めまいは平衡機能に関係する神経系障害により起こる。末梢前庭系障害による末梢性めまいと中枢前庭系障害による中枢性めまいに大分される。めまいの救急診療で大切なことは, 生命予後や神経系機能障害に関係する中枢性めまいを見逃さないことである。神経救急外来において, めまいを主訴とする患者は半数を占め, 日常診療で遭遇することの多い疾患である。めまい診断において, 問診のポイントはめまいの性状, 背景因子, 随伴症状などを正しく評価することである。神経診察ではバイタルサインを迅速に把握し, 耳鼻咽喉科医にとり精通する検査・診断法である眼振検査, 体平衡検査, 聴力検査, 画像検査などを必須検査として的確に施行する。これらの検査はめまいの責任病巣の診断に有用となる。治療は, 急性期のめまいや悪心・嘔吐に対する対症療法, 前庭機能の左右不均衡を是正し前庭機能の早期回復をはかる治療, 浮遊耳石置換法などの理学療法に大別される。めまい救急の診断, 治療の特異性ならびに重要性を理解いただきたい。
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