オレオサイエンス
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9 巻, 3 号
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総説
  • 脂肪酸, 糖脂質, リン脂質と免疫機能
    熊沢 義雄
    2009 年 9 巻 3 号 p. 85-93
    発行日: 2009/03/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    細菌の脂質に対する自然免疫は生体防御の最前線であり, 種々の細胞を活性化する。グラム陰性菌の外膜成分であるリボ多糖 (LPS) はToll様受容体/MD2複合体を介してマクロファージや他の細胞群を活性化する。LPSやアンタゴニストの受容体への結合が細胞活性化の重要なステップである。Sphingomonas細菌のスフィンゴ糖脂質 (GSL) は, LPSに代わる膜成分であり, ナチュラルキラーT (NKT) 細胞の自然リガンドである。GSLはCDld分子に結合した形でNKT細胞に提示される。S.yanoikuyae調製したGSL-7は最も活性のある自然リガンドであり, 防御機能を充進する。α-galactosylceramideで処理してからLPS刺激をすると, NKT細胞の活性化が起こり, ショック死が誘導される。ミコバクテリアの脂質では, trehalose dimycolate (TDM) がTLR2を介して強力にマクロファージを活性化し, 炎症性サイトカイン産生を誘導する。マンノース結合phosphatidylinositolであるlipomannanやlipoarabinomannanはマクロファージに発現したTLR2だけでなくマンノース受容体に結合する。GlyCOpeptidOlipid (GPL) はMycobac teriumavium complexの血清型特異的成分である。4型GPLはマクロファージの貧食におけるファゴソーム/リソソーム (PL) 融合を阻害する。本稿では細菌の脂質と種々の細胞との相互作用について述べる。
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