突発性難聴は原因が不明であり, 自然回復もあるので, 治療成績の評価は困難である。また, 聴力障害の軽度な症例の扱いについての基準がないなどいくつかの間題を抱えている。筆者らは突発性難聴の聴力レベルについては, 1.急性低音障害型感音難聴を除く, 2.厚生労働省研究班の重症度分類のGrade1を別に扱う。そうすれば, 低音障害型感音難聴も含まれる, 3.Grade1を除く, の3案のいずれかを提案する。
病因として新しくカリウムイオンのrecycle障害の可能性を紹介する。これは蝸牛内, 外の線維細胞障害によるものである。
診断基準および治療法の報告システムに国際的基準を作ることを提案する。
自然経過の研究は困難を伴うので数少ないが, 従来の報告, 治療成績の報告を総括すると治療成績の評価には自然治癒, 自然回復は無視できない。治療成績は自然治癒を上回るものでないと有効とはいえない。
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