耳鼻咽喉科展望
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35 巻, Supplement6 号
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  • 遠藤 朝彦, 本多 芳男, 永倉 仁史, 深見 雅也, 大野 昭彦, 望月 元博, 穎川 一信, 真鍋 幸二
    1992 年 35 巻 Supplement6 号 p. 447-467
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    WAL 801 CL (塩酸Epinastine) を非季節性 (いわゆる通年性) の鼻アレルギー38症例を対象として長期 (最長16週間) に用い, その有効性, 安全性について検討した。また, 対照群 (減感作単独群) と症状の推移を比較することにより薬効を評価した。
    最終全般改善度の有効率は, 10mg群58.8%, 20mg群76.2%であった。効果発現までの期間は, 10mg群では1週間以内54.5%, 20mg群では1週間以内63.6%と比較的早い発現が認められた。副作用は20mg群で発疹が1例認められたのみで, 重篤なものはなく, 一般臨床検査値にも異常変動を認めなかった。以上から有用率は10mg群64.7%, 20mg群76.2%であった。対照群との症状の推移の比較から, 上記の効果は, 薬効の寄与するところが大きいと示唆された。
    これらの成績について, 臨床上の実用性の有無について考察を加えたところ, 実用性に富んだ薬剤であると結論しえた。
  • 原田 泉, 鵜飼 幸太郎, 坂倉 康夫, 浜口 富美
    1992 年 35 巻 Supplement6 号 p. 469-474
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    中等症以上の通年性鼻アレルギー患者12例に塩酸アゼラスチン2mg/日を4週間投与し, 投与前後の鼻粘膜ヒスタミン過敏性とその臨床効果について検討した。その結果アゼラスチン投与前の過敏性閾値102.8±1.0μg/mlに対し, 4週投与後には104.2±1.0μg/mlと統討的に有意な閾値の上昇が認められた。また臨床症状の改善率は4週投与で66.7%に認められた。ヒスタミン過敏性閾値の改善がみられた9例のうち臨床症状のくしゃみ発作で有効以上の改善は6例 (66.7%) に認められた。以上のことからアゼラスチン4週間投与により鼻粘膜の過敏性は有意に改善され, 鼻アレルギー臨床症状の改善をもたらすものと考えられた。
  • 北奥 恵之, 松永 喬, 山本 史郎, 北村 薄之, 田渕 圭作, 高北 晋一, 庄司 和彦, 西川 益子, 東辻 英郎, 野瀬 謙介
    1992 年 35 巻 Supplement6 号 p. 475-482
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    昭和61年2月から昭和61年5月までに奈良県下3病院で診断されたスギ花粉症61例を封筒法で2群に分け, ケトチフェン内服単独群とプロピオン酸ベクロメタゾン点鼻併用群で臨床効果をみた。
    全般改善度は単独群では改善以上46.7%, やや改善以上70%, 併用群では改善以上71.4%, やや改善以上89.3%となり, 両群に有意差を認めた。
    全体で11例に副作用が出現した。10例は眠気で1例は頭痛だった。
    有用度は, 単独群では有用以上46.7%, やや有用以上70%, 併用群では有用以上64.3%, やや有用以上82.1%で両群に有意差を認めた。
    効果発現までの期間は単独群よりも併用群の方が早かった。スギ花粉症の初期には併用で, 後期には単独で有効であることが示唆された。
  • 石田 博義, 宮坂 宏恵
    1992 年 35 巻 Supplement6 号 p. 483-489
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    取手協同病院, 都立駒込病院耳鼻咽喉科外来を, めまいを主訴として訪れた30名の「眩量症」患者 (男性13例, 女性17例) に対し, エレン ® 20mg錠を1日3回12週投与した。本剤は薬理作用から, セロトニンおよびノルエピネフリンの取り込み阻害作用を有した薬剤であるが, 動物実験上では, 学習行動増加作用, 脳波賦活作用, 抗健忘作用, 低酸素保護作用が確認されている。
    このことから動脈硬化や血流障害が発症原因と考えられる「眩量症」に対し中枢からは, 代償機構の促進, 末梢からは前庭機能の回復が期待できる。その結果, 投与前後の自覚的所見に関しては,「眩量発作」「眩量感」「身体動揺感」「悪心・嘔吐」「倦怠感」「頭重・頭痛」「肩こり」「不眠」いずれにも有意な改善がみられ, 他覚的所見に関しても,「起立検査」「足踏検査」「頭位変換眼振」「頭振り眼振」において, 有意な改善がみられた。
    12週という短期の検討ではあるが, 副作用も示さず, 本剤は「眩量症」の自覚症状の改善をもたらし, 他覚的には平衡神経系の不均衡に対しても有意な改善をもたらす薬剤であると結論した。
  • 菊屋 義則
    1992 年 35 巻 Supplement6 号 p. 491-495
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽候科感染症に対して何をファーストチョイスとするかは日常診療において重要な問題である。今回, 著者は門前病院耳鼻咽候科を受診した78症例 (87疾患) に対してルリッド錠を投与して良好な成績を得たので報告する。判定不能3例を除く84疾患例中, 著効52例 (61.9%), 有効17例 (20.2%), やや有効2例 (2.4%), 無効13例 (15.5%) で, 有効以上69例 (82.1%) であった。以上の成績よりルリッド錠は耳鼻咽候科感染症に対して, 一度使用してみる価値のある薬剤と思われた。
  • 馬場 駿吉, 小林 武弘, 大山 勝, 島 哲也, 佐藤 喜一, 本多 芳男, 石井 正則, 岡崎 治, 橋本 新二郎
    1992 年 35 巻 Supplement6 号 p. 497-502
    発行日: 1992/10/15
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    化膿性中耳炎患者を中心にオフロキサシン (OFLX) 耳用液を投与し, OFLXの血清中, 中耳粘膜中および耳漏中への移行性を検討した。
    1) 0.5%OFLX耳用液10滴 (OFLX2.5mgに相当) 投与30分後, 60分後の血清中濃度は, それぞれ≦0.017, ≦0.007μg/mlと低値であった。
    2) 0.3%OFLX耳用液10滴 (OFLX 1.5mgに相当) 反復投与時の各投与30分後の血清中濃度は≦0.012μg/mlと低値であった。
    3) 0.3%OFLX耳用液5滴 (OFLXO.75mgに相当) を小児に投与した際の30~120分後の血清中濃度は, ≦0.013μg/mlと成人同様低値であった。
    4) 0.3%OFLX耳用液10滴 (OFLX 1.5mgに相当) 投与90分後の中耳粘膜中濃度は19.5μ9/9, 0.5%OFLX耳用液10滴 (OFLX 2.5mgに相当) 投与30~75分後の中耳粘膜中濃度は35.3~319.5μg/gと高値であった。
    5) 0.1%OFLX耳用液10滴 (OFLXO.5mgに相当) 投与10分後および30分後の耳漏中濃度は, それぞれ≧766.2, ≧106.5μg/m1と高値であった。
    以上より, OFLX耳用液は化膿性中耳炎に対して望ましい体内動態を示す局所用剤と考えられた。
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