慢性副鼻腔炎において, 鼻アレルギーの合併は治療予後に影響することが指摘されてきている。また, YAMIKカテーテルによる治療は, 副鼻腔への有効な薬液移行手段であり, 同時に副鼻腔貯留液を採取できるという利点をもつ。今回我々は, 鼻アレルギー合併による慢性副鼻腔炎病態への影響について検討するために, YAMIKカテーテルにて採取した副鼻腔貯留液のサイトカイン, ロイコトリエン濃度を指標に比較検討した。副鼻腔貯留液中のIL-8, IL-1β, TNF-αは慢性副鼻腔炎症例で正常例より高値であり, 鼻アレルギーの有無による差は認められなかった。またIL-5, ペプタイドロイコトリエンは, 鼻アレルギーを合併する症例において, 合併しない副鼻腔炎症例および正常例より高値であった。
以上より, 鼻アレルギー合併副鼻腔炎においては, 感染性炎症と同時に, 好酸球が関与する炎症 (好酸球性炎症) も併存している可能性が示唆された。
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