オレオサイエンス
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20 巻, 2 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
総説
  • 石本 憲司, 中川 晋作
    2020 年 20 巻 2 号 p. 53-60
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    近年,健康に対する意識の高まりから,機能性食品に注目が集まっている。我々は,薬食同源の観点から食品成分の安全性を確保した上で,その有効性を高めるためのDrug Delivery System研究を行っている。β-カロテンは,体内では強力な抗酸化作用やビタミンAの供給源など有用な生理活性を持つことが知られているが,水にほとんど溶けないため消化管吸収性が乏しく,効率的な機能性食品素材として利用することが難しい。我々は,独自の非晶質固体分散体作製技術を適用することでβ-カロテンの水溶性並びに消化管からの吸収性を大きく増大させることに成功している。有機溶媒を用いず簡便に作製することのできる我々の技術は,難水溶性化合物の機能性食品開発に適しており,実用面で価値が高いといえる。

  • 鈴木 豊史, 鈴木 直人, 金沢 貴憲
    2020 年 20 巻 2 号 p. 61-69
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    血液-脳関門(BBB)は,全身投与後の薬物を脳に送達する際の主要な障壁である。中枢神経疾患に対する治療薬の創薬開発は,薬物を脳に選択的かつ効率的に送達する技術の開発が律速であるため,他の疾患領域と比べ特に困難を極めている。鼻腔内経路は,経口および非経口経路を超えるいくつかの利点を有する。なかでも経鼻投与された薬物は,BBBを迂回することができ,主に嗅覚および三叉神経経路に沿った輸送を介してさまざまな脳領域に分布する。そのため,鼻腔内経路は中枢神経疾患に対する治療薬を脳に直接送達できる非侵襲的で簡便な投与経路として注目され,ナノシステムの利用により近年脳に薬物を標的化できる可能性が示されている。本総説では,鼻腔内からの薬物吸収性,鼻から脳への薬物送達に関与する輸送機構と鼻腔内薬物送達に利用されるナノシステムの役割について,我々の最近の知見を交えて概説したい。

  • 安藤 英紀, 清水 太郎, 石田 竜弘
    2020 年 20 巻 2 号 p. 71-76
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/02/06
    ジャーナル フリー

    リポソームは魅力的なdrug delivery system(DDS)キャリアであり,抗がん剤を封入したリポソーム製剤は,既に複数品目が臨床で使用されている。リポソーム製剤を含む抗がん剤の多くは,開発段階で高い抗腫瘍効果を示したものがピックアップされ,前臨床・臨床試験に進むことが多い。しかし,抗腫瘍効果に寄与する腫瘍免疫環境の変動や薬物動態,抗体誘導に伴う副反応の発現など,臨床での薬効・副作用の発現に関わる重要な要因が評価されていない。本稿では,抗がん剤封入リポソーム製剤の開発に資するこれら評価項目の重要性について論じたい。

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