オレオサイエンス
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23 巻, 11 号
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特集序言
特集総説論文
  • 永尾 寿浩, 菊川 寛史, 山下 和彦
    2023 年 23 巻 11 号 p. 549-558
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/08
    ジャーナル フリー

    Staphylococcus aureusS. aureus,黄色ブドウ球菌)はアトピー性皮膚炎の炎症部で顕著に増加して炎症を増悪化する。一方,健常者の皮膚に多いStaphylococcus epidermidisS. epidermidis,表皮ブドウ球菌)はS. aureusの生育抑制などの有用機能を保持する。多数の脂肪酸のS. aureusS. epidermidisに対する抗菌活性を調べたところ,6-cis-C16:1,7-cis-C16:1,および9-cis-C16:1はS. aureusの生育を抑制し,S. epidermidisの生育を抑制しない選択的抗菌活性を保持し,アトピー性皮膚炎の炎症緩和に寄与することが期待される。皮脂中に存在する6-cis-C16:1は天然油脂中に存在しないことから,7-cis-C16:1と9-cis-C16:1を微生物法で生産することを試みた。Aeromonas hydrophilaおよびAcinetobacter sp.は,9-cis-C18:1を含む植物油を基質としたとき,9-cis-C18:1の炭素数を小さくした7-cis-C16:1に変換した。種々の遺伝子組換えを施したSaccharomyces cerevisiaeは高含量の9-cis-C16:1を含む油脂を生産した。さらに精製条件の検討により9-cis-C16:1含量を98%まで高めることができた。また,消費者の認知度の高いBifidobacterium sp. JCM 7042株は菌体内に7-cis-C16:1を生産した。

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  • 野嶽 勇一, 管谷 早織
    2023 年 23 巻 11 号 p. 559-567
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/08
    ジャーナル フリー

    近年,次世代シークエンサー等の解析機器の開発や検体処理技術の改良に支えられ,ヒト常在菌叢に関する研究が大きな発展を遂げている。常在菌叢を構成する細菌の種類や割合はもとより,細菌間のクロストークに至るまで,常在菌叢の全貌が明らかにされつつある。常在菌叢はヒトの健康状態に深く関与しているため,そのバランスの乱れや多様性の喪失(ディスバイオーシス)は体調不良や疾患発症の原因となる。本稿では,腸内,口腔内,皮膚に形成されている各細菌叢の特徴や最近のトピックを解説した後,皮膚常在菌叢の制御を基盤とするスキンケアや疾患治療に関する情報を紹介する。

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  • 柴垣 奈佳子
    2023 年 23 巻 11 号 p. 569-574
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/08
    ジャーナル フリー

    敏感肌とは,通常は感じられない強さや種類の刺激によって不快な刺激を感じる肌のことを指す。世界中で敏感肌であると感じる人の数は非常に多く,敏感肌向けの製品も多いが,皮膚常在菌叢をターゲットにした製品は少ない。皮膚常在菌叢が皮膚バリアに与える影響の大きさを示唆する結果は多く,皮膚常在菌叢の敏感肌への関与は大いにあり得る。本稿では,敏感肌と皮膚常在菌叢に関する研究について総説する。

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