オレオサイエンス
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1 巻, 12 号
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総説
  • 今栄 東洋子
    2001 年1 巻12 号 p. 1113-1120,1111
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    分子組織体の創製とキャラクタリゼーションを総説する。陰イオン性ブロックとペルフルオロ置換ブロックからなる高分子はミセルを形成するが, その大きさはHCIまたはNaClの添加に伴って減少する。この状況は低分子量のイオン性両親媒性分子の場合とは異なる。不斉をもつあるいは分子間で相互作用する官能基をもつ両親媒性分子は繊維状集合体を形成するが, その構造は相互に異なる。繊維状集合体を形成する系が液晶相を示す場合も発見された。分子組織体内で進行する光二量化はべシクルの場合に最も効率的である。生成物の立体異性体選択性は組織体構造のみならず組織体への反応分子の結合性にも依存する。保護剤の存在のもとに構築された金属ナノ微粒子は基板上で二次元に配列する。このとき, ナノ微粒子を保護するアルキル鎖は指組単分子膜または二分子膜配列をとる。デンドリマーを保護剤とするとき, 水に可溶なナノ微粒子が調製される。類似の化学構造をもつ炭化水素系両親媒性分子は二次元ラングミュアープロジェット膜中で混和するが, 色素界面活性剤はアラキジン酸のミクロドメインから相分離する。炭化水素系両親媒性分子と炭化フッ素系両親媒性分子は常に別々のドメインを形成するが, 二つの炭化フッ素系両親媒性分子の混和性は炭化フッ素の鎖長に依存する。種々の表面間相互作用力が両親媒性分子そしてデンドリマーを吸着した表面上で観察される。静電反発, 疎水相互作用, 付着, 溶媒和, そして立体反発力である。
  • 島崎 弘幸
    2001 年1 巻12 号 p. 1121-1126,1111
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    酸化蛍光体 (FLOP) という言葉は, 老化に伴い, 細胞内のリソソームに自家蛍光を持つ物質として沈着する老化色素 (リポフスチンおよびセロイド) の蛍光構造に関連するものであるが, 老化色素の化学構造や生成機序については未だ良く分かっていない。老化色素の生成機序を明らかにするために, in vivoおよびin vitroにおける種々の実験条件下で酸化蛍光体の生成について研究した。酸化蛍光体の生成とリソソームへの蓄積について, また脂質栄養と健康食品に関する筆者らの研究を中心に述べる。
  • 杉原 剛介
    2001 年1 巻12 号 p. 1127-1132,1112
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    脊椎動物の生体内で, 界面活性剤として機能する各種胆汁酸塩 (遊離型, 抱合型共に含む) の水溶液のコロイド化学ならびに界面化学的性質, すなわち, ミセル又は巨大会合体の形成や, ステロールのような不溶性脂質に対する可溶化及びそれと深い関係のある気/液や固/液界面での吸着を熱力学的に研究した。紙幅の制約上, 主として会合体形成について論じたが, 全般にわたって著者のみならず重要な関連論文の所在も紹介している。
  • 木田 敏之
    2001 年1 巻12 号 p. 1133-1139,1112
    発行日: 2001/12/01
    公開日: 2013/04/25
    ジャーナル フリー
    本総説では, 新しいタイプの糖質両親媒性化合物の合成と物性ならびにそれらを用いてのアミノ酸エステルのエナンチオ選択的加水分解, 糖類の選択的輸送, 金属カチオン認識について紹介する。グルコノー1, 5一ラクトンならびにN-アセチル-D-グルコサミンから, 長鎖アルキルアルデヒド (または長鎖アルキルメチルケトン) ジメチルアセタールとの位置選択的アセタール交換反応を含む数段階を経て, 新規な糖質界面活性剤を合成した。それらのうち, グルコノ-1, 5-ラクトン由来の非イオン界面活性剤とN一アセチルの一グルコサミン由来のアニオン界面活性剤は優れた表面張力低下能を示した。糖アミド基を親水基とする界面活性剤がフェニルアラニンP一ニトロフェニルエステル臭化水素酸塩の加水分解反応においてエナンチオ選択的ミセル触媒作用を示すことを見い出した。その加水分解速度とエナンチオ選択性は糖アミド型界面活性剤の糖鎖構造とアルキル鎖長の影響を受けることがわかった。また, グルコノアミド型両親媒性化合物により形成される逆ミセルが糖類の選択的液膜輸送キャリヤーとして有効に機能し, その輸送選択性が糖分子の疎水性と相関があることを明らかにした。さらに, 各種金属イオン存在下あるいは不在下でのCMCの変化から, 両親媒性シクロイヌロヘキサオースがK+, Rb+, あるいはBa2+と水中で錯形成することがわかった。一方, Li+およびNa+との錯形成はほとんど認められなかった。
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