耳鼻咽喉科展望
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45 巻, 2 号
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  • 歯肉の疾患 (II)
    西山 茂夫
    2002 年 45 巻 2 号 p. 96-97
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 中島 務
    2002 年 45 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    突発性難聴という言葉は, メニエール病という言葉に比べれば新しい。本稿では, 突発性難聴の歴史をメニエール病との関連で述べた。突発性難聴の診断基準は昭和48年に厚生省研究班により作成されたものが現在まで用いられ, 全国調査に役立っている。診断基準に具体的なデシベルの記載はなく, 新しく作成された重症度基準においてデシベルによる区分がなされた。原因不明の突発性難聴の発症数はいまだ増加傾向にあり, 今後, 病態の解明, 治療法のさらなる進歩が期待される。
  • 木島 太郎, 丹羽 秀夫, 小林 大輔, 遠藤 壮平, 古阪 徹, 久松 建一, 木田 亮紀, Jennifer Grandis
    2002 年 45 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    Epidermal growth factor receptor (EGFR) -antisense導入療法とpaclitaxelの併用及び単独での効果をin vivoならびにin vitro頭頸部扁平上皮癌モデル (SCC 1483) で検討した。paclitaxelのin vitro腫瘍細胞増殖抑制効果は5nMと低濃度から認められた。in vitroならびにin vivoでEGFR-antisense (EGFR-AS) 及びEGFR-sense (EGFR-S) 遺伝子をヒトSCC 1483に導入し, 細胞増殖阻害能及び細胞アポトーシス誘導能を比較検討した。in vitroでは, センス導入群と比較しアンチセンス導入群で優位に細胞増殖が抑制された。また, 単独投与と比較し, EGFR+paclitaxel投与群では腫瘍細胞増殖抑制の相加効果が認められた。in vitroでの細胞アポトーシス誘導能はEGFR-antisense (EGFR-AS) がEGFR-sense (EGFR-S) より高率であった。in vivoマウスにおける腫瘍増殖抑制効果は, EGFR-antisense (EGFR-AS) +paclitaxel投与群が最も強く, EGFR-antisense (EGFR-AS), paclitaxel単独投与群と比較してその相加効果を認めた。以上より頭頸部扁平上皮癌治療におけるpaclitaxel, EGFR-antisense (EGFR-AS) 療法の臨床応用の可能性が示唆された。
  • 千葉 伸太郎, 太田 正治, 森脇 宏人, 内田 亮, 徳永 雅一, 森山 寛
    2002 年 45 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    n-CPAP療法中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) 患者に対する鼻手術の効果について検討した。n-CPAP療法を継続中のOSAS患者のうち, 鼻閉を訴え鼻中隔弯曲症, 肥厚性鼻炎と診断し, 手術治療を行った10症例を対象としてメモリ機能付きauto-CPAPと専用ソフトを用いて術前後の至適圧, 使用率について検討した。手術後, 至適圧は平均11.33±2.83cmH2Oから9.92±2.32cmH2Oへと低下し統計学的な有意差を認めた。鼻手術はn-CPAP 使用中のOSAS患者において, 至適圧を低く抑えることが可能であり, n-CPAPの使用にあたっては鼻疾患の診断と治療を積極的に行うべきと考えた。
  • 堤 俊之, 古川 昌幸, 柿本 晋吾, 姫野 千恵美, 湯川 尚哉, 栗山 博道, 土井 直, 北尻 雅則, 山下 敏夫
    2002 年 45 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    頭部外傷による外リンパ瘻を伴う介達性耳小骨離断症例を経験した。
    安静治療中であったにもかかわらず, 耳鳴りの出現とともに感音難聴の進行を認めたため, 試験的鼓室開放術が必要となった。術中所見では上鼓室は凝血塊で充満しており, 粘膜の損傷が認められ, ツチ・キヌタ関節は離断し, 間隙および関節の周囲では, 線維性物質が付着していた。キヌタ・アブミ関節および正円窓には異常がなく, アブミ骨を軽く圧迫すると, アブミ骨底板付近より, にじみ出るようなリンパ液の漏出が認められた。術直後より, 耳鳴りは消失し術後聴力も良好な経過を示しているが, 本症例においては経過を通じて蝸牛前庭症状の変化には, 十分に注意する必要があると思われた。
  • 宇田川 寛子, 波多野 篤, 吉田 拓人, 大橋 正嗣, 重田 泰史, 三谷 幸恵, 梅澤 祐二
    2002 年 45 巻 2 号 p. 124-131
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    後天性気管食道瘻は, 進展した食道癌などに続発するものの他に稀ではあるが気管切開術後の合併症としても発生し, その治療には難渋することが多い。今回, 開腹手術後, 気管切開術が行われ, 胃管チューブと気管カニューレとの間の気管膜様部において気管食道瘻を形成した症例を経験した。カブを瘻孔の気管末梢部で固定することで誤嚥を防止し, 全身状態の改善を待ち, 頸部の前側方からのアプローチにより瘻孔閉鎖術を行った。瘻孔の気管側に食道粘膜をつけて気管と食道を切離後, この食道粘膜を翻転し気管側の瘻孔を閉鎖し, 食道側も一時的に縫合した。さらにこの間に胸鎖乳突筋弁を介在させることで, 縫合部の補強及び接触防止を図り, 瘻孔の再形成及び二次的な気管狭窄の防止に努めた。気管切開術後に発生する気管食道瘻の主たる成因は, 過度のカブ圧による気管粘膜の圧迫壊死であり, 瘻孔形成に至った病態を十分理解し, これらを改善した後, 外科的治療を行うことが有用であると思われる。瘻孔を形成した症例では全身状態の悪化を背景に, その治療に難渋するため, 症例ごとの病態に沿った細やかな対応や, 何にもまして予防が重要であると思われる。
