耳鼻咽喉科展望
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52 巻 , 1 号
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カラーアトラス
綜説
臨床
  • 田中 康広, 小島 博己, 吉田 隆一, 内水 浩貴, 山本 和央, 森山 寛
    2009 年 52 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/18
    ジャーナル フリー
    癒着性中耳炎もしくは中耳真珠腫において鼓膜後上部や後半部に癒着を認める症例では, 術後同部位に再陥凹や再癒着をきたしやすく, 聴力改善成績も不良であることが多い。これまでに形成鼓膜に鼓室換気チューブを留置する方法やシリコン板を用いた段階手術など様々な工夫を施してきたが, 術後成績は芳しいものではなかった。そこで, このような症例に対し術後鼓膜の再陥凹を防止する目的でcartilage tympanoplastyを試みた。そしてcartilage tympanoplastyを施行することにより術後鼓膜の形態変化や術後聴力成績にどのような影響を与えているのか検討を行った。その結果, 術後鼓膜の再陥凹や再癒着がなく, 良好な鼓膜形態が維持された症例は18耳中17耳, 94.4%と高率に認められた。また術後聴力成績は全体で62.5%の成功率であり, III-cでは77.8%, IV-cでは42.9%の成功率であった。この結果はこれまでにわれわれが報告した術後成績と比較して良好なものであった。
    以上の結果より, cartilage tympanoplastyは鼓膜緊張部に癒着を認める症例に対し術後の鼓膜形態や聴力改善の点からも従来の方法よりも優れた術式と考えられた。しかしながら, 観察期間が5年と短期間での術後観察であるため, 今後長期的な予後についても検討したい。
  • —膿瘍の進展様式とその切開法に関して—
    波多野 篤, 宇井 直也, 重田 泰史, 飯村 慈朗, 力武 正浩, 遠藤 朝則, 木村 暁弘
    2009 年 52 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/18
    ジャーナル フリー
    深頸部膿瘍は, 頸部にある疎な結合組織からなる間隙に膿瘍を形成したものであり, 進行例では治療に難渋するために早急かつ適切な治療が必要な疾患である。頸部膿瘍の治療では, 抗菌薬の投与と共に感染が波及したすべての膿瘍腔の切開, 排膿処置が重要であり, 膿瘍の進展範囲に応じて様々な頸部切開法が行われている。今回, 当科において治療を行った深頸部膿瘍症例を対象として, 頸部間隙における感染の進展様式とその外科的治療法を中心に臨床的検討を行った。
    過去8年間に当科において治療を行った深頸部膿瘍症例は17例で, 男性12例, 女性5例, 平均年齢は60歳であった。CT画像を再評価しえた15例を対象として, 膿瘍の進展範囲別に膿瘍が舌骨上に限局したものをStage I, 膿瘍が舌骨下の内臓間隙または頸動脈間隙, 咽頭後間隙に進展するが頸部までに留まったものをStage II, 縦隔に進展するが前縦隔の気管分岐部より上までのものをStage IIIa, それより下方に進展したものをStage IIIbと区分して以後の検討を行った。Stageが進行するにつれてCRPや入院期間などを指標とした重症度は増加する傾向が見られた。膿瘍の進展様式に関しては副咽頭間隙が重要な役割を果たしており, ここを経由して下方の舌骨下に及び内臓間隙, 頸動脈間隙, 咽頭後間隙へと進展するが, これらの中には縦隔へ病変が広がる症例も見られた。
    Stage Iの2症例に対しては頸部横切開が施行された。Stage IIの12例中4例に対しては頸部横切開が, 7例に対しては胸鎖乳突筋の前縁にそった縦切開法が, 1例に対してはJ字型切開による排膿処置が行われた。前縦隔まで感染が波及したStage IIIaの1症例に対しては頸部アプローチ及び心窩部ドレナージが行われ全例良好な経過であった。
    深頸部膿瘍が疑われる症例に対しては, CTを用いて膿瘍の有無及びその正確な進展範囲を診断し, 膿瘍の進展範囲に応じて頸部横切開, 胸鎖乳突筋前縁切開, 頸部アプローチによる縦隔操作と必要に応じて心窩部ドレナージ, さらには開胸操作を選択することが有用と思われた。炎症が縦隔に波及した場合には治療に難渋するため, 縦隔病変を併発しないよう早期診断をこころがけると共に, 炎症病変が頸部に留まっている早期に適切なドレナージを行うことが重要と考える。
  • 吉福 孝介, 永野 広海, 黒野 祐一
    2009 年 52 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/02/18
    ジャーナル フリー
    鼻腔粘膜は非常に血流に富んでおり, 鼻副鼻腔は, 顔面の深部に存在し複雑な構造をなしているので, 部位によっては目的とする腫瘍を十分な視野に置くことが困難である。特に血管性腫瘍の症例では, 大量出血をきたすことがあるので適切な方法を用いる必要がある。今回われわれは栄養血管塞栓後, 内視鏡下に鼻腔血管腫を摘出し得た2症例を経験したので報告する。
    症例1は55歳男性, 主訴は右鼻出血であった。左中鼻道から総鼻道を充満する表面平滑, 易出血性の腫瘍を認め, CTにて右鼻腔内に不均一な造影効果を認める軟部組織陰影を認めた。血管造影検査を施行し顎動脈にマイクロカテーテルにて進め, 下行口蓋動脈分岐部付近まで挿入しマイクロコイルにて塞栓した後に, 内視鏡下に腫瘍を一塊に摘出した。症例2は54歳男性, 主訴は左鼻出血であった。左鼻腔内に易出血性の腫瘤が存在し, CTにて左中鼻甲介前方に鼻中隔を圧排する造影効果を認める腫瘤を認めた。血管造影検査を施行し蝶口蓋動脈をマイクロコイルにて塞栓した後, 内視鏡下に, 腫瘍を一塊に摘出した。
    今回, 2症例において術前血管塞栓術を施行した結果, 術中出血は少量であり, 術前血管塞栓術は有効と考えられた。
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