耳, 鼻, 咽喉頭の器官は骨, 軟骨にかこまれているために耳鼻咽喉科領域では骨学の研究が重要である。硬組織の特徴の一つはハイドロオキシアバタイトの沈着によって石灰化しているので硬組織の実験方法は軟組織とは異なっている。
病的脱灰の原因は軟部組織の炎症, チステ, 腫瘍性疾患が周囲の骨に拡がることによる。私共は特別な方法によって慢性中耳炎, 尿毒症, 鼻副鼻腔のチステ, 癌の患者の骨より種々な生体反応を観察出来た。脱灰, 類骨, 石灰化前線等の観察には非脱灰標本を用いなくてはならない。
実験的にはビタミンA過剰投与やコントロールのラットから採取したOticcapsule, 怪骨, 大腿骨を用いたこの研究の実験方法はオートラジオグラフィー, コルヒチン, 組織化学, ラジオマイクログラフィー, X線微少分析等である。
本文では各実験方法について述べ, その結果について検討した。耳鼻咽喉科における基礎的研究と臨床では組織学的研究の目的が異なるので, 硬組織においてその目的を達成するために利用すべき方法について解説した。
抄録全体を表示