オレオサイエンス
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20 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
特集総説論文
  • 吉田 亮
    2020 年 20 巻 6 号 p. 251-257
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    筆者は,心臓の拍動のように一定条件下で自発的に周期的リズム運動を行う新しい自律機能性高分子ゲル(自励振動ゲル)を開発し系統的に研究を進めている。本稿では,自励振動ゲルの創製およびその分子設計による機能制御,新規なバイオミメティック材料を実現する機能性ソフトマテリアルとしての展開について概説する。

  • 穂積 篤
    2020 年 20 巻 6 号 p. 259-265
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    固体表面のぬれ性の良し悪しはこれまで,静的接触角の大小で判断されてきた。しかし,前進/後退接触角の差である接触角ヒステリシスを制御すれば,たとえ見かけの接触角自体が小さくても液体の滑落性は格段に向上する。本稿では,微細構造や環境負荷の大きな有機フッ素化合物を一切使用することなく,生物同様,ユビキタス元素だけで作製することができる液体の滑落性に優れた機能皮膜について紹介する。

  • 下村 政嗣
    2020 年 20 巻 6 号 p. 267-274
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    「持続可能な開発目標(SDGs)」策定の背景となる「人新世」や「プラネタリー・バウンダリー」に象徴される人間活動が地球環境に大きな影響を及ぼしつつある時代において,持続可能性を回復する循環型経済システムへ移行しようとする動向がある。今世紀になり,ナノテクノロジーの世界的な展開と相俟って新しい展開を迎えたバイオミメティクスは,分子レベルの材料設計からロボティクスの分野を超えた,建築,都市設計,に至る“生態系バイオミメティクス”と称すべき幅広い分野に広がっている。バイオミメティクスの手本である生態系は,再生可能な太陽光エネルギーを駆動力とした生産,食物連鎖による消費,代謝による分解によって,「ゆりかごからゆりかごへ」の完全なる物質循環系を植物・動物・微生物からなる生物多様性が可能としている。生物多様性からの技術移転をもたらすバイオミメティクス・インフォマティクスと,人と生物の界面がもたらす循環型経済の観点から,バイオミメティクスを巡る世界動向を紹介する。

  • 安原 主馬
    2020 年 20 巻 6 号 p. 275-282
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/10
    ジャーナル フリー

    細胞膜は,細胞質を外界から区画化するための隔壁としてのみならず,シグナル伝達,物質輸送,エネルギー生産といったさまざまな生命機能によって不可欠な界面である。これら細胞膜の重要な機能は,脂質二分子膜と膜タンパク質の機能的連携によって実現しており,膜を標的とする新規な生物活性剤を開発する際には,膜中での分子間相互作用を理解し,制御するアプローチが不可欠である。膜タンパク質や膜に結合する機能性ペプチドは,分子内で緻密に配列された親水性および疎水性アミノ酸残基に由来する両親媒性構造を持っている。バイオミメティクスの概念に基づき,天然に存在する膜タンパク質の機能や構造上の特徴を人工の分子骨格によって模倣することができれば,細胞膜に作用することで機能を発現する全く新しい生体材料が設計できると期待される。本総説では,膜に作用することで機能を誘導する両親媒性ポリマーを設計するアプローチについて,模倣対象となる天然のタンパク質またはペプチドとの比較とともに概説する。具体的には,天然の抗菌ペプチドを模倣することによって設計された,耐性の獲得および宿主細胞への毒性のリスクが低く,高い抗菌活性を実現する膜活性抗菌ポリマー及び,アポリポタンパク質を模倣して開発した脂質ナノディスク形成ポリマーの設計指針とその応用例を紹介する。

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