  • 再建耳小骨を中心に
    宮崎 日出海, 尾尻 博也, 小島 博己, 森山 寛
    2002 年 45 巻 2 号 p. 132-138
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    Multislice CT は, 各領域でその有用性が広く認識されつつあり, 耳小骨をはじめとする微小構造を有する中耳は, その高い空間分解能の最も恩恵を受ける領域といえる。我々は鼓室形成術術後評価の手段として術後のMultislice CT 画像の検討を行い, その臨床的有用性について検討した。再建耳小骨に用いる自家骨と人工耳小骨とでは描出自体に明らかな差はなく, 耳小骨連鎖の状態を十分に把握することが可能であり, Multislice CT は術後評価として大変有用であった。再構成して得られた3D画像は, 病態を術前からイメージできる点で術者に貴重な情報を与えるばかりでなく, 立体的位置関係の把握が容易であることから, 患者側にとっても疾患の理解に貢献する視覚材料になり得るものと思われた。
  • 保科 定頼
    2002 年 45 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    従来より水圏や土壌など自然環境中の従属栄養性細菌の大部分が培養できないことが, 培養法と直接計数法との大きな差によって知られていた。したがってこれらの細菌はViable but non culturable (VBNC) 状態にあるとの認識が生まれるとともに, 遺伝子解析や蛍光染色法など, 培養によらない解析手法の急速な発達によって, これらの細菌の研究が大きく進みつつある。archaebacteriaから原核生物に至るまで16SrRNAに進化の過程で重要機能のため, 保存された塩基配列領域が数カ所認められ, 約20塩基長のオリゴマーとして存在する。これらの保存領域に挟まれた数百塩基長のRNA配列は, 属あるいは種として従来からの分類学上規定される特異的な菌の集団におおむね一致して同じ配列がみられる。この領域を活用して原因菌を検出する新しい臨床微生物学が始まった。
  • 東條 克能, 赤司 俊彦
    2002 年 45 巻 2 号 p. 144-149
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 術前後のケアマネジメントと術後経過
    森山 寛
    2002 年 45 巻 2 号 p. 150-160
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    内視鏡下鼻内手術により, 80~90%の改善率が得られるようになつてきたが, なかには難治性の副鼻腔炎も存在する。喘息に代表される好酸球浸潤を特徴とする副鼻腔炎は, マクロライド治療の効果も少なく難治である。とくに成人の非アトピー型の喘息やアスピリン喘息に伴う鼻茸や副鼻腔病変は易再発性であり, 手術的治療にも抵抗する。このような病変の増加が今日の特徴である。この好酸球浸潤の病態は浮腫状の多発性の鼻茸が, 中鼻道, 中鼻甲介, 嗅裂にみられ下鼻甲介に病変はほとんど見られず, 洞内は浮腫状の粘膜で, ときに粘稠性のにかわ (膠) 状の分泌物 (ムチン) の貯留を認めるなどの特徴を示す。このような副鼻腔粘膜に好酸球 (活性化) が著明に浸潤し鼻茸を合併した副鼻腔粘膜病変は, 好酸球性副鼻腔炎あるいは好酸球関連副鼻腔炎と呼ばれる。諸外国でも, 多発性鼻茸に著明な好酸球浸潤が見られ, 手術にても再発しやすい例をDiffuse eosinophil-dominant polyposisあるいはEosinophilic mucin rhinosinusitisという概念で示されている。
    これら特殊病態を含む副鼻腔炎の術前検査, 術前のケアー, 手術治療の実際, 術後の治療, 術後の経過や成績について述べる。
  • 成田 賢一, 尾尻 博也, 多田 信平
    2002 年 45 巻 2 号 p. 161-162
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 丹羽 一成
    2002 年 45 巻 2 号 p. 163-171
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    第1部として聴覚現象を指標にしたフィッティングの手法, 手順の基礎的事項について述べる。originalな手法で即座に補聴器を難聴の耳にフィットさせる唯一の手法であり, この聴覚現象のフィッティングを原点にして有意3音節音場法語音聴力検査により補聴器装用耳の聴力測定法を作り上げた。
    第2部は稿を改め実際の手法, 手順を, 第3部は語音聴力検査有意3音節音場法による補聴器装用効果の判定法について述べる。
  • 久松 建一, 亀谷 隆一, 勝又 淳子
    2002 年 45 巻 2 号 p. 172-183
    発行日: 2002/04/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    通年性鼻アレルギー患者にプロピオン酸フルチカゾン点鼻液200μg/日を長期間 (2~18ヵ月間) 使用し, 副腎皮質機能に与える本剤の影響を中心に安全性の検討を行った。総使用例数は11例であり, うち2ヵ月以上使用された症例は10例であった。いずれの症例においても, 本剤との因果関係が疑われる有害事象はみられなかった。また, 経ロステロイド配合剤を併用した1例を除き, 血漿コルチゾール値が正常範囲以下に低下した症例はなく, 副腎皮質機能の抑制によると思われる症状もみられなかった。全般改善度においては「中等度改善」以上の症例が88.9% (8/9例) であり, 「不変」もしくは「悪化」を認めた症例は1例もなかった。以上より, 本剤の長期連続使用により臨床上問題となるような影響は認められず, また, 優れた改善効果が認められたことから, プロピオン酸フルチカゾン点鼻液は通年性鼻アレルギーに対して有用性の高い薬剤であることが確認された。
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