耳鼻咽喉科展望
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54 巻 , 6 号
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カラーアトラス
綜説
臨床
  • 佐藤 公則
    2011 年 54 巻 6 号 p. 398-405
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/15
    ジャーナル フリー
    近年, 歯科治療に伴う歯性上顎洞炎は増加している。インプラント治療の普及に伴って, インプラント治療に伴う上顎洞炎も最近散見されるようになってきた。
    本論文ではインプラント治療による歯性上顎洞炎, 特にインプラントの取り扱いと内視鏡下鼻副鼻腔手術の役割を報告する。
    インプラント治療による歯性上顎洞炎 (副鼻腔炎) の病態には, インプラント治療により上顎洞炎などの歯性感染症が起こる場合と, インプラント治療を契機に他の歯の炎症性病変 (根尖病巣) が上顎洞炎などの歯性感染症を引き起こす場合があると考えられた。
    インプラント治療は高額な保険外歯科治療であり無用のトラブルを避けるためにも, 我々耳鼻咽喉科医は患者に対する説明, 既に埋入されているインプラントの取り扱いに配慮が必要である。
    インプラント治療による難治性歯性上顎洞炎に対しては, インプラント体あるいはMaxillary Sinus Augmentation (上顎洞底挙上術) に用いた骨充填剤の抜去が必要なのかは結論が得られていない。インプラントによる難治性上顎洞炎に対する治療選択肢の1つとして, 内視鏡下鼻副鼻腔手術が果たす役割は大きいと考える。
  • 波多野 篤, 澤井 理華, 上山 亮介, 若山 仁久, 長岡 真人, 力武 正浩, 重田 泰史
    2011 年 54 巻 6 号 p. 406-413
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/15
    ジャーナル フリー
    口蓋に発生する腫瘍性病変は比較的少なく, 時にまれな組織型の症例が報告されているが, 口蓋腫瘍全体に関した報告例は少ない。今回, 当科において経験した口蓋原発の良性腫瘍に関して, 臨床所見や画像検査をもとに行った術前診断を中心に検討し, 今後の治療の一助とすることを目的として臨床検討を行った。過去5年間に当科において治療を行った良性口蓋腫瘍の5例を対象とした。組織型別では多形腺腫が2例, 細管状腺腫1例, 基底細胞腺腫1例, 分類不明の小唾液腺由来腫瘍1例ですべて小唾液腺由来の腫瘍であった。局所所見, 細胞診, MRI所見などを用いて術前評価を行ったところ, 5例中2例において悪性病変の疑いが認められた。このためこの2例に対しては悪性腫瘍に準じた腫瘍切除が行われた。細管状腺腫は良性病変ではあるが, 時に口蓋粘膜の潰瘍や骨破壊像を呈し, 悪性腫瘍に類似した臨床像を呈するために, その存在を念頭に置いた慎重な術前評価と治療法の選択が必要と思われた。耳下腺などの大唾液腺腫瘍では術前診断の困難さが報告されている。口蓋腫瘍においても良性疾患にも関わらず, 時に悪性病変との鑑別を要する病変が認められるため, 正確な術前診断を行い適切な治療を行うことの重要性が再認識された。
  • 志村 英二, 千葉 伸太郎, 新井 千昭, 高宮 優子, 澤田 弘毅, 飯村 慈朗, 太田 史一
    2011 年 54 巻 6 号 p. 414-419
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/15
    ジャーナル フリー
    閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA) の周術期管理や合併症について, これまで多くの報告がなされているが, Sleep apnea surgeryにおける周術期管理についての報告は極めて稀である。今回我々は, Sleep apnea surgeryにおける術後の非侵襲的陽圧呼吸療法 (NPPV, BiPAP) の有用性について, 前向き検討を行った。
    対象は, 当院にて全身麻酔下にSleep apnea surgeryを施行した12症例 (男女比11:1, 平均年齢46.2歳) である。方法は, パルスオキシメーターを用いて, 術前, 術当日 (BiPAPあり), 術後1日目 (BiPAPなし) の夜間ODI3 (Oxygen Desaturation Index 3%) を測定し, その変化を比較検討した。
