2005年度, 山口県のスギ, ヒノキ花粉飛散状況は, 短期間に飛散量が急激に増大し, 急激に減少する傾向を示した。このような状況下で抗ヒスタミン薬の2剤比較研究を行った。対象は2005年に山口県内の研究協力施設を受診した16歳以上のスギ花粉症患者のうち, 比較試験に同意の得られた69名である。初診時に, 患者を塩酸セチリジン群とロラタジン群の2群に無作為割付を行った。内服開始後の鼻症状, 眠気の程度は, 患者日記に記載するように指導し, 回収後, symptom scoreを算出し, 2群間で比較した。スギ花粉, ヒノキ花粉とも, 飛散数の著明に増大した時には, すべての患者において鼻症状が出現し, 2群間では明らかな差を認めなかった。しかしながら, 飛散数が減少し始めた時期においては, 塩酸セチリジン群において, 鼻症状は抑制される傾向を認めた。大量飛散時には, 抗ヒスタミン剤のみでは鼻症状を完全に制御することは難しく, 抗ヒスタミン薬の2剤の比較研究は困難であると思われた。むしろ, 飛散量の減少した時期に比較することで, 2剤間の差を検出することができると考えた。
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