耳鼻咽喉科展望
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57 巻 , 4 号
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カラーアトラス
綜説
  • 児玉 悟
    2014 年 57 巻 4 号 p. 174-183
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2015/08/15
    ジャーナル フリー
     鼻科臨床において鼻閉は最も重要な臨床症状であり, 鼻閉の改善こそ鼻科手術の重要なアウトカムである。 鼻科手術の基本は鼻腔形態の矯正であり, 鼻閉の原因を的確に捉え, それに適切に対処することは耳鼻咽喉科医にとっては重要である。 外鼻変形を伴う鼻中隔弯曲症や前弯が顕著な症例では, 通常の鼻内法による鼻中隔矯正術では, 弯曲の矯正が困難なことが多く, 満足する結果が得られないこともある。 こうした外鼻変形を伴う鼻中隔弯曲症に対しては, 外鼻と鼻中隔を立体的な一つの構造物と考え, 手術を行う open septorhinoplasty が非常に有効である。 鼻腔形態の矯正と鼻閉の改善のために, わが国においても耳鼻咽喉科医による open septorhinoplasty の発展が望まれる。
臨床
  • ―腫瘍の進展様式からみた術式に関して―
    波多野 篤, 飯村 慈朗, 重田 泰史, 岡野 晋, 青木 謙祐, 清野 洋一, 齊藤 孝夫, 加藤 孝邦
    2014 年 57 巻 4 号 p. 184-193
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2015/08/15
    ジャーナル フリー
     目的: 鼻副鼻腔悪性腫瘍に対して内視鏡下腫瘍切除術を施行した症例を対象として, 腫瘍の局在および進展範囲別に施行された術式を分類しその有用性を検討した。
     対象と方法: 対象は東京慈恵会医科大学附属第三病院耳鼻咽喉科において鼻副鼻腔悪性腫瘍に対して内視鏡下腫瘍切除術を施行した7症例。 各症例の臨床経過と共に, 術前内視鏡検査と画像検査より腫瘍の発生基部とその進展範囲を評価し腫瘍の発生パターン別に施行した術式の評価を行い, グループ分けを行う等の臨床的検討を行った。
     結果: TNM 分類では, 鼻腔 T1N0 2例, T2N0 3例, T4aN0 1例, 篩骨洞 T2N0 1例であり, 全例 M0であった。 術前検査として画像検査 (CT, MRI) および内視鏡検査をもとに腫瘍の発生基部とその進展範囲を評価し安全域を持った腫瘍の一塊切除の術式を検討し, 鼻内操作にて切除可能と思われた症例を厳選したうえで内視鏡下切除術を行った。 腫瘍の局在と施行術式をもとに, 1) 鼻中隔から発生した内側側方型, 2) 中鼻甲介から発生した上方型, 3) 蝶形骨洞前壁より前方の後方型に分類され, すべて一塊切除が施行された。 安全域が十分に確保できなかった症例に対しては術後放射線治療が施行された。 観察期間中 (12~125ヵ月, 平均41.1ヵ月), 鼻腔腫瘍 (T2N0) の1例が局所再発及び遠隔転移制御ができず死亡し, 篩骨洞腫瘍 (T2N0 神経内分泌癌) の1例が骨転移のため担癌生存中である。
     結語: 鼻副鼻腔悪性腫瘍の手術においては, 腫瘍の発生基部と進展範囲によっては内視鏡手術で対応可能なものも認められた。 一方, 症例によってはワーキングスペースおよびアングルが制限されるため, 安全域をつけた腫瘍の一塊切除を安全かつ確実に行うためには鼻内アプローチのみに固執することなく外切開を伴う術式への変更を含めた術式を選択することが重要と考えられた。
  • 宮村 朋孝, 竹内 万彦
    2014 年 57 巻 4 号 p. 194-197
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2015/08/15
