オレオサイエンス
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8 巻, 4 号
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受賞論文
  • 高橋 誠
    2008 年8 巻4 号 p. 151-157
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    新しいタイプの機能性食品の開発を目的として, 食品用リン脂質 (レシチン) を用いて, 秋ウコン抽出エキスを含有するナノカプセル (NUE) の調製を検討した。その結果, メカノケミカル法の活用により, ナノカプセルの粒子径および粒径分布の制御が容易に可能であることを見出した。得られたNUEは, 一枚膜リボソームで粒径分布も小さく (114 nm±49), クルクミンに対して非常に高い封入率 (85%以上) を示した。また, NUEの消化液に対する耐性を調べたところ, コントロール (秋ウコン抽出エキスのみ) に比ベクルクミンの残存率が2倍以上であり, ナノカプセル化による食品成分の保護効果が確認された。さらに, NUEの経口投与による急性肝障害マウスの肝障害抑制作用を検討したところ, コントロール群に比べ1/3以下のエキス量でも有意な抑制作用を認め, ナノカプセル化によって食品機能も大きく向上することが判った。さらに, そのメカニズムを検証するため, クルクミンのみを含有するナノカプセル (NEC) を調製し, ラットにおける腸管吸収への影響を調べた。その結果, 経口投与後, コントロールに比べて血漿中のクルクミン濃度が有意に上昇しており, ナノカプセル化によって食品成分の腸管吸収が促進されるため, その有効性が向上することを見出した。
  • 靜間 基博
    2008 年8 巻4 号 p. 159-167
    発行日: 2008/04/01
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    本質的にアキラルな分析法である質量分析法においても, エナンチオマー重水素標識体とその対となるエナンチオマー非標識体との等モル混合物を利用し, それらとキラルマテリアルとが会合した2つの擬似的なジアステレオメリックな錯イオンの挙動を観測することで, キラルマテリアルのキラル識別能, あるいは, 光学純度などを質量分析法のみで定量評価することができる。本総合論文では, 質量分析法によるキラリティー検出に関する方法論と, その手法に必須であるキラル識別能を有するキラルマテリアルの開発, そして, それらを利用した定量的キラリティー検出に関する研究結果を紹介する。方法論については, キラルアンモニウムイオンに対する高いキラル識別能がよく知られているキラルクラウンエーテルを用いて検証し, 溶液中の挙動と質量分析法による観測結果を比較した。その結果, 高速原子衝撃イオン化法を使用した場合は溶液中の錯形成挙動とよい一致を示したが, エレクトロスプレーイオン化 (ESI) 法の場合は一致しなかった。これはESIプロセスが濃縮を含むために会合平衡の濃度条件が変化したことによると推定された。しかしながら, ESI法で観測される錯イオンピークの挙動は同一測定条件下での再現性に優れており, 中心金属をバインディングポイントとするキラル金属錯体をホストとした場合に, 質量分析法によるキラルカルボン酸の高感度光学純度決定法に応用できることがわかった。
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