オレオサイエンス
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21 巻, 12 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
特集総説論文
  • -生分解度,バイオベース度の評価方法等-
    国岡 正雄
    2021 年 21 巻 12 号 p. 497-505
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/09
    ジャーナル フリー

    海洋プラスチックゴミ問題,マイクロプラスチック問題は,国際的に解決すべき重要な環境問題である。これらの問題の解決のために,プラスチックの3R(再使用,使用量削減,リサイクル)推進が最も重要な解決策であるが,期せずして自然界に漏出するプラスチックには,生分解性プラスチックや石油由来プラスチックの削減のためには,バイオマス由来プラスチックに関する研究開発も重要である。生分解度やバイオベース度の評価方法はISO国際規格として,専門委員会TC61(プラスチック),分科委員会SC14(環境側面)で審議,発行されている。海洋生分解度の評価法もISO規格として定義されている。良好な海洋生分解性を持ち,バイオマスから生産される新しい良い機能を持つプラスチックは,ISO 規格で評価され,ISO規格の要求事項による認証システムで認証され市場導入を促進しなければならない。

  • 中嶋 元
    2021 年 21 巻 12 号 p. 507-515
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/09
    ジャーナル フリー

    バイオプラスチックの事業化を進める際,一層の技術革新を進めると同時に,その成果をバイオプラスチック業界全体で正しく共有する事が重要となる。特に,樹脂供給サイドである樹脂メーカーとユーザー向けの製品開発を担う成形メーカーの間での正確な技術情報の共有は重要で,このためには,石油由来プラスチックとは異なるバイオプラスチックの特性や背景への理解を両者の間で正しく共有する事が重要となる。実際に事業化を進める際には,獲得した資金の運用効率の対外的なアピール,原油価格の変動やバイオプラスチックを取り巻く規制や認証制度などの外部環境の変化への対応などの総合的なマネージメントが重要である。本稿では具体例を交えつつ,これらについて検討していきたい。

  • 猪野 光太郎, 佐藤 俊
    2021 年 21 巻 12 号 p. 517-523
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/09
    ジャーナル フリー

    気候変動や海洋プラスチック汚染などの問題から,再生可能なバイオマスから生産でき自然環境中で生分解されるバイオプラスチックへの注目が高まっている。ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は,一部の細菌や古細菌がエネルギー貯蔵物質として細胞内に蓄積する高分子であり,プラスチック材料として利用することができる。その中でも,特に重量平均分子量が300万を超える超高分子量PHAは力学物性に優れる材料に加工できることが知られている。本稿では,超高分子量PHAの微生物生産とその物性について概要を紹介する。

  • 櫻井 徹生, 柘植 丈治
    2021 年 21 巻 12 号 p. 525-529
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/12/09
    ジャーナル フリー

    微生物はポリヒドロキシアルカン酸(PHA)という脂肪族ポリエステルを,炭素貯蔵物質として合成し,細胞内に蓄積する。PHAは,土壌,河川水,海水などの自然環境中で生分解性を示し,糖や植物油を原料として合成できるバイオプラスチックとして使用することができる。最近,PHA生合成研究の過程で生産宿主の微生物からオリゴエステルが分泌される現象が発見された。このオリゴエステルはPHA重合の過程で生じた低分子量体が菌体外に分泌されたものであり,高分子量のPHAとは異なり培養液上清から回収可能な発酵生産物である。筆者らはこのオリゴエステルが,バイオプラスチック合成の新しい構成単位,すなわちマクロモノマーとして活用できるのではないかと考え,その材料化に取り組んできた。 本稿では,微生物産生PHAの一般的な性質と共に,PHA生産から派生したオリゴエステルの分泌生産について解説し,それを利用したポリウレタン材料の合成について紹介する。

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