プラスマローゲンは, 活性酸素種に高い反応性を持つvinyl ether結合を有することから, それ自身は極めて酸化され易いリン脂質である。しかしながら, プラスマローゲン欠損変異細胞を用いた最近の研究は, プラスマローゲンが酸化ストレスに対して防御的に機能する内因性抗酸化物質である可能性を示唆している。
In vitroモデル系を用いた実験結果も, プラスマローゲンがvinyl ether結合でのラジカル捕捉作用により, 抗酸化効果を発揮することを支持している。加齢や, 動脈硬化, 高脂血症, アルツハイマー病, 心筋虚血, ダウン症等の酸化ストレスが関与する疾病で, 生体組織や血液中のプラスマローゲン量の減少及びその酸化生成物の蓄積が観察されている。プラスマローゲンは, 生理的に重要な内因性抗酸化物質として機能している可能性がある。
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