    結果は, いずれの症例もBiPAPを施行した術当日はODI3が術前より有意に低下しており, BiPAPをはずした術後1日目では, 術当日に比較し, 有意に増加していた。また, 術当日の呼吸循環動態は非常に安定していた。12例すべての症例において, 術後合併症を認めなかった。
    今回の我々の検討では, Sleep apnea surgeryの周術期管理における数多くの問題点のなかで, 術後の酸素化という点において有意差がみられた。今後, Sleep apnea surgeryという特殊な状況下での, より安全な周術期管理の研究とシステムの構築が望まれる。
  • 大前 祥子, 森本 宰充, 高宮 優子, 吉田 隆一, 中島 庸也
    2011 年 54 巻 6 号 p. 420-425
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/15
    ジャーナル フリー
    比較的稀な疾患である甲状腺悪性リンパ腫の症例報告である。症例1は急速な頸部腫脹, 経口摂取困難と嚥下時痛を認めた61歳男性, 症例2は嚥下時違和感により発症した82歳女性である。2症例とも甲状腺腫脹による気管の圧排と気道狭窄を認めたため, 早急な気道管理が必要であった。症例1では気管切開を行い, 症例2ではステロイドホルモンを投与し対応した。甲状腺悪性リンパ腫の予後は比較的良好であるため, 治療開始までの気道確保は非常に重要である。甲状腺悪性リンパ腫に関して, その頻度や症状, 検査, 気道管理と治療・予後について考察する。
境界領域
  • 朝戸 裕貴
    2011 年 54 巻 6 号 p. 426-434
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/15
    ジャーナル フリー
    外耳の先天異常には, 頻度の高いものとして副耳, 耳瘻孔などがある。このほかにも軟骨の形成を要しない耳垂裂や埋没耳などは軽度の外耳先天異常といえる。軟骨の形成を要する中等度の先天異常としては, 立ち耳やスタール耳, 折れ耳や絞扼耳があげられる。小耳症は重度の耳介形成不全であり, 多くの場合に外耳道閉鎖を伴っている。小耳症の形成手術は10歳前後まで待機して, 肋軟骨で作製したフレームワークを耳介の部位に移植する肋軟骨移植術と, 半年経過後に形成耳介の後方を側頭部から聳立させる耳介挙上術, という2段階の手術方法で行われるのが一般的である。これら外耳の先天異常, とくに小耳症の形成手術について概略を述べた。
画像診断
薬剤の特徴と注意点
学会関係【第9回 頭頸部表在癌研究会】
薬剤関係
  • 宮本 直哉, 鈴木 元彦, 村上 信五
    2011 年 54 巻 6 号 p. 457-465
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/12/15
    ジャーナル フリー
    小児難治性 (反復, 既往, 遷延) 中耳炎を対象として, Tebipenem pivoxil (TBPM-PI) とCefditoren pivoxil (CDTR-PI) 高用量の比較試験をして, 臨床効果, 有用性ならびに細菌学的な検討を行った。そして経口カルバペネム系抗菌薬TBPM-PIの中耳炎治療における位置づけについて検討してみた。
    有効率はTBPM-PI群が92%, CDTR-PI群が83%であり, また著効率はTBPM-PI群が58%, CDTR-PI群が33%であった。TBPM-PI群の高い著効率は, 本剤投与による速やかな改善を示すものであった。
    肺炎球菌に対するMIC90はTBPMが0.063μg/ml, CDTRが1.0μg/mlでありTBPMのほうが優れており, インフルエンザ菌に対するMIC90はTBPMが1.0μg/ml, CDTRが0.5μg/mlでほぼ同等の感受性を示した。
    TBPM-PIは強い抗菌作用により, 小児の難治性中耳炎に対して有効であることが示されたが, 安易な使用は避けたほうがよいと考える。したがってTBPM-PIは他の抗菌薬の効果が期待されない, または効果がなかった場合, あるいは明らかにpenicillin insensitive S. pneumonoae (PISP), penicillin resistant S. pneumonoae (PRSP), β-lactamase negative ampicillin resistant (BLNAR) などが起炎菌である場合のみに厳選して使用すべき抗菌薬と考える。また小児急性中耳炎診療ガイドラインの中では, 中等症・重症の症例で難治の場合Ceftriaxone (CTRX) 点滴治療とあるが,その前に投与してみる抗菌薬として位置づけるのがよいかと考える。
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