昭和24年から昭和63年までの40年間に慈恵医大青戸病院耳鼻咽喉科で行われた手術療法の変遷について報告した。その間の手術件数は年間平均500件から600件であった。手術的療法を耳, 鼻, その他の三つに区分し, 特に炎症性疾患について検討した。
慢性副鼻腔炎に対する根本手術は1949年から1958年の問, 全鼻科疾患の手術の80%から90%を占めていたが, 昭和27年より始められた保存的手術が1960年以降増加し昭和51年には両手術が数字上で逆転した。保存的手術は, 全鼻科疾患の手術の40%から50%を占めるようになり, 根本手術は減少し, その中には術後性頬部嚢胞症例が多く含まれている。
手術療法の変遷は耳科手術についても同様である。中耳根本手術は1949年から1958年の間, 全耳科手術の中の70%を示していたが, 鼓室形成術の出現により減少し, 1956年以降10%から20%となり, 乳様突起削開術は昭和29年以降殆どみられなくなった。鼓室形成術が主流であり90%近くになった。
最近耳鼻科の治療範囲が広がり, その他の手術の中に腫瘍症例も多くなっている。その中で特に目立っているのは, ラリンゴマイクロサージャリーやチュービングが増加していることである。
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