オレオサイエンス
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13 巻, 4 号
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受賞論文
  • 村岡 雅弘
    2013 年 13 巻 4 号 p. 165-170
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    分子マシンや分子センサーに応用可能な新規機能性ロタキサンの合成を目的として,ビスアミド部位を有する輪分子が中性のフェナントロリンを軸分子として捕捉することで安定な擬ロタキサンを形成し,酸-塩基の添加により輪通し-輪抜き運動することを見出した。
    一方で,ロタキサンにイオン認識能を導入することを目的に,ロタキサンの輪分子として新規クリプタンドを合成し,それを用いた擬ロタキサンの合成にも成功した。この擬ロタキサンは,アセトンなどの有機溶媒に溶解すると黄色を呈するのに対して,擬ロタキサンに対して等モル量のナトリウムイオンを加えると無色に変化することがわかった。本稿ではこれらの研究成果について紹介する。
総説
  • 朝倉 浩一
    2013 年 13 巻 4 号 p. 171-177
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    生命体のように,系が外部環境に対して開かれ平衡から遠く離れた状態に保たれた場合,ゆらぎが成長し散逸構造と呼ばれる様々な自己組織化された状態が発生する。粘性の高い液体を固体基板上に塗工すると,通常は平滑な表面とはならず,塗工方向と平行に空間周期ストライプパターンが発生する。これは,液膜が形成される過程が平衡から遠く離れた状態となり,したがって気液界面の形状ゆらぎが成長するためである。界面形状ゆらぎが成長する現象はフィンガリングと呼ばれ,表面形成を伴う工業生産プロセスにおいて普遍的に観察される。我々は,フィンガリングの発生を抑制する技術を開発し,サンスクリーン剤性能のin vitro評価法の確立や,自動車車体の回転霧化塗装における技術革新に寄与してきた。また,自発的に空間パターンが発生してしまう現象を逆手に取って,これを高撥水性表面の作製に応用する技術を開発してきた。
  • 小野 大助
    2013 年 13 巻 4 号 p. 179-185
    発行日: 2013年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    界面活性剤は,洗剤,塗料,トイレタリーや医薬品など様々な用途で利用されている。最近では,より優れた界面物性を有する界面活性剤,二次的な機能を有する複合機能型活性剤,あるいは,地球環境保全に配慮を加えた活性剤などの開発が望まれている。このため,界面活性剤としての本来の機能を果した後,酸や光などのできるだけ温和な外的因子を引き金として分解が起こり界面活性能が消失する機能を備えた化学分解性界面活性剤の開発に興味がもたれている。本稿では,1-O-アルキルグリセロールから1,3-ジオキソラン環を分子内に有する酸分解性カルボン酸塩型界面活性剤とエステル型化学分解性界面活性剤を特殊な試薬や装置を用いることなく,簡便な操作により合成した。これらは,良好な界面物性を有し,酸性またはアルカリ条件下で,非界面活性成分に分解した。また,微生物による生分解性は,ドデカン酸ナトリウムよりも優れていた。乳化重合反応で乳化剤として用いた場合,反応終了後,酸またはアルカリを添加することにより,乳化系を解消でき塩濃度の低い純度の高いポリマーを容易に単離することができた。さらに,洗浄力についても検討した。
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