耳鼻咽喉科展望
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55 巻 , 3 号
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カラーアトラス
綜説
臨床
  • 飯田 誠, 浅香 大也, 大櫛 哲史, 中山 次久, 吉川 衛, 鴻 信義
    2012 年 55 巻 3 号 p. 155-159
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/15
    ジャーナル フリー
    手術治療を必要とした慢性副鼻腔炎患者278例においてアレルギー性疾患 (通年性アレルギー性鼻炎, 気管支喘息) の合併がどのように影響しているか自覚症状 (鼻閉, 鼻汁, 後鼻漏, 嗅覚障害) およびLund & Mackey scoring systemを用いたCT画像による検討を行った。その結果自覚症状の嗅覚障害においてアレルギー性鼻炎および気管支喘息の合併で有意にその程度が高いことがわかった。またCT画像による検討においては, 気管支喘息の合併で有意に広範囲に障害され, 重症度が高いことが確認された。
    今後さらにアレルギー性疾患の増加が考えられ, 慢性副鼻腔炎の病態・治療を考える上で重要であると考えた。
  • 中上 桂吾, 大村 和弘, 森 恵莉, 森 良介, 常喜 達裕, 松脇 由典
    2012 年 55 巻 3 号 p. 160-166
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/15
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 術中画像更新を含むナビゲーションシステムを併用した内視鏡下鼻内副鼻腔手術 (Image-Guided Endoscopic Sinus Surgery: IGESS) で良好な経過を得られた蝶形骨洞大翼嚢胞の2例を経験したので, 文献的考察を含め報告する。
    1例目は55歳男性で, 人間ドッグで撮影されたMRIに左蝶形骨洞内に腫瘤性病変を偶然指摘された。画像所見としては左蝶形骨洞外側壁から蝶形骨翼状突起陥凹部に広がる粘液嚢胞であり, IGESS下で嚢胞壁開窓術を施行した。嚢胞周囲は骨で囲まれており解剖学的位置の変化はなく, 開放は十分であったため術中CTは施行しなかった。
    2例目は18歳女性で, 主訴は頭痛, 左眼痛, 嘔気であった。画像所見としては蝶形骨および斜台, 頭蓋底骨欠損を伴う左蝶形骨大翼の腫瘤性病変で悪性も否定できないものであった。IGESS下で嚢胞壁開窓を施行し, 内容物を吸引除去すると硬膜が下方へ移動し, 術前画像でのナビゲーションシステムでは解剖学的位置の不一致が生じたため, 術中CTを撮影しナビゲーションシステムの画像更新を行い, 周囲の動脈や神経を損傷することなく嚢胞を開窓した。2症例とも術後1年を経過しているが, 再発は認めていない。
    周辺に重要な解剖学的構造物がある場合にナビゲーションシステムは有用であるが, 手術操作により解剖学的位置関係が変化することがあり, 術前のCT情報を用いたナビゲーションシステムでは対応が困難である。そのため, 術中CTが撮影可能な手術室での術中画像更新によりナビゲーションシステムの情報を更新し位置の補正を行うことは, 術中の解剖学的位置変化に対応でき, 有用であると考える。
  • 藤田 芳史, 鈴木 一雅
    2012 年 55 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/15
    ジャーナル フリー
    アンギオテンシン変換酵素阻害薬は, 高血圧治療の第一選択薬の一つとされ, 高血圧や心不全の治療に広く使用されている。同薬剤の副作用の一つに血管性浮腫があり, 喉頭浮腫をきたすと致死的な経過をたどることもあるため注意が必要である。今回我々は, アンギオテンシン変換酵素阻害薬による薬剤誘発性の喉頭血管性浮腫と考えられた症例を経験したので報告する。
    症例は19歳女性。高血圧に対し, 2年前からアンギオテンシン変換酵素阻害薬を内服していた。今回咽頭痛, 頸部腫脹で受診し, 咽頭, 喉頭浮腫を認め入院となった。血液検査上, 炎症反応の上昇は認めなかったため, アンギオテンシン変換酵素阻害薬による薬剤誘発性の血管性浮腫を疑い, 内服を中止した。C1 inhibitor活性, 血性補体価の低下は認めず, 遺伝性血管性浮腫は否定的であった。入院6日目には喉頭浮腫はほぼ消失し, 退院となった。退院後はアンギオテンシン変換酵素阻害薬をCa拮抗薬に変更したが, 浮腫の再発は認めていない。
    炎症所見の乏しい, 咽喉頭の浮腫を認めた場合には, 血管性浮腫を念頭において診療にあたるべきと考えた。
  • 會田 小百合, 谷口 雄一郎, 吉川 衛, 田中 康広, 小島 博己
    2012 年 55 巻 3 号 p. 172-177
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/15
    ジャーナル フリー
    中鼻甲介頭痛症候群は中鼻甲介と鼻中隔の粘膜同士が接触して疼痛をきたすとされているが一般的にはあまり知られていない疾患である。今回我々は中鼻甲介頭痛症候群と考えられた症例を経験したので報告する。
    症例は33歳男性で鼻閉を主訴に受診した。初診時の副鼻腔CTにて右に凸の鼻中隔弯曲と左中甲介蜂巣を認め, 鼻閉改善目的に鼻中隔矯正術及び左内視鏡下鼻内手術を施行した。術後, 鼻閉は改善したが, 左鼻痛の訴えが新たに出現したため, 再度副鼻腔CTを施行した。その結果, 右に凸の鼻中隔弯曲を矯正したことで術後に左中鼻甲介と鼻中隔の接触が生じたことがわかったため, 内視鏡下鼻内手術にて左中鼻甲介の鼻中隔側を切除し, さらに鼻中隔の上弯を補正したところ, 術後に鼻痛は消失した。
    鼻痛は術前には存在せず, 医原性に中鼻甲介と鼻中隔の接触を作り出現した症状ではあるが, 互いの接触を除去したところ疼痛が消失したことから, 中鼻甲介頭痛症候群は実在すると裏付ける症例であったと考える。
  • 森野 常太郎, 原山 幸久, 森脇 宏人
    2012 年 55 巻 3 号 p. 178-182
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/15
    ジャーナル フリー
    海綿静脈洞血栓症は抗生物質が普及した現在, 非常に稀な疾患であるが, 早期に診断し治療を開始しなければ致死的となる場合もある。この度, 早期治療により軽快した海綿静脈洞血栓症の1例を経験した。
    症例は33歳男性, 頭痛を主訴に当院救急外来を受診となり, 右蝶形骨洞炎として経過観察したが, その後左眼痛, 左眼瞼腫脹が出現し精査加療目的に眼科入院となった。画像精査で左海綿静脈洞血栓症と診断し, 感染源制御目的に蝶形骨洞炎に対して内視鏡下鼻内手術を施行した。術後は抗菌薬大量投与を行い徐々に症状と所見は改善し, 術後15日目での退院となった。
    海綿静脈洞血栓症は非常に稀な疾患ではあるが, 早期診断, 早期治療をすることによって致死的な状況を回避できるだけでなく, 後遺症の合併がなく治癒できる可能性があるため, 鑑別として念頭におく必要がある。
  • 栗原 渉, 大村 和弘, 森 良介, 常喜 達裕, 海渡 信義, 松脇 由典
    2012 年 55 巻 3 号 p. 183-188
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/06/15
    ジャーナル フリー
    外傷性鼻性髄液漏に対して手術治療を行い, 再手術を必要とした1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。症例は61歳男性で透析治療中, 階段より転落し頭蓋骨骨折により髄液漏を生じた。CT所見では, 蝶形骨洞内に複数個所, 前頭洞前後壁に骨折を認め, 気脳症を併発しており, 第6病日に髄膜炎及び髄液漏治療目的で当科依頼となった。初回手術時, 蝶形骨洞髄液漏出部位に脂肪充填し大腿筋膜をoverlayにカバーしたマルチレイヤーシーリング術を実施した。初回手術のタンポン抜去時に髄液漏を認めたため再手術となり, 有茎鼻中隔粘膜弁による閉鎖術を行い, その後, 髄液漏は認めず軽快退院となった。本症例は基礎疾患として腎不全があり透析中ということもあり, 遊離皮弁のみでは閉鎖が得られなかったものと考える。手術治療を行う際には, 各症例の状態を把握し適切な再建材料を選択することが重要だと考えた。また, 頭蓋底手術におけるナビゲーションシステムの有用性も確認することができた。
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