    ジャーナル フリー
     甲状腺に他臓器の腫瘍が転移することは稀である。 今回, 腎癌の術後, 甲状腺転移をきたした2症例を経験したので報告する。 症例1は68歳男性。 12年前に右腎癌にて右腎摘出術を施行後, 甲状腺右葉の腫瘤の増大があり当科に紹介された。 吸引細胞診では核内細胞質封入体を認め乳頭癌が疑われ甲状腺右葉切除術を行った。 病理診断の結果は淡明腎細胞癌であり腎癌の転移と診断した。 症例2は52歳女性。 6年前に左腎癌に対し左腎摘出術を施行した。 術後の定期的なCT検査にて甲状腺腫瘤を認め当科に紹介となった。 吸引細胞診にて濾胞性病変であり悪性所見を認めず経過観察となっていたが増大傾向があり甲状腺峡部切除術を行った。 病理診断の結果は淡明腎細胞癌であり腎癌の転移と診断した。
     腎癌の症例では長期間経過してからも遠隔転移をきたす可能性があり甲状腺腫瘤であっても転移を念頭におく必要がある。 治療は, 可能であれば転移巣の切除が第一選択になる。 また, 遠隔転移の切除により有意に生存率が延長とされるとの報告があり, 頭頸部領域への遠隔転移でも積極的な切除が望まれる。
  • 後藤 一貴, 常見 泰弘, 吉田 智恵, 金谷 洋明, 平林 秀樹, 春名 眞一
    2014 年 57 巻 4 号 p. 198-204
    発行日: 2014/06/12
    公開日: 2015/08/15
    ジャーナル フリー
     口腔期の嚥下を意識しない場面での唾液嚥下は可能なものの, 意図的状況での嚥下が不可能な「口腔期嚥下失行」が疑われた症例を経験した。 患者は57歳, 男性。 現病歴は, 意識障害にて救急搬送。 精査にて前頭葉神経膠腫の診断となった。 放射線化学療法中に嚥下障害, 構音障害が出現し当科を紹介受診した。 Japan Coma Scale 1, Broca 失語を認めた。 口腔内の感覚運動麻痺はなく, 唾液の口腔内残留も認めなかった。 嚥下内視鏡検査では, 声帯麻痺はなく, 喉頭蓋谷, 両側梨状窩凹への唾液貯留も認めなかった。 着色水の指示嚥下では, ホワイトアウト, 咽頭の収縮, 喉頭挙上を認めたが, 着色水は口腔内に留まったままで嚥下することはできなかった。 嚥下造影検査では, 舌咽頭の明らかな麻痺はないが, 咽頭へ送り込みができなかった。 しかし, 嚥下を意図しない場面では, 唾液嚥下は可能であった。 嚥下関連筋の運動障害, 舌咽喉頭の感覚障害はなく, 意図的な場面での送り込み障害をきたしている, 「口腔期嚥下失行」が疑われた。 責任病巣は, 両葉の一次運動野から視床に至る経路での障害と推定された。 環境整備, 模倣によるリハビリテーションにて一部の経口摂取が可能となった。
  • 岩﨑 聖子, 宮下 文織, 荒井 聡, 齊藤 孝夫
    2014 年 57 巻 4 号 p. 205-212
    発行日: 2014/08/15
    公開日: 2015/08/15
    ジャーナル フリー
     石灰沈着性頸長筋腱炎は, 急性発症の嚥下時痛, 頸部痛および疼痛回避性の頸部可動域制限を来す疾患で, 頸長筋腱へのハイドロキシアパタイト沈着による炎症が原因といわれている。 その症状および画像診断にて咽頭後部の椎前部軟部組織腫脹を示すことから咽後膿瘍との鑑別を要し, しばしば診断に悩まされる。
     今回我々は, 石灰沈着性頸長筋腱炎を3例経験した。 いずれも症状や頸部単純 MRI 所見から一旦は咽後膿瘍を疑ったが, 頸部単純 X 線側面像および頸部造影 CT 検査にて環椎前結節部近傍に石灰化所見を認め, 石灰沈着性頸長筋腱炎と確定診断し, 非ステロイド性抗炎症薬と抗菌薬の投与による保存療法で治癒せしめた。
     石灰沈着性頸長筋腱炎は, 咽後膿瘍とは治療方針や予後が異なるため, できるだけ早期に両者を鑑別し診療にあたることが肝要である。
境界領域
画像診断
薬剤の特徴と注意点
学会関係【第15回 頭頸部表在癌研究会】
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