鼻茸組織の粘膜上皮層, 粘膜固有層に散在して認められた。CD4陽性細胞とCD8陽性細胞を比較するとCD4陽性細胞が優位に浸潤していた。
    鼻アレルギー症例の下甲介粘膜におけるCD4陽性細胞は, CD4陽性CD45RO陽性細胞の“memory”T細胞であることが確認できた。
  • 飯野 ゆき子, 宮澤 哲夫
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 269-273
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マクロライド療法の慢性副鼻腔炎に対する有効性とその作用機序をさぐる目的で, マクロライド療法を施行した慢性副鼻腔炎症例の副鼻腔粘膜および鼻茸を免疫組織学的に検討した。検討したのは, 免疫グロブリンとしてlgA, IgE, IgG, IgMと,細胞表層抗原マーカーであるCD4, CD8, CD23である。その結果, マクロライド療法後には,副鼻腔粘膜上皮下のIgA陽性細胞が減少するものの, IgE陽性細胞数には変化が見られず, とくに無効群でIgE陽性細胞優位であった。またマクロライド療法後にはCD4+に比べ, CD8+細胞優位となり過剰な炎症反応の正常化が推測された。以上から, マクロライド系薬剤はI型アレルギー以外の炎症反応を抑制する可能性が考えられた。
  • サイトカインの発現と病態への関与
    更級 則夫, 岡本 美孝, 伊藤 永子, 松崎 全成, 戸川 清
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 274-284
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎の病態の解明を目的とし, 慢性副鼻腔炎上顎洞粘膜における種々のサイトカイン,細胞接着分子の発現と病態へ関与, その一機序とされる鼻粘膜上皮線毛運動に及ぼす影響,さらにNitric Oxide (NO) の発現にっき免疫学的検討を行い, 以下の結果を得た。
    1) 炎症性性格の強いIL-6, IL-8, TNF-αは検討した全症例に, IL-1α, IL-1βは急性増悪期の症例にその遺伝子発現を認めた。
    2) IL-5, IFN-γなど, T細胞由来のサイトカイン遺伝子発現も高率に認められ, 組織学的にも活性化Tリンパ球の存在が多数認められた。
    3) ICAM-1, VCAM-1, ELAM-1などの細胞接着分子の遺伝子発現も高率に認められた。
    4) 炎症性サイトカインが鼻粘膜線毛運動に障害性に働く可能性が示唆された。
    5) inducible Nitric Oxide Synthase (iNOS) の発現が,遺伝子および蛋白として認められ, NOの病態への関与が示唆された。
  • 吉次 政彦, 花牟礼 豊, 王 振海, 上野 員義, 大山 勝
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 285-289
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    マクロライド (ロキシスロマイシン, エリスロマイシン) の繊毛と分泌細胞への効果について, ヒト鼻茸由来の培養繊毛細胞の繊毛数の測定と慢性副鼻腔炎患者の鼻腔粘膜のレクチン染色を用い研究した。10-7から10-5Mのロキシスロマイシン, エリスロマイシンともに, 各濃度20分間の観察では, 繊毛打数への有意な変化は認めなかった。レクチン染色の結果, 慢性副鼻腔炎患者の鼻粘膜の上皮下分泌腺はシアル酸とフコースが減少した異常複合糖質を含んでいたが, マクロライド投与にてシアル酸とフコースが再現した。これらの結果よりマクロライド療法は分泌細胞のムチン型糖蛋白の糖鎖構造を正常化する可能性を示唆した。
  • 吉田 和秀, 渡辺 徳武, 分藤 準一, 茂木 五郎
    1995 年 38 巻 Supplement3 号 p. 290-297
    発行日: 1995/08/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎におけるroxithromycin (RXM) の薬理効果を明らかにすべく, RXM投与前後の鼻分泌液中サイトカイン濃度の変動を検討した。RXM 300mg/日を慢性副鼻腔炎患者30例に4週間投与し, 自覚症状・他覚所見およびレ線学的改善度と共に, 鼻分泌液中IL-1β, IL-2, IL-4, IL-6, IL-8及びTNF-α濃度を酵素抗体法により検討した。RXM投与による有効以上の全般改善度は,自覚症状80%, 他覚所見43%で, 臨床的な総合改善度は63%であった。レ線学的な改善度は20%と, 臨床的総合改善度よりも低かった。慢性副鼻腔炎患者の鼻分泌液中IL-1β, IL-6, IL-8及びTNF-αは鼻アレルギー及び対照に比して有意に高値であった(p<0.05)。RXM投与により鼻泌液中IL-1β及びIL-8濃度は有意に低下し (p>0.05), これら低下は自覚症状・他覚所見・レ線学的改善などの臨床的な改善度が良好なものほど有意であった。鼻分泌液中のこれら炎症性サイトカインは慢性副鼻腔炎の病態形成に関与すると推測されるが, RXMは慢性副鼻腔炎におけるサイトカイン・ネットワークの異常是正に作用すると考えられる。
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