耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
34 巻 , 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 島田 和哉
    1991 年 34 巻 5 号 p. 507-520
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耳, 鼻, 咽喉頭の器官は骨, 軟骨にかこまれているために耳鼻咽喉科領域では骨学の研究が重要である。硬組織の特徴の一つはハイドロオキシアバタイトの沈着によって石灰化しているので硬組織の実験方法は軟組織とは異なっている。
    病的脱灰の原因は軟部組織の炎症, チステ, 腫瘍性疾患が周囲の骨に拡がることによる。私共は特別な方法によって慢性中耳炎, 尿毒症, 鼻副鼻腔のチステ, 癌の患者の骨より種々な生体反応を観察出来た。脱灰, 類骨, 石灰化前線等の観察には非脱灰標本を用いなくてはならない。
    実験的にはビタミンA過剰投与やコントロールのラットから採取したOticcapsule, 怪骨, 大腿骨を用いたこの研究の実験方法はオートラジオグラフィー, コルヒチン, 組織化学, ラジオマイクログラフィー, X線微少分析等である。
    本文では各実験方法について述べ, その結果について検討した。耳鼻咽喉科における基礎的研究と臨床では組織学的研究の目的が異なるので, 硬組織においてその目的を達成するために利用すべき方法について解説した。
  • 森山 寛, 小島 博己, 野原 修, 宮野 龍太
    1991 年 34 巻 5 号 p. 521-526
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    どのような病変によりアブミ骨とくに上部構造の消失が惹起されるのか。われわれの過去の手術症例よりアブミ骨の状態 (小頭や脚の部分消失, 上部構造の全消失など), 骨導聴力などについて検討してみた。対象とした症例は1978年から1989年までのあいだに手術を施行 (16歳以上の初回手術例) した弛緩部型真珠腫 (鼓膜緊張部に穿孔や癒着などのない例) 75耳, 緊張部型真珠腫34耳, 前真珠腫 (緊張部型真珠腫と癒着性中耳炎の中間型) 20耳, 癒着性中耳炎48耳, 単純性穿孔性中耳炎266耳である。アブミ骨の破壊は緊張部型真珠腫に多く見られ (73.5%), ついで前真珠腫 (60%), また癒着性中耳炎 (39.7%) に多く見られる。一方, 弛緩部型真珠腫では原則的には中鼓室への上皮進展例は少ないのでアブミ骨の破壊は少ない (17.3%)。またアブミ骨の破壊と罹病期間との間に関係は認められなかった。内耳障害 (感音難聴) においては内耳窓の病変に年齢的な因子 (罹病期間) が加味されることにより惹起されることが推測された。
  • 伊藤 真人, 長山 郁生, 岡部 陽喜, 古川 仭
    1991 年 34 巻 5 号 p. 527-531
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    近年Bell麻痺に対してはStennert法が普及し, Hunt症候群には抗ウイルス剤 (アシクロビル) とStennert法の併用療法が試みられ, 良好な治療成績が得られている。我々は臨床的にBel1麻痺と診断される症例 (Huntの一部を含む) に対してもHunt症候群と同様にアシクロビルとStennert法とを併用しているので報告した。本治療の目的は臨床的Bell麻痺の中に含まれるHunt不全型の治療と, 病初期に帯状疱疹を認めないHunt典型例の重症化の予防, VZV以外のウイルスが関与するBell麻痺症例の治療が目的である。結果は25例中治療開始が遅れた1例を除き他は全例完治した。
  • 随伴症状を伴わない突発性回転性めまい発作についての検討
    浅井 美洋, 峯田 周幸, 野末 道彦
    1991 年 34 巻 5 号 p. 533-538
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    めまい症例の中には他覚所見に乏しかったり, 病歴が非定型的であるために診断に難渋する例が少なくない。随伴症状を伴わずに突発する反復性一過性の回転性めまい発作をきたす例もそのひとつで, 従来より前庭型メニエール病などと呼ばれて病態の分析が試みられてきた。今回我々は昭和60年1月から平成元年12月の5年間に当科を受診した新患のうち, めまい・平衡障害を訴えていた患者1286名について調査し, 臨床統計としてまとめ報告した。さらにこの中から初期診療の段階で, 突発性の一過性回転性めまい単独発作で発症したものの, 他覚所見に乏しく診断に至らないでいた例の中から最終的に診断が確定した症例の診断名を調べた。このような症例は9例あり, 内訳は大別して内リンパ水腫によると考えられるものが4例, 前庭系の循環不全によると思われるものが5例であった。このような発症様式をとる症例の中に, 脳血管障害の前兆としてのめまいが含まれている可能性が示唆され, 予防医学的に重要と考えた。
  • 真崎 正美, 都志見 格, 中島 康博, 鷹橋 浩幸
    1991 年 34 巻 5 号 p. 539-544
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    同時重複癌の2症例 (下咽頭癌と甲状腺癌, 頸部食道癌と甲状腺癌) における頸部リンパ節の病理組織学的検索により同一のリンパ節中に扁平上皮癌と腺癌の両成分の混在およびその衝突像がみられた。症例は摘出標本の検索から孤立性に存在する二つの癌を確認した。症例1では右の上, 中, 下深頸のリンパ節と気管傍リンパ節の一部に腺癌の転移がみられ, 気管傍リンパ節の1個で腺癌と扁平上皮癌の混在がみられた。
    症例2では右の上, 中深頸リンパ節, 左の気管傍リンパ節の1個に扁平上皮癌の転移を認め, 左の下深頸リンパ節と気管傍リンパ節の2個に腺癌がみられた。左中深頸リンパ節には腺癌と扁平上皮癌が混在していた。
  • 1991 年 34 巻 5 号 p. 545-568
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 副損傷の予防策
    中之坊 学, 西澤 伸志, 野原 理, 井上 鐵三
    1991 年 34 巻 5 号 p. 569-572
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    食道異物は, 耳鼻咽喉科の日常診療においてしばしぼ遭遇する疾患である。異物摘出にあたり留意すべきは, 副損傷の予防であることはいうまでもない。特に, 硬性鏡挿入時の食道入口部の粘膜損傷は, 副損傷の中では比較的頻度の高いものであり, 重篤なものでは致死的なものだけに, 我々耳鼻咽喉科医が十分に留意しなければならない問題である。
    そこで, この問題に対して, ゴム管を硬性鏡挿入経路に留置し, 副損傷に対する予防策を考案した。これにより口腔・咽頭・食道入口部などの硬性鏡挿入経路の粘膜が保護され, 迅速かつ安全に, 硬・軟両内視鏡を繰り返し挿入することが可能となる。本法は, 食道入口部より下にある異物で, 食塊などpiece by pieceに摘出せざるを得ない症例や, 硬性鏡または軟性内視鏡を複数回挿入せざるを得ない症例などに良い適応になる。
  • 星状神経節ブロックとの比較
    硲田 猛真, 新井 宏紀, 横山 道明, 榎本 雅夫
    1991 年 34 巻 5 号 p. 573-581
    発行日: 1991/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    新しい末梢循環改善剤であるバトロキソビン (デフィブラーゼ ®) をステロイド剤, ビタミン剤等に併用し突発性難聴に使用した。当院にてこれまで施行されてきたステロイド剤, ビタミン剤等と星状神経節ブロックを併用した群や, ステロイド剤, ビタミン剤等の投与のみの群に比べ, バトロキソビンの併用群は良好な聴力改善を示した。
    出血等, 重篤な副作用は認められず, 検査値異常などの他の副作用もバトロキソビン投与中止または終了にて消退した。
    バトロキソビンは突発性難聴に有用な治療薬である, と考えた。
feedback